おれの従者だ
確かに、二人ともそろって見場は良い。が、つながりを見つけるのは難しい。
坊主は、よくみれば、目元涼しく口元締まった、いい男だが、不機嫌な面がまえで眼光鋭く、色黒く、ごつくてでかいうえに無愛想。一方、姉である女は、少し目じりの下がった目鼻立ちあでやかな、色の白い、何をしても華のある、社交的な女だ。
「五年、いや、六年ぶりか?」
サモンが指を立てて考える。
「ほんと、よかったな?」
セイテツが、子どもに礼も言わない坊主をつついた。
「・・・そうか・・」
太い腕を組んだ坊主が、なにやら思いついたようにつぶやく。
「『よろしく―』、というのは、・・シュンカのことも、なのか・・?」
・・・なんというか・・。セイテツは己の頭よりも、この坊主の頭の中をかきむしってやりたくなる。
「セイテツ、あきらめろ。何度も言うが、馬鹿なのだ」
断言したのはやはり、姉である女だった。
今頃になってなにかを納得した坊主は、そんな周りの様子などかまわぬように、子どもに歩み寄る。
「それならば、おれと姉上は、シュンカに借りができた。借りをつくったままなのは好きじゃねえし、お袋殿に返事をしちまったのもある。おい、シュンカ」
「はい」
「その赤い石はおまえが持ってろ。その石ごと、おれが責任もってやる。今からおまえは、おれの従者だ」
「・・・は、はいっ!」
返事をした子は、驚いた顔のままセイテツをふりかえった。
「―まったく、おそいんだよ、おまえは・・」
セイテツが皆の代弁をし、とにかく、ひと安心となったとき、コウセンに抱えられたままの子どもが、大人たちからの視線にこたえるように、微笑んだ。




