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海の民 第一章  作者: 来栖 傳
2/11

大事な話はなかなか進まない

第2回の記念すべき投稿です。友人から時代がわかりにくいとの評価をいただきました。

時代は地球でいえば、約三千年前に該当します。

また使用している単語が現代風なので、現代の物語かと思われたそうです。

これは著者が古代の言葉に精通していないために、現代語を借りているだけで、似た概念の違う単語を本当は話しているとご理解ください。

よろしくお願いいたします。

「それに、何よ、私のことを、ばばだなんて」

突然サクラの目に涙が滲むが、鈍感なジダンには何も伝わらないし、

シオジには思い当たる節があり過ぎる。それも心が痛む方向で。

(何が賢者だ)

「オメーラ、いい加減にしないか」

救ってくれたのは、店のマスターの一喝である。

「シオジ、おまいらのその茶番は、この界隈でもすっかり飽きられてきたんだ」


そうか、飽きられたから止められたのか、今度はもっと面白いねじれざまを見物させてくれと。

あたりを見まわしたら、他の客たちが次々に目を逸らす。

(このくそ大人どもめ、ガキの頃から俺らのことをやけに生温かい目で見ていてくれると思っていたら、無料の娯楽を提供させられていただけか…)


「で、シオジの奴も、案外ヘタレでな」

「うむ、賢者って、そういう意味だったんだwwww」

おい、そこのテーブルは聞こているぞ。

いや、聞かせているのか…


「もういいわ、じゃヒメちゃんの作戦を教えてください。」

顔を真っ赤に染めたサクラが、状況を察して姿勢を整える。

「なんだよサクラ、具合でも悪いのか?」

お前は、そういったところだぞ、馬鹿が。

「では俺が知りえた情報を伝えるぞ」


「よし、ようやく始まった」

遠くからわざわざ、カンジの部下が教えてくれる。

忍んで居ないな。

ご苦労。


「ヒメはこの後、港30か所の兵と船を集めて、船出する」

「「「さ・さんじゅう?」」」

大人どもの声が揃ったな。よし、お前らは兵に採用しても良いぞ。

「そして、各代表に乞われてミコとしての務めを果たす。つまり外征だ」

「ま、待て。それは、それは冒険と言えるのか」

冒険者バカが、なかなかいい質問をする。

「つまりは、オレが目立って、その、ヒメ様にお言葉を賜るような場面になりえるのか」

意外に先が読めるな、戦闘方面に関しては。俺の予想でも、圧倒的戦力で楽勝の予定だ。

「もちろんだ。大軍とは言え危機はあり得る、その時はそう、当代の勇者の出番だ」

あっ、ジダンが固まった。いや、大丈夫だ、震えている。

「そうだよな、いや、そうなるに違いない」

「はあ、本当にあんた馬鹿で、お姉さん心配」

「誰がオレの姉だよ」

なるほど、こうやって天然に女心をくすぐるわけか。

ダメだ、俺には頭部に瑕疵がある。


「賢者、続けろ」

なぜかマスターが司会を始めている。おい、同じテーブルに座るな。

少しは聞こえてしまったという演技くらいしろ。


「そう、我々はミズホの国へと漕ぎ出すのだ」

「あたしは、一人部屋にしてね」

「だめだ」

「なんでついてくる前提なんだ?」

「女の一人部屋は何があるかわからない。だからヒメさんと…」

「あたし、あの子嫌い」

今度は全員が固まった。

いや大丈夫。皆が知っていることだ。

「あの子、とっても腹黒いんだから」

「ふーん、で、サクラが言っているのは、どの子のことかな?」

冒険者で馬鹿は、なかなか助かるな。煙幕を張ってくれる。

「ヒメちゃんよ。あんた何も知らないのね、あの子があの白いきれいな顔して、どんなに悪いことを考えているか」

ダメだ。こいつは、素直すぎる。煙幕をものともしない。

「えっ?」

「えって、何?」

「・・・サクラは、まだあの時に餅を少なくもらったことを…」

「馬鹿じゃない、あんたは」


「この展開は新しいな」

誰かがつぶやく。

ありがとう。


「では、次に糧食の手配についてだが」

どうせ話についてこれない二人は無視することにして、俺はカンジの部下のために話を続けた。

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