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おとぎばなし ― ことのおこり ―  作者: ぽすしち
そうして、

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35/52

こんなに重い


「セイテツ、くそ坊主がまた、だだこねてんじゃねえのかあ?」


 絵師は笑ってごまかした。

 それが答えと見て取った男が、今度は逆を殴ってやろうかと口を曲げれば、「コウセンさま!それは、おやめください!」と子どもが男の着物を掴む。


 なんとも嬉しそうな顔をした男は、冗談だ、やらねえよ、子どもの手を取って笑う。


「・・・シュンカはスザクの従者だものな」


「はい。ですが、・・・スザクさまはそれが嫌なのだと・・」


 すぐさま絵師が、あれは単なるわがままだ、と断言。



「・・・まあ、あの馬鹿も、他人を受け入れるのに時間がかかるからなあ。シュンカも少し、辛抱してやれ」

 そう言って、ぐしゃぐしゃと待女のように整えられた髪をかきまわし、身をすくめるようにして、はい、と答える子を、いきなり絵師の腕から奪い取った。

「ほお。大きいなあ、子どもも、十より上になれば、こんなに重いのだなあ。いや、おれの子は、六つでいなくなってしまったので、比べたら悪いがなあ」


 驚いた顔をしたシュンカは、きゅうと口を結び、「コウセンさまは―」と問うた。



「―コウセンさまは、・・そのとき・・、お子を、・・・ちゃんと、見送りができましたか?」



 突然、大切な人が、先にいってしまって・・・・。



 男は、少しだけ、痛そうな顔をして、そこから無理に笑いをだした。


「・・ほんとうは、な、おれは、・・・なくなった子と妻とを、追いたくて、しかたがなかった・・」



 セイテツは、普段、己のことなど何も語らぬ男の声を聞きながら、自分がここで聞いていて良いのか迷ったが、立ち去れなかった。



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