ようやく
流血表現多し。ご注意を
ばたばたと倒れてゆく人の壁を見ながら、役にたたぬな、と息がもれる。
やはり、弓隊を先にやられてしまったのが、痛かった。まあ、それのおかげで、この男にもこれだけの傷を負わせられたのだが ――
ホムラ様おさがりを、と前にでる男達も、残りは半分ほどになった。
倒れている者どもよりはマシな精神力と体力を持ち合わせているこいつらには、この前の儀式で、少し『力』を分けてやったのが効いているらしく、幻術からどうにか抜け出せたらしい。
言われたとおり下がってみると、手にした剣をふりあげて、とびだした。
「 とおさんっっ ! 」
こどもの必死な叫び声に思わず笑みがもれてしまった。
―― 呼んで、何になる?
ガキ ン
音がして、刃がはねられる。
先ほどからこの繰り返しだ。
血を吐く男は細長い棍を扱い剣をよける。幻術のほかに、武術の心得もあるわけだ。
だが、もう限界だろう。
「 っく、 」
思ったとおり、剣をはじいた男は体勢を保てずに、昆にすがるよう、膝をついた。
好機に、再度、剣をもつ兵がふみ込み奇声をあげた。
―― ようやく、かたがつくか。
だが、おかしな音で、兵士の剣がとばされた。




