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見逃したサイン

作者: 八田藍京

定年で職から退いた親父。

昔から好きな盆栽や植木に時間を費やす。

知り合いでも何人か庭いじりの仲間がいる。

元々畑だった地に家を建てて庭も出来た。

私が子どもの頃だったから何十年前だろう。

門構えに松を植え、反対側の塀の近くには柚子の木を植えた。

母曰く何でも風呂に柚子の実を入れたがってたらしい。

行事は大事にしていたので冬至には柚子湯と決めていたようだ。

塀の側には躑躅を植え、玄関先には南天も植えた。

「どうだ、庭らしくなっただろ」

誇らしげな父。

母からすれば面倒くさそうにも思ったが、酒やギャンブルよりかは趣味に没頭するならと多少は目をつむっていた。

ときには近所の小売店へタバコを買いに行く。

家から近いが小一時間経って帰ってくる。

近所にも同世代がおり、店の隅だったり縁側だったりそこで話をしている。

仕事を終えてからそんな機会が多くなった。

そんな父でも心配になることもある。

庭いじりが丁寧なのか矢鱈と時間がかかったり、お茶を飲もうとしてやかんに火を入れたまま居眠りしてやかんを焦がしてしまったことも。

母や周りに話すと年のせいだと一笑される。

年をとるとそんな変化が出てくるとよく聞くが、家族にいると少し不安になる。

それでも大ごとなものはなく談笑する父を見て仕事から解放されたのかなと思った。


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