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第84話 メアリ・アーマッド

最近アカデミーでは、何やら最近聖女だか巫女様だかが降臨したと話題になっている。

サラから聞いた話では、アリア様が何やらご自分のヒール能力を無償提供し始めたのだとか。

ご本人の能力的に1日の人数に制限があるものの、お金がない貴族の家族まで回っているらしい。


「ちょっと心配よね?」

カロンに話しかける。

「どうしてさ。」

「無償は本当に素晴らしい事だけど…それだと、行く先々で無料なら治療してくれ!って人が押し寄せる気がしない?」

「ああ、ニンゲンは特に柔だし強欲だからね。リアがせっかくタダ同然で販売しているポーションを使わずに、治療を迫るヤツは多いだろうね。」

「まあ…あの価格でも高い人はいるでしょうから、無償は本当に良いと思うのだけれど…それだと、一日中治療してもしきれないような人数が押しかけかねないでしょう?それに、噂を聞きつけてやって来た平民を人数制限で追い返したりしたら、彼女の悪評になってしまうでしょう?」

「向こうが優しく、平民まで看るかわからないしさ。もし看るつもりなら作戦立てているでしょ。…わざわざ気にしてやる事無いんじゃないの?」

アンタみたいなお節介のお人好しには見えなかった…と余計な一言まで付け加えている。

「それより、出かけるんじゃないの?」

「あっそうだった!セシル呼ばなくちゃ。」


セシルに綺麗に身支度をしてもらい、今日はフローレンス様の家…

アルメリア伯爵邸に遊びに行く予定だった。

今日は2人にミルクレープを焼いてある。

ホイップクリームとカスタードクリームを交互に挟んだ自信作だ。

飾り用のカットフルーツもたくさん持ったし、お土産のドライフルーツのパウンドケーキも中々可愛く仕上がっている。

伯爵用には、最近開発したスパークリングワインをお土産に持ってきた。


到着したアルメリア伯爵邸は、紺の屋根のなかなか明るく優美な屋敷だった。

周りを白いバラの生垣が囲っており、白い屋敷の壁に合っている。

到着すると、フローレンス様とメアリ様が出迎えてくれる。

「コーデリア様!!ようこそおいでくださいました!」

「……お、お会いできて…嬉しいです…」

相変わらずメアリ様は小動物じみていてかわいいなあ。

「こちらへどうぞ。」

フローレンス様が一階にある、庭が見えるバルコニーへ案内してくれる。

「まあ!素敵なところですね。」

そこは庭からバラの香りが舞い込む、爽やかで素敵な場所だった。


「お2人にささやかですが、お土産ですわ。」

「まあ!!コーデリア様からのお土産は、ワクワク致しますわね!きっと今日も美味しい物に違いありませんわ。」

パウンドケーキの箱を覗き込み、フローレンス様は嬉しそうだ。


2人がアカデミーの話を聞きたがるので、簡単にお話する。

「アカデミーはそのような場所なのですね…私にもコーデリア様のような才能があればご一緒しましたのに。」

フローレンス様はちょっと残念そうだ。

「…フローレンス様は…キース様と結婚…だものね。」

「ちょっと!メアリ?まだまだ先の話よ。」

「ああ、幼馴染のご婚約者様とのいよいよお話が進みそうなのですか?」

ワクワクしてきたわ!

フローレンス様には、キース・ローズスミスという伯爵家長男の幼馴染兼婚約者がいる。

ハーフサラマンダーの彼は、オレンジに近いピンクの髪に、ガッチリとした体格の騎士らしい青年だ。

実直そうな方なので、フローレンス様にはぴったりだと思うのだけど。

キース様本人は、恋愛より剣を振っている方が好きで、中々進展しないので、メアリ様とワクワク見守っているのだ。

「まあ!コーデリア様まで。嫌ですわ…」

メアリ様が何故か、意を決したようにこちらを見てくる。

「あの…こ、コーデリア様!!」

「?なんでしょう?」

「あの、あの…わた、わたくし!…好きです!」

「私も、メアリ様もフローレンス様も大好きですわ。」

メアリ様は、アワアワ普段より落ち着かなげだ。

「あ、あの…そうではなくて…信頼、しています。ので、私から…お願いが、ございます。」

そういう意味ね。

メアリ様が、フローレンス様をチラチラ見ている。

「メアリが良ければ、私からお話しましょうか?」

メアリ様はコクコク頷いている。


「メアリは、元々はアーマッド伯爵家の跡取り娘でしたの。ですが…彼女の父、母が相次いで亡くなった後、彼女の父の弟はメアリを支援するどころか、自分が伯爵家を相続してしまいました。」

「まあ!!」

「メアリはというと、家を追われ、あの保養地に送られて…あともう少しで事故死に見せかけて殺されたところでしたが、なんとか私のお父様が間に合い保護致しました。」

「そうでしたの…」

「成人するまでは、流石に勝手に屋敷にお連れする訳にもいかず、保養地で暮らしていたところ、コーデリア様に出会いましたのよ。」

フローレンス様は、一呼吸置くと話を続ける。

「そして、コーデリア様がギルバート殿下を支援なさっている事を知りました。そこで、メアリと話しまして、メアリの父から殿下に預かっていた品をコーデリア様にお渡ししようと思った次第なのです。」

「品を?」

「ええ、こちらですわ。」

フローレンス様は、メアリ様から小さな木箱を受け取る。

「こちらの品は、いずれ必要になりますが、その時が来るまで…できましたら開けずにコーデリア様が大切におもちくださると嬉しいのですが…」

2人の真剣な眼差しを見ていると、ギルバートの為なら今すぐにみたいという気持ちを優先しにくいな。

「あ…あの、ひ、必要を感じたら…あ明日にでも見ていただいて構いませんので…」

メアリ様はちょっと心配そうだ。

「わかりましたわ!!私、せっかくお2人が信用して下さったのだもの。今は見ませんわ!必要を感じたら見るとお約束致しますし、その時は間違いなくギルバートに渡しますからご安心くださいませ。」

そう言うと、2人は心底ほっとした顔をした。


品物は気になるが、大切に倉庫にしまう。

その後は、やっとくつろいだ様子の2人と楽しくお茶を飲み、楽しいひとときはあっという間に終わった


いつも優しい感想をいただきありがとうございます!

たくさんのブクマや星5評価もいただきありがとうございます♪

おかげでアカデミー編順調に書けています!


また誤字脱字報告もいただき助かります!

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり主人公ばかり良い目をみてライバルは叩かれてばかりなのかな?(そういえば挫折らしい挫折がないような) 主人公も気になるなら取り込むぐらいやってもいいとは思うのだけれども何かやらないんだ…
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