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おとぎばなし ― ことのおこり ―  作者: ぽすしち
まずは、

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28/52

白を黒に


 そうしてついた白い石造りの宮のなか。


 謁見の間の玉座の上には、シュンカよりも歳若い子どもがあぐらをかいていた。


 

 おそろしく顔がきれいで、目が異様に冷たかった。



 薄布もなく、その姿を見てしまった子どもは慌てて口をとじ、下ろしてもらうと床にひれふした。


「どおだ?坊主ども。これがわしに対する正しい態度ってもんだ。おまえらも見習えよ」


「気がむいたらな。おいシュンカ、相手は化けもんだ。そんなかしこまらなくたっていいんだぜ?」


「だまれ、坊主。それにしても・・・そうか、・・おまえが、リョウゲツの子か?」



 ミカドが人間の名を口にするなどついぞないことで、思わず二人の男は玉座を見上げてしまった。



「おう、二人とも、しばらくぶりに、いい反応だ。これぐらい驚いてもらわんとなあ」


「なんだよ、親父殿を知ってるのか?」

 太い腕を組んだ坊主が玉座をにらんだ。



「知ってるもなにも、わしが転生させたのだ。母親のサクラもな。あれは、―― またも、人間に命を絶たれたか・・・」


 珍しく、帝がしんみりとした声をだす。


「・・まあ、この話はここまでだ。おまえらを喜ばす趣味はわしにはない。―― 子ども、おまえの力は強すぎる。下界に野放しにできるもんじゃあないぞ。親父がついていたから放っておいたのだ。もう、下へはもどさん」



 ミカドの言葉は、黒を白にする力がある。これで子どもは下界へもどれない。



「で、でも、おれ、里に」


「誰もおらんだろうが?その坊主にも言われたはずだ。戻って、今さら謝ったところで、誰も元にはもどらん」


「―― クソ猫」


「セイテツ、おまえのように、その子どもは悪くない、などと言うほうが、クソだ」


 玉座の子どもがにんまりとし、突然ぐにゃりとかたちを変えた。


「子ども、わしの下につけ。おまえの力はこういう場所でつかうものだ」

 猫になった帝が命じる。



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