ざれごと
「何なら勝負するかい?―― おれは、あんたの《火》に負けるつもりはねえよ」
不敵に笑った男を、結果の中のこどもが、驚いたように見つめている。
「・・なるほど、これは・・。『氷の絵師』セイテツ殿と、『伍の宮の坊主』スザク殿か」
思い当たったことを口にした黒い男に、「知ってるなら話ははえェ」と坊主が表情のない顔をむける。
「―― どういういきさつで、したことかは知らねえが、あんたのやりくちはひどすぎる。だいいち、このなぶり方はなんだよ?あっちの子どもをどうするつもりだ?まさか、捕まえて帰ろうっていうんじゃねえよなあ?」
「そのつもりだ。将軍に裁いていただく」
はっ、と坊主が笑った。
「人を惑わすっていったって、せいぜい儀式の真似事をしたり、予言をした、とかいうもんだろう?ここはおれたちが重く言い聞かせる。例えここが西の領地だとしても、そういう話ならおれたちに預けろ。将軍さんにも、そう伝えてくれねえか?」
この坊主にしては珍しく、遠まわしな表現だったが、ようは、とっとと失せろ、ということだ。
「あまいな、スザク殿。そのものたちが行っていた儀式は、そんなものではない。いいか?そこな子どもは、人の病を治し、傷を治し、―― 死びとを生き返らせる神だと名乗っている」
「ちがう!」結界の中の子どもが叫ぶ。
「さて、儀式をつかさどり、天帝にお仕えするおふたりに、そんな戯言が、許されましょうか?」
そう問えば、坊主と絵師が目をみかわし、「―― ふむ」と坊主が血を吐き倒れる男をながめた。




