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第79話 ヒロインと悪女

前話の主人公の会話部分、ご指摘いただき少し修正済みです。

ギルバートと会場から出てくると、茶髪に茶色の瞳の素朴な見た目の少女が立ち塞がっていた。


少女はしばらくの間、あんぐりと口を開けていたが…

ハッと我にかえると挨拶をし始めた。

「お久しぶりでございます。殿下、私はアリア・アンゼリカですわ。」

久しぶり?

どこかで会ったかな。

少女は何かを期待するような顔でギルバートを見ている。

「アリア嬢…ああ!保養地でパンをくれた子かな?」

「!!はい!殿下。その通りですわ。」

私をチラッとみると、やけに得意げな顔になる。

なんだろう。

この不思議な子。

「あの…殿下?」

「ああ、あの時はありがとう。また会えて嬉しいよ。」

正確には、会ったのはリュカ様の部下だから初対面だけどね。

「わたくしもですわ!今まで、どうしているのか…とても心配しておりました。」

手を前で組んで、うるうるとギルバートを見上げている。

「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。今はもうあそこには住んでいないしね。」

「まあ!よかったですわ。」

アリアは段々と、私に何か言って欲しそうな顔になっている。

何というか…

早く察して!!みたいな顔になっている。

あ、もしかしていなくなれって事かな?

でも身分的には、察して私がいなくなる必要ないよね。

むしろ公爵令嬢邪魔するとか不敬のような。

パンの恩がある子だし、こんな程度でわざわざ、食ってかかるような悪役令嬢みたいな事しないけどさ。


そこにリュカとメルヴィンがやって来た。

「やあ!殿下とコーデリア嬢。そろそろ昼時だし、ランチのお誘いに来てみたのだけど…おっと!お嬢様の邪魔をしてしまいましたか?」

「!いえ!まさか!お会い出来て嬉しいです。リュカ様!それにメルヴィンも…」

「前に会った事があったかな?」

リュカ様をいきなり名前で呼んでいるし、メルヴィンに至っては呼び捨てだし…

変わった子だな…


この世界…

ゲームの舞台って書いていたけど…

舞台だから、ある程度人物の設定とか歴史的流れを汲んでゲームが作られているはずよね。

最初のアイオーン様からの説明にあった、地球からの転生者かな?

だから、リュカ様の事知っているのかな?


まさかね。

同じ国に転生するとは限らないし…

もし彼女がゲームのヒロインポジションで、作品の流れとか人物の背景や内容知っているとしたら、普通痩せ細って汚かったギルバート助けに行かない?

それかコッソリ援助するとか。

あんな不遇な境遇知ってて放置は普通しないよね。

普通がわからないけど…

少なくとも私はしないな。

せっかく内容知っているなら、その知識でなんとかしたいなと思う。

実力が伴わないなら仕方ないのかな。


もし、ゲームの物語の知識を知らないとしたら…

知らないのにリュカ様やメルヴィンの名前知ってるのは、ちょっと不思議。

まあ、貴族だから噂とか社交界で知ったのはあり得るけど。

それにしても、メルヴィンを初対面で呼び捨てにするちょっと危ない子だ。


今のところ、わからない以上ヒロインの可能性は保留にしておこう。

「あっ!大変失礼いたしました。…社交界でよく御二方の噂を耳にしたものですから。」

「噂?いい噂だと良いのだけどね?」

「はい!もちろんでございますわ。皆に優しく、とても素敵な方だと…」

「そう?」

「!!あっ!」

いっけない!と言う顔になる。

コロコロ表情が変わる面白い子だな。

「申しおくれました。わたくしは、アリア・アンゼリカ。男爵家の長女ですわ。」

「ああ、君が有名な男爵家のヒーラーだね。私も噂を方々で耳にするよ。君にかかれば、どんな膝の痛みや腰の痛みも良くなると評判だね!」

キラキラの笑顔を向けている。

へー。

ヒーラーか。

ヒールスキルは希少だって聞いた事があるなぁ。

神官は常に人が足りていないし…

「まあ、ご存知とは…嬉しい限りですわ。」

どこまでも話が終わらなそうだし、ここらへんで中断しようかな?と思った時。

「リア。」

メルヴィンに促された方向を見ると、待ちかねたのか、カロンとイオがズンズンこちらにやって来るところだった。


「あの…アリア様?大変申し訳ありませんが、昼食の予定がございますので…これで失礼させていただきますわ。また、午後の集まりなどでお会いしましょう?」

まだまだこれから!と意気込むアリアに割って入る。

その途端。

アリアは…ああ、やっぱりね。

きたきた!と言うような期待顔になり、周りのギルバートやリュカ様、メルヴィンの顔を見回す。

「アリア嬢、再会できてうれしかったよ。では、また。」

ギルバートは挨拶をすると、セシルが用意してくれた昼食用のパラソルに向かう。

リュカ様も…

「では、また後ほどね。アリア嬢。」

そう言うとギルバートに続く。


後に残されたのは、思っていたのたと違う!と言う顔をしたアリア1人だった…


「お誘いしなかったからか…ショックを受けていたわね。次はお茶会にでも誘おうかしら?」

コーデリアはアリアを誘おうか考えるのだった。


………………………………………………………

遡る事数分前。

アリアは、オリエンテーション会場前でギルバートが出てくるのを待っていた。

ゲームの分岐を間違えてしまったらしいので、急いで本筋に戻さなくては!と思っていた。


「え?どうして、コーデリアとギルバートが一緒に出てくるのよ?」

その姿を見た瞬間に、びっくりして硬直してしまう。

しかし、固まっている場合ではないと必死に挨拶をすると、ギルバートはやはり自分を覚えていてくれた。

しかもこの感じはかなり好感触だ。

コーデリアといるのは予想外だけど、もしかしたら彼女の父親がコネで何かしたのかもしれないし…

あれかな?

コーデリアは完全な王妃派で、アカデミーでもギルバートをいびろうとしていたから、それでわざわざ近くにいるのかな?

あんな事があったのに、顔に出さずに接してあげるなんて…

やはり私の旦那様は優しい人だ。


早く悪役らしく、私に嫌味の一つでも言わないのかしら?

そう思うのに、なかなか口を開かない。


そうこうするうちに、他の攻略対象まで来てしまった。

焦って知らないはずの名前まで出してしまったが、なんとか乗り切れた。


最後にコーデリアが、せっかく私に冷たい言葉を浴びせたのに…

なぜか周りは庇ってくれなかった…

それどころか…

どんどん行ってしまった。


「どうして?やっぱり分岐間違えたのかも…なんとかしてルートに戻さないと。」

さっき会話もアドリブばかりで、知っている会話にならないし…

1番はコーデリアにきちんと悪役を果たしてもらうことだけど…

この後のイベントを思い出しながら、頭を捻るアリアだった。

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