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おとぎばなし ― ことのおこり ―  作者: ぽすしち
そうして、

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33/52

これから


「・・・シュンカ、ほら、いいから」


 詰まった声を出す絵師に、軽々と持ち上げられて、子どもはそのまま抱き上げられた。


「―― スザク、おれは、この子と一緒に暮らしたいね。おまえがなんと、言おうとも」

 

 片腕で子どもを抱えた男は、そのまま坊主を置いて、部屋をでた。



「―― 伍の宮をまだ案内してないもんな」

 いいながらその円のかたちの宮の中を案内する。


「今のが、真ん中の部屋で、あそこを突っ切った奥が、儀式をする祭殿になってるんだ。で、それを囲むみたいに、部屋がある。ほら、この廊下をぐるりと曲がって右手から、まず書物庫、次がおれの使う部屋、で、坊主の道具とおれの絵の道具が詰め込まれた大部屋があって、次がその坊主の部屋。隣は空いてるから、今日からシュンカの部屋だ」


「で、でも」


「居候でも、それぐらいの権限はあるし、おれは、あの坊主より五つも歳上だ」


 シュンカは自分を片腕で抱え上げる男の顔をおどろいてみる。


「そういえば、シュンカは?いくつだ?」

「はい、十三です」


「えっ!?」

「・・・もっと、幼いかと思われましたか?」


「・・・ごめん・・まだ、十くらいかと・・」

「父にも、よく言われます。おまえは小さいって―」言ってから、あ、という顔になる。



 それでいいじゃないかと絵師はうなずく。



「これから伸びるさ。親父殿、大きい方じゃないか」



 弔いだって、まだ、終わってもいないのだ。

 過去形で話すなんて、しなくていい。




 セイテツさまと小さな声で呼ばれたから、ん?と小さく返す。


「・・スザクさまは、・・里に、連れて行ってくださるでしょうか?」


「行かせるよ。おれが、責任もって。それに、コウセンが黙っちゃいないだろうし・・。ああ、コウセンは、ほら、シャムショから出てきた、むさくるしいおっさんだよ」



 あの男、見た目はひどいが優しいぞ、と絵師が説明すれば、「ひどい、は、なかろう」といきなり当人が、廊下の先に現れた。




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