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第80話 ポーション発売

オリエンテーションがあった日の夕方。

コーデリアと公爵、ギルバート、本部担当のミモザさんが集まって会議をしていた。

今日はいよいよ、ポーションの発売会議だ。


きっかけはある時…

本に頼らないでポーションが作れないか、実験していた。

その時に、ふとクラート草の抽出液を発酵させてみようと思った。

そうしたら…

見事に成功したのだ。

作り方は意外と簡単。

草の汁を絞って、水を加えて煮詰める。

それを発酵させるだけ。

私には発酵させるだけだけど、普通に作ろうと思ったら菌株の発見だけでも大変だろうな。


本で作るときは、小人が何やら鍋を攪拌したり、草を絞ったりと頑張っているのが見えるだけだったので、イメージしか湧かなかったのだけど。

それに、調薬の小人だからか特に腐敗スキルを使う指示も出なかったし。

完成までに本でも丸1日かかっていたのは、そのためだったのね。


中級や最上級ポーションも同じ作り方で作る事ができたので、1番量を出荷しやすいポーションを出荷してみてはどうか?と言う話になったのだ。


会議室では全員の前にセシルがお茶を出してくれている。

「して、コーデリアよ。ポーションの生産量だが…1日に無理なく生産できるのは、どのくらいになるかね?」

「1日に1000本…月に30000本程は問題なく生産可能ですわ。初めは購入希望が殺到する事を見越して、すでに500万本を生産済みですわ。」

「うむ…悪くない数だな。」

「アカデミーと平行してもう少し頑張れば、45000本は可能かと。」

「はじめから最大の量を出しては、後で他の部分が疎かになりやすい。初めはむしろ日に800本ほどが良かろう。」

「はい、お父様。」

たしかに、アカデミーが忙しくなっても続けられる数がいいわよね。

ギルバートが、何やらやたらと楽しそうだ。

「どうしたの?」

「いや。王宮の財源の一つがアッサリと無くなるのがちょっと気分が良くて。他国にそれはそれは高値で売っていたからね。」

「そう…王宮から権利侵害だとか言われたり、国営化しろと言われたら…ギルバートの名前を出して、それでもダメならお父様と竜の大群でも連れて交渉に行けばいいわよね。」

最終的には、拳で語り合う交渉が1番勝ち目がありそう。

でも、ギルバートが堂々と始めたビジネスを邪魔したら、それこそ不自然よね。

おそらく静観する他できる事がないはず。


「うん!そうだよ、リア。心配しなくていい。」

「値段はどうするのかね?」

「小銀貨1枚を考えています。」

1日に100万円程の売り上げで、商会の人件費と瓶代金を抜いたら金貨4枚…

40万円程度の売り上げ。

薄利多売だけれど…

「なるほど…これはある意味公共福祉の為の商品で、中級ポーションを高値で売る気だな?」

流石お父様、頭の回転が違う。

「はい、中級ポーションを富裕層向けに販売し…一本あたり…金貨3枚で販売しようかと。」

「ふむ…少々安い気がするが…王宮に対する嫌味なら効果絶大であろう。」

何しろ、中級ポーションは部位欠損以外のほとんどの傷や不治の病以外の治療ができる仕上がりになっているので、中々にお買い得だと思う。


原価率は変わらないから、こちらの利幅は中々になる。

「中級の方のストックはいかほどにあるのだ?」

「同じだけございますわ。生産も同じだけ可能です。」

「うむ…初めはメインはポーションが良かろう。ポーション700、中級ポーション100程を続けるのは出来そうか?」

「はい、問題ありませんわ。」

「では…明後日から発売を開始すると言う事で、ミモザよ。頼んだぞ。」

「はい!公爵様、お任せくださいませ。」

ミモザさんはかなり仕事ができるので、安心して任せられる。


聞いた話では、すでにそれとなく噂を流してくれているらしいし…

発売したら必ず連絡をくれと言っている大店や店子がたくさんいるらしい。

忙しければ忙しいだけ輝く男、それがミモザさんだった。


その後…

ギルバートがポーションを一般に解禁したと言う噂はあっという間に広がり…

今までは神官にかかる事が、出来なかった国民達は大歓喜した。

さらに、購入の段になり、その値段に驚愕し感謝した。

コーデリアから、ポーションに関しては顧客の購入価格が、小銀貨1枚と大銅貨1枚を超えてはいけないと言われているため、非常に安価に抑えられていたからだ。

そのおかげで、今までは我慢していた痛みや怪我、やけどや病気からすぐに回復できるようになった。

国民達は感激し、民を想う王子を支持してゆくのだった。


コーデリアはと言うと…

ポーション解禁の立役者だと言う事実が広まり、アカデミー内で頻繁に貴族の子息や令嬢から、高くても良いので、中級ポーションを融通して欲しい、と言うお願いに対応する事になった。

しかし、あまりの数に驚き…

アカデミー近隣に商会支店を急遽作り、そこで対応してもらう事にした。

よく考えてみれば、騎士団を持つ貴族ならポーションを備蓄したくなるわよね。

しかも、今までは購入不能だった品が買えるようになったのだから、買わない手は無いわよね…


そして、たくさんの貴族から定期契約をお願いされている。

私としては、町場に十分行き渡ってからがいいので、少なくとも数ヶ月先の開始を考えている。


………………………………………………………

アリアは困惑していた。

「ポーション?」

どうしてポーションが気軽に流通しているの?

私がせっかく希少なヒーラーポジションなのに、価値が薄れてしまう。

ゲームでは、そんな事なかったので、やはりおかしな分岐に来てしまったらしい。

「ここに来てバッドエンドなんて嫌よ!何か考えなくちゃ…」

幸いにして、知っているストーリー通り、コーデリアを嫌いな人物はある程度いそうだ。

だから、その辺をうまく使ってアピールしていくのが1番かな?

今更ヒーラー活動を頑張ったところで、ポーションの普及の速さに全く敵わない。

そう思い、明日早速なんとかしてみようと思うのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] アリアさん、ホントに、自分さえよければあとはどうでもいいってヒトなんですね。 ポーションを流通すれば、助かる人が大勢いるのに、そういうことは考えないし。 貴重なヒーラーポジションと言いつつ、…
[一言] ポーション争奪戦の様相の時に、あえて敵対行為なんかしたら、実家から廃嫡やろね。!Σ( ̄□ ̄;) バカ以外そんな提案に乗らないだろう。(//∇//)
[一言] >幸いにして、知っているストーリー通り、コーデリアを嫌いな人物はある程度いそうだ。 >だから、その辺をうまく使ってアピールしていくのが1番かな? 嫉妬か誤情報に踊らされてる連中をまとめ上げて…
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