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おとぎばなし ― ことのおこり ―  作者: ぽすしち
そうして、

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39/52

いくらで売れる





 「―みなさま。ありがとうございます」

 坊主の経が終わると、セリと手をつなぐ子どもが頭を下げた。


「礼など言わなくともいいのだ。あそこに立つ坊主など、おまえの母上様から『よろしく』と頼まれておるのだしな」

 女が、閉じた扇子を口元に、馬鹿にした男へ目をやる。


「おれが頼まれたのは、あの石だ」


 坊主のそれに、はっとした子どもが、ゆっくり歩み寄り、懐からそれを取り出した。

「スザクさま、その、・・これでは、足りないかと思うのですが・・・」


「なんだ?」


 顔をしかめる男に、そのまま手にした、赤い石を差し出す。

「父と、里人を弔っていただくための金子を、おれは持っていないので、どうか、これを替わりにしていただきたいのです」



 そうなのだ。坊主は金をとって人を弔う。

 そして、このスザク様は、徳が高いため、かなりの高額なのだ。



「いや、いいだろ、シュンカはもう、伍の宮の身内なんだし、おまえの従者になるんだし、―」


 絵師が言うのも聞かず、坊主は石を眺めて言い放つ。



「その石、いくらで売れる?」



「っば、馬鹿!それはシュンカのお袋殿の」

「金がねえっていうんなら、しかたねえだろが」


「だ、そうじゃなくて―」

 この男に、その石の大切さをどう教えればよいのか、セイテツは頭をかきむしる。


 

 べしん、といい音が響き、場が静まった。




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