第86話 酒作り
ある日妖精の本がパワーアップして、いきなりたくさんの妖精を呼べるようになった。
嬉しくなった私は早速妖精達を呼び出して、得意分野を聞いてみる事にする。
庭の広い場所でスキルを展開すると、30人ほどの妖精が現れた。
10名程は、ミリーやウィリーによく似たオレンジ髪の子。他は赤い髪の子と他の子より少し大きな茶髪の子が合わせて10名くらい。
最後に、私とよく似た金髪と緑目の子達が10名程。
「はじめまして、私はコーデリア・アッシュベリーよ。みんなに会えて嬉しいわ!どんな事ができるか教えてもらえるかしら?」
「「「はい!ご主人様!」」」
「では、ワレワレから…」
オレンジ髪の子達だ。
「スデに仲間がお仕えしておりますので、ご存知かも知れませんが、ワレワレはクッキングフェアリーですので、料理関係はなんでもできます。」
「そうね!ミリーやウィリーがいるものね。」
「ハイ!ワレワレもぜひお役に立ちたいです。」
「次は私達が…」
赤い髪の子達が進み出る。
代表の赤髪を三つ編みにした女の子、が可愛らしく膝を折って話し始める。
「わたし達は、温度管理が得意です。物質を長期間一定の温度に保ったり、空間を暑くする、寒くする事も得意です。」
「まあ!素敵な力ね。」
これは…なかなかいい子達だわ。
「では、ぼく達です!!」
茶色い男の子がぴょんぴょんし始める。
「ぼくらは!力が強いです!とっても重い物、かんたんに運べます!」
そういうと、庭にあった巨大な石を簡単にひょいと持ち上げる。
「すごいわ!!力持ちなのね。」
褒められて、照れた妖精はそのまま大岩をアッサリと粉々に粉砕する。
…うん。
怪力だわ。
最後の子達は…?
「…あのね。私達はね!ごしゅじんさまのまねっこが得意だよ!」
「まねっこ?」
「うん!ごしゅじんさまのスキルを一つコピーして、好きに使えるのよ!」
「まあ!」
「でもねでもね!特殊なチカラは無理だよ!ごしゅじんさまだと、ご本と植物育成スキルはコピーできないよ!」
「それなら、腐敗系はお願いできるのね?」
「はいです!」
ジャンプジャンプしながら、妖精達が答える。
可愛いなあ…
みんな名前をつけて欲しがったので、名前をつける。
オレンジの代表の男の子は、ビリー。
赤い髪の代表の女の子は、ネリネ。
茶色い髪の代表の男の子は、目が紫なので、リンドウ。
金髪の子達の代表の女の子は、マリーゴールド。
他にも全員名付ける。
「ご主人様、我々にお仕事くださいな!」
ビリーがお願いする。
「そうね…」
これだけの人数ならあれがいいわ!
お父様からたくさん土地と建物をいただいたのに、私が使うだけだったあの施設達…
そう酒蔵達だ。
ウィスキー工場には、アカデミーで開発したポットスチルやら必要な物が、全て運び込まれている。
他にも、ついでに作ったビール工場。
さらに、ワイン工場とブランデー工場も作ってある。
ワイン工場はただ作ったワインを自然に熟成させて見たかったのと、ウィスキーを作りたかったので、その樽作りの為だけに使っていた。
夢はさらに拡大してスピリットをたくさん作ったり、日本酒蔵も作りたいのだけど…
まずは第一歩だ。
彼らは、働き手にとてもいいだろう。
「では、皆さんにはお酒作りを担当して欲しいのだけど、いいかしら?」
「「「お任せください!!」」」
元気な返事が返ってくる。
翌日、工場地帯で再びみんなを呼び出す。
「では、皆には今日からここでお酒を作っていただきます。ここがウィスキー工場、隣がビール工場。さらに少し離れてワイン工場とブランデー工場があります。」
「わかりました!材料と目指す味の目安をください!」
おお!
流石はプロ妖精達は話が早い。
ちなみに、ウィスキーの簡単な違いがこちら。
今からつくりたい、スコッチウィスキーは、大麦のみを原料に使用したものや、数種類の穀物をのウィスキーで作られるグレーンウィスキーがある。
代表的な材料はコーンだ。
大麦だけのものは、モルト・ウィスキーと呼ばれる。
酒をスコッチと呼ぶためには、他にも決まりがあるけど…
叶えられるところはぜひぜひ真似して作りたい。
スコッチは、シェリーやワインなどといった他の酒で使用された樽で、3年以上熟成保管されたものでなければならないから、樽はあらかじめ用意したものを使う。
こうすると、後々芳醇な香りが加わる。
あと、スコッチはピートが大事だ。
ピートって言うのは、ヒースが堆積してできた泥炭の事。
元々スコットランドがヒースの丘がたくさんあるから、それで作ったみたいだけど、私の場合はノーマンにお願いしてヒースの泥炭を作っておいてもらったのだ。
これの有無で独特な煙っぽさが付くけれど、それが気に入っているので、付けて作るつもり。
でも、受けなかったら意味がないから、バーボンみたいにピートを使わず、樽も新品を使うものも作ろうかな…
ちなみにバーボンの原材料の半分はとうもろこしだ。
他にも大麦や小麦などをブレンドして作られる。
「スコッチウィスキーとバーボンをお願いしたいのだけど…材料は、スコッチウィスキーが大麦とピート、バーボンがとうもろこしと小麦、大麦でお願いしたいわ。」
以前に本で味を調整して作った物を渡す。
5年物と15年物だ。
ビリー達は受け取ると、しげしげと眺め…
「なるほどなるほど…蒸留する訳ですね」
「煮ています。」
「樽に詰めていますね。」
「はっこーしてます。」
見れば製造工程がわかるのか、うんうんと頷いている。
「ありがとうございます。わかりました。」
ウィスキーを返してくれる。
次にビール瓶を渡すと、同じくウンウン頷いている。
「こちらも大丈夫です。早速はじめさせていただきますので、向こうの工場のものもお借りしたいです。」
「お願いするわ。」
白ワイン、赤ワイン、ロゼワインのスパークリングや辛口や甘口を渡す。
こちらも眺めるだけで目指す味がわかるらしく、すぐに瓶を返してくれる。
「こちらもお任せください!!」
ニッコリと頼もしい笑顔でビリーが笑う。
こうして、妖精達に工場を任せた私は、さらに楽しい世の中になりそうだとワクワクしていた。
ある時、試しにウィスキー工場を見て回ると…
ピートで乾かした大麦を砕き、お湯を入れ、混ぜて糖化。
マリーゴールド達が、それを発酵させ、ビリー達が蒸留。
2回蒸留したウィスキーをリンドウが樽に詰めて蔵に運ぶ。
蔵ではマリーゴールド達が熟成を促したり、ネリネ達が温度管理をしたり…とくるくるくるくる働いてくれていた。
こうして出来上がったウィスキーは、酒好きなサラマンダーやドワーフ達の間で瞬く間に噂になり…
少し高めに設定したにも関わらず、商会本部で品切れが頻発する人気商品になったのだった。
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