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海の民 第一章  作者: 来栖 傳
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出航 冒険へ

次話より戦略、戦術談義となりますが、その前提条件を一部開示するパートです。

また、冒険者チームが勢ぞろいします。

船縁には久しぶりに顔を揃えたチームの面々が居た。

主たる4名のほかには、

 他のA級冒険者チーム 

ザグドス 斥候・盗賊・暗殺・諜報・防諜の「便利な男」 宰相家より派遣。

ソリアス タンク(盾)勇者付き 無二の友。

エベロア 薙刀使い サクラの弟子 薙刀はサクラより拝領。 

     守りに特化 「鉄堅固」の二つ名。

オルトルス拳士 シャーマンで、メイスも用いる。

     座右の銘は、「力は信仰のもとい。力があれば大概叶う」


勇者たるジダンが、嬉しそうに皆を見渡して、第一声を上げる。

「皆、元気そうで何よりだ。まずは、イチヒメノミコト様より、お言葉を賜ろうか?」

すると一番小さな体躯が進み出て、

「みんな。今回は敵の総数も、いえ敵なのかも分からない相手の元へ向かう旅です。くれぐれも短慮は押さえてください」と、念を押す。

「情報は集めていないのか?」

何よりも事前調査を大切にしているザグドスが、不満げに問い返す。

「細々とした人の交流は残っているわ。でもそれは、かの国からの貿易商人によるもので、海の国から彼の国に渡った者は、みな帰ってこないの」

噂話として語られ、人々の常識となっている事実が王族の口から認められた。

「事実だとすると、どういうこと?」

エベロアがサクラの斜め後ろに控えながら、シオジを見る。

「まあ、相手も警戒をしていると見た方が良いかもな」

「もしくは、噂通り夢のような桃源郷で、幸せ過ぎて誰も戻ってこないのかも」

ヒメが楽観的な期待を口にするが、彼女の場合は天真爛漫な普段の姿と師匠に仕込まれた腹黒さが同居しているから、本意は窺えない。

「無いなー」

「いや、有るだろうよ。美男美女ばかりが居るとも聞くぜ」

ソリアスとオルトルスが、反応する。オルトルスよ、シャーマンがそんな俗っぽいことで良いのか?いや昔から彼はこんなものだった。ストイックなのは、膂力の研鑽においてのみなのだ。


「昔から人流は一方通行にも関わらず、かの国の噂が統一されているのには意図を感じないか?」シオジがつぶやくが、他のメンバーにはやや難解だったようだ?

「存外、かの国も複雑な事情を抱えているのかもしれないな」

皆が首をかしげる中、最も単純な男が核心を突く発想を行う。

(だから馬鹿でも、侮れない)

一度、サクラの反応を確かめながら、シオジはライバルの凄さを改めて味わう。

「かの国の噂が確かならば、東の遠野大陸へ入植し、西の黄大大陸の文化の源流となった国だ。その中興期から経た歴史だけで1万年以上」

シオジが負けられないとばかりに蘊蓄を述べると、

「複雑怪奇な国情でも不思議ではないということか?」

勇者がシオジの結論を見抜く。

「何にしても、慎重に近づき、争いは避けて橋頭保を築きたいわ」

ヒメも大雑把な方針を示すと、再度、周りの顔を見渡す。

「一番大事なことは?」

「命を大事に。ヒメさま、忘れてはおりません」

ジダンが恭しく傅き、周りもそれに合わせて頭を下げる。


それを遠目に確認したカイジが、片手をあげると船は錨を上げて沖へと動き出した。

「うふふん、歴史の始まりだわ」

ヒメの口角が上がった。

周辺諸国の軍兵も加え、出航です。

ミズホの国について、情報が一部明らかになりました。

ヒメとシオジの作戦は、どんなものになるのでしょうか?

大軍を率いての偵察なき侵攻は案外多く、ハマれば大きな戦果が得られるもののようです。

何となくカリスマに率いられた、ベンチャー企業の勃興のようですね。

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