普通に、平凡に生きてたい。
男子からは憧れで、女子からは学校一のイケメン。それが、俺だ。最初はとてもうれしかったし、もっと憧れになれるように頑張った。
みんなは俺が言ったことを、すべて賛成する。みんなが、俺は間違えないと信じているから。だけど、それがだんだん重荷になっていったことは言わずもがない。俺だって、人間だ。間違えることはある。なのに、それが許されない。
正直言ってきついなぁ。もう、誰からも認知されないで生きたい…。
「おい!そこ、危ないぞ!」
「え?」
キキ—
その音と一緒に、俺の意識はもうろうとしていく。サイレンの音が、耳にかすかに聞こえてくる。
運転手さん、すいません。
俺は、この言葉を最後に息絶えた。
ん…ここは、病院、か?
オギャーオギャー
赤ちゃんの声?産婦人科がある病院なのか?
「ほら、かわいい赤ちゃん。泣かないで。」
俺の目の前で、美人な人が俺に向かって、赤ちゃんと言っている?
「おぉ生まれたのか。…かわいい赤ちゃんだな。」
だから俺は、赤ちゃんじゃ…
「旦那様、名前は考えてきた?」
「あぁもちろんだ。この子を、ユリウス・シューベルトとなずける。」
「ユリウス…いい名前ですね。ユリウス」
ユリウス…?
どういうことなんだ!