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第16話:エゴイスト

「ホープ!」


「つまりはナタージュ家のエゴじゃないの!」


「ええ、レイナのお陰でナタージュ社の新薬の開発は飛躍的に進みました。あなた方が服用される薬などの被検の第一人者として遠慮なく投与出来ました」


「フィオナさん!」


「ホープ!止めて!」


私の身体にしがみついたレイナが私とフィオナをはがそうとする


「お母さん!何で自分を悪人にしようとお話するの!?私、知ってるんだよ!お母さんもお祖母ちゃんも眠っている私に毎日お話を聞かせてくれたり、音楽を聞かせてくれたり、お薬を飲ませる時はすごく悲しそうな感情を出したり……それに私を道具ではなく、一人の娘や孫として見てくれてた事も!」


「事実だからよレイナ。私達はただの罪人なの」


「でも!」


「どうしますかホープさん?この事実を公表しても私は一向に構いません。罪を背負う覚悟はこの子の研究に携わった時から出来ています」


「くっ……」


確かに、フィオナさんは罪人だ。しかも殺人とか強盗とか生ぬるい物ではない大罪人

だけど、私は正義漢が強いわけでも、まして正義の味方でもない


それにレイナの気持ちはどうなるんだ……


レイナの言葉からして嘘偽りがない。いやいや庇ってるのではない事は解る


私の目的は何だ!レイナと平和に余生を暮らす事だろ!


気付くと私の手は自然とフィオナさんの胸倉から離れていた


「何故殴らないのです?」


「レイナの為ですよ。今、この事を世間に公表すればレイナが処分される可能性があります。それは何としてでも避けなきゃいけないから……」


ここで殴っても何も解決しない


レイナを悲しませるだけだ


「ホープ!」


レイナが抱き着いてきた


「これだけは言わせて……。私が目覚めた13年前、お母さんは私を本当の娘のように迎え入れてくれた!私は嬉しかった。人造人間の私なのに。しかも、こうやって自由に外に出してくれてホープに出会えた。だからお母さんが酷い人とは思えないの!」


「そうね、フィオナさんがいなければ私達は出会えてなかったし、恋人同士になる事はなかった」


涙を流し、必死に訴えるレイナの頭を撫でフィオナさんに向き合う


「というわけで今日から私も共犯者って事で、よろしくねお義母様」


「え、ええ……」


いつもの威厳さはどこに行ったか、小さくなっているフィオナさん


もはや私の怒りは消えていた


「さ、こんな所。さっさと去りましょう。私は見なかったことにしときたいので」


そう言って私はレイナとフィオナさんを連れて、培養槽エリアを去るのであった



その後、私はフィオナさんから大量の翼化予防薬を貰った


1回服用すれば48時間効果が効くと言われ、何か異常があればナタージュ社の息の掛かった南海道総合病院に行くようにとも言われた


そして今、私はレイナと共に商店街の中心地にある街頭テレビの前でコーヒーを飲んでいた


『さあ、イーグレットが逃げるぞ逃げるぞ!2位との差約8メートル。一人旅を続けているぞ。ピンクダンサーが必死に追うが追いつけない。追いつく事が出来ない。やはり関ケ原のチケットを持つ者は格が違う!これが南海道の全力クイーン!そのままゴール!圧倒的差でイーグレット、見事無敗の4連勝を飾りました』


「イーちゃん凄いね!また1位でまた湖に落ちた」


「ええ、本当に。ルミナス以外の一番の強敵はイーグレットで間違いないわ」


関ケ原の楕円コースで勝負するなら、間違いなく巨大な壁は彼女だ


追込みと大逃げ。対照的な私達だけど、有利と言えばイーグレットだ


無限のスタミナを持つ特性を生かしたレース運びは抜かされる事に怯えない長所である


毎回湖に落ちるのも、スタミナが切れたわけでもなく、熱くなった身体を冷水で一気に冷やしているからだと私に教えてくれた。真意は解らないけど


「あらー、やっと見つけたーわーホープちゃーん」


「コ、コスモさん……声が大きいです」


その時、背後から私を呼ぶ声がした


振り返るとワインボトルを持ったままの少女と、その後を追うようにおどおどした少女が近づいてきたのであった

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