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番外編 バレンタイン

「もうすぐバレンタインだなあ…」

「ばれんたいんとはなんだ?」

メルヴィンは不思議そうだ。


「あ、バレンタインって言うのはね。異国のお祭りで、毎年2月14日に家族や恋人にカードを渡したりする日…らしいわ。でも、他にもお菓子を好きな人に渡したり、友人同士で交換したりとか…そんな風に過ごす国もあるみたいね。」

「食い物がいいな。」

メルヴィンならそうでしょうね。

話を聞いていたカロンも参加してくる。

「花とかいらないから!……菓子なら…どうしてもって言うならもらうけどさ。」

2人とも菓子希望ね。

それなら、いっその事ケーキ屋さんや商会で大々的にPRしてこの世界にもバレンタインを作ってしまおうかな?


そう思った私はモリスさんに、バレンタインなるイベントの説明をする。

「…と言う訳で、このチラシを配って、家族への感謝の印!あるいは友人へ…この機会に気になるあの

方への口実に!!とか宣伝してみて欲しいのよ。」

「なるほど…合わせてチョコレートやクッキー類の期間限定、割引セールもすると…」

「そう!さらに当店で、大金貨一枚以上お買い上げいただいた、先着100名様だけに…限定チョコレートもしくは特別デコレーションクッキーをプレゼント!とか。」

「なるほど…今だけ、ここだけ、あなただけ…商売の原則ですね。」

「どうかしら?」

「チョコレートはお試しいただいた方の反応は上々なのですが、苦いという先入観が根強く、まだまだクッキーやケーキ類に比べると売り上げが今ひとつです。ですので、良い取り組みかと。」

「そう?それなら…生チョコを皆様に試食でお出ししてもいいわよ。」

「!!よろしいのですか?」

「ええ、食べてみないと買いにくい方もいるでしょうし…」

私としては、まあまあの売り上げに思っていたけれど、モリスさんは満足していなかったのだな。

これをきっかけに、売り上げブーストイベントたくさん作るのもいいかも…

ホワイトデーにクリスマス…

中々楽しみだ。


商会で宣伝したバレンタインイベントは、お菓子好きな令嬢や夫人から話が広がり…

目新しさとバレンタインのラッピングの可愛らしいさが功を奏し…

数年後にはすっかり定着した事をお知らせしておく。


2月14日バレンタインの当日午後…

そこにはギルバート、メルヴィン、リュカ、レオナルト、イオ、カロンが勢揃いしていた。

ちなみに、フローレンス様とメアリ様、サラとシーラには別で友チョコをプレゼントしてある。

今年は焼きたてのフォンダンショコラだ。

ガトーショコラに、丸めた生チョコを入れて焼く方法がチョコ感があってお気に入りだ。


「む?何やら甘い匂いがするではないか。」

イオはくんくん匂いを嗅いでいる。

「やあ!コーデリア嬢。お招きいただきありがとう。」

リュカ様はお土産に薔薇の花束をくれる。

うん、とっても似合っています。

「リア…今日は先々でチョコレートや菓子をもらったのだが…到底食べきれないと困惑していたのだけど…もしかして犯人は君なのかな?」

ギルバートは両手にぎっしりと荷物を持っている。

でも中身は手紙だけ…?

「ああ、中身なら彼が…」

ギルバートが指差す方向には、チョコレートをまりまりと貪るカロンがいる。

頬にぱんぱんに詰め込む様は、まるでハムスターやリスのようだ。

「…もったいないから食べてるだけだから。…別に、リアのお店のチョコレートが食べたいとかじゃないからね!」

その割には…

たまに混じっている、他のお店や料理人のをよかしているような…

カロンならまた後で食べるのだろうけど。


「これ食べていいのか?」

メルヴィンがテーブルの上にある、3つのチョコフォンデュ鍋とチーズフォンデュ鍋を指差す。

具材はイチゴや桃などのフルーツ各種、パン、クッキー、ラスク、パンケーキ、クレープ、バナナチップス、ポテトチップス、ナッツ類。

チーズフォンデュの方は、ブロッコリーやにんじん、じゃがいも、ウィンナーやベーコン、パン、ミニピザだ。

チョコレートだけだと、男性陣には辛いかと思って、しょっぱい物も用意してみたのだ。

さらに、箸休めにあっさりトマトスープも作ってある。

自分が甘いもの食べる時は、しょっぱいスープとかが無いと辛い人だから、一応用意してみた。

食べなければ、夕飯にするだけだから別にいいのだ。

「ええ、もちろんよ。みんなへのバレンタインよ。」

「わあ!美味しそうだね。」

ギルバートは早速席につき、イチゴにチョコレートをつけている。

相変わらずイチゴ好きだなあ。

メルヴィンはパンケーキにバナナやナッツを乗せ、チョコレートをたっぷりかけている。

尻尾がフリフリ振れて、とっても楽しそうだ。

「ふむ…中々良い彩ですね。」

レオナルト様はキウイ、イチゴ、バナナ、桃などを並べて嬉しそうだ。

「チーズフォンデュとは…我々にとっても嬉しい気遣いだね。」

「うむ…ちょこれーとも悪くないが。酒には中々こちらが合う。」

リュカ様とイオはセシルからワインをもらって、チーズフォンデュでお酒を飲んでいる。

イオは伸びるチーズが楽しいらしく、ソーセージやパンにつけてびゅーんと伸ばして食べている。


カロンは…

カロン専用に用意したチョコレート鍋を抱えて、真剣そのものだ。

「たっぷり浸すと…果実の旨味が味わいにくいけど…チョコの味が強く感じられるよね。少なめだと…チョコがもの足りないけど果実感がいい感じ。」

チョコの浸し具合を研究しながら食べている。


「もしよかったら、トマトスープも用意しているから、言って頂戴ね。」

全く聞いていなかったカロン以外全員がスープを欲しがり、特にメルヴィンがたくさん飲んだので、意外にもスープもなくなった。


自分も食べてみるが、中々に美味しい。

余ったチョコレートはみんなでホットチョコレートにして飲んだ。

チョコレートを食べて満足した後に、本命のチョコレートのプレゼントだ。


「じゃあ、みんなに私からプレゼントね。」

みんなに手渡しする。

ギルバートには、フリーズドライにしたイチゴにホワイトチョコをかけたイチゴチョコ。

メルヴィンには、ガトーショコラ。

リュカ様とイオは、さまざまなお酒を閉じ込めたボンボン。

レオナルト様は、チョコレートプリン。

カロンにはチョコレート生クリームとチョコレート生地のチョコづくしケーキ。

チョコレートをたくさん食べた後だけど、劣化しない魔石を組み込んだ箱に入れてあるから気が向いたら食べてもらえばいいだろう。

バレンタイン…

すっかり忘れていて一日遅れですが。


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