SIDE:姫宮七海
華恋と一緒に登校出来たことが嬉しくて内心小躍りしながら席に着いていつも通り華恋のことを考えていると、指原さんが話しかけて来た。
「ねえっ!さっき華恋ちゃんと話してたんだけど、二人仲良くなったんだってね!何があったのか教えてよ!」
指原さんは、誰にでも気さくに話しかけるけれど、華恋にも気安く話しかけるのはやめて欲しいところです。
「特に何も無かったですよ?」
「ホントのホントに・・?」
「しつこいですよ。本当です」
「えー絶対何かあったと思ったのに・・」
そう言いながらがっかりした様子で席に戻って行った。
そんなことより今日の一限目には、華恋の自己PRがあるからしっかり聞いておかないといけない。
華恋の番が回って来た。趣味はアウトドアか・・一緒にキャンプなんて楽しそう。好きなものはチーズケーキね。今度良さそうなのを探しておこうかしら?優しくて思いやりのある人が良いと、それは全然問題無いわね。付き合ったらお泊まりやデート・・お泊まり?思春期女子がお泊まりなんてした日には・・これは後で教えておくべきリスト行きね。将来は理想の人と添い遂げたいと。私が華恋と・・良いわね。
華恋!?そんなこと言ったら恋人募集中ですって公言したようなものよ!これは後でしっかり問い質さないと。それに、クラスで華恋のことを遠目に見てただけの連中もこれを聞いてどう動くか。結局私もまだ華恋と何も進展出来てないから何かしら動かないといけないわね。
私の自己PRの番が回ってきた。
自分に纏わりつかれても困るので最後に心に決めた人がいるとだけ言って無難に自己PRを終わらせる。自己PRの最中に癖で華恋のことを何回も見てしまった。華恋と何度も目が合ったし気を付けよう。その後も思案に耽っているといつの間にか目の前に華恋が居た。
何か気になることでもあるのか気になって尋ねると私の心に決めた人は誰かと聞き返された。けれど、今言うことでは無いので言わない。すると、華恋に聞こうと思ってたことを本人から話してくれたが、その言葉は聞き逃せないものだった。
華恋が恋人を作ることに少し乗り気になっている。・・不味い。私はまだ何も進展出来てないのに。取り敢えず現時点では気になる人は居ないみたいだけど今の華恋だと目を離した瞬間に誰かに染められてそのままなし崩しに付き合って結婚まで行っても不思議ではない。
あまりうかうかもしていられなくなった。以前は華恋が誰も寄せ付けなかったから、このまま自然にと思ってたけれど形振構ってなんかいられない。
何か無いかと思考の海に潜っていると、華恋に二限目の着替え場所のことを聞かれる。
それだわ!この高校は、恋愛推進制度のお陰でプライバシー管理がしっかりしてるから一人一人の更衣室がある。それを利用して私の更衣室を華恋と一緒に使えれば!!元々パートナーが出来た時用に最大二人で使えるようになっているし、バレさえしなければ特に問題は無い筈。
最近の華恋は以前より可愛らしいけど、どこかボーッとしがちだし知ってて当たり前のことを忘れたりしているから、多分更衣室までは連れて行けそう。そこでどうにか華恋と進展すれば・・最近の華恋は見てて不安になる。
華恋は誰にも渡さない。
無言で華恋を私の更衣室まで引っ張って来る。華恋はなんだか不安そうな顔を浮かべていた。そんな姿も可愛らしく更衣室で二人という環境もあって理性がはち切れそうだ。
なんとか気持ちを落ち着け、恋人は作るつもりなのか尋ねると肯定される。思わず華恋が私以外の誰かと付き合う姿が思い浮かんだ。瞬間、脳が沸騰するかのような熱を帯びて気が付くと華恋をロッカーへと追い詰めていた。
華恋が呼びかけてきて少し冷静になったが、体勢はそのままに『それなら私にしないか』と華恋を見つめて問いかける。透き通った瞳を揺らしながら困った顔で考える華恋も凄く可愛い。
困った表情で私に悪いと言うが、私は華恋が好きだと率直にその気持ちを告げる。驚いた表情を浮かべる華恋。更衣室で二人きりという状況でそんなにコロコロ表情を変えられると、我慢出来なくなってくる。今度は申し訳無さそうな顔をして何か言ってる華恋で私は抑えが効かなくなった。
無理矢理唇を奪う。元々の体格的にも身長差的にも華恋の抵抗は微々たるものだった。
最初に優しく撫でるようにキスをして少しすると、華恋がとろけた表情になったので貪るように口内に侵入する。舌と舌を触れ合わせては吸ったり絡め合わせ欲望のままに蹂躙する。
数分間そうして堪能していると予鈴が鳴ったので名残惜しいが、唇を離す。
華恋は惚けた顔で座り込んだ。
多分立っていられなかったのだろう。途中から華恋の体から力が抜けていたので私が支えていたのだ。
初めての快感なのか暫く放心してから、どういうつもりなのか尋ねてきた。なのでこれから少しずつ私のことを好きになってもらう旨を伝える。
まだそれほど経っていないのに華恋とのキスを思い出して舌舐めずりしてしまった。華恋の方を見ると、私の唇に視線が釘付けになっている。
華恋が意識してくれていると分かってとても嬉しかったが、そんなにずっと見つめられるとまた私の理性がヤバいので暗にそのことを伝えると、顔を真っ赤にして逸らした。
その後あたふたして着替えられずにいた華恋を手伝った時もずっと顔は真っ赤だった。
とっても可愛いかった!!
 




