第73話 7年間 中編
次は気になる本がどうなったか。
だけど、公爵家での生活は中々平和で楽しかったのでそこまでたくさん増えてはいない。
とは言っても、もちろん増えてはいるので、その紹介をしたいな。
まず、これは最近ようやく手に入れたのだけど、その名も…
『フェアリー大全』
これで何ができるかと言うと、さまざまな妖精が呼び出せる。
今のところ、絵本の中で頑張ってくれていた妖精が出てきてくれる。
触れるし、会話できる。
すっごくかわいい。
今は2人しか出てこられないけれど、使っていけばどんどん仲間が増えるって言っていた。
ちなみに、本を閉じていても外にいられるけれど、寝たりする時は本を通じて自分の世界に帰っているのだとか。
2人の名前はミリーとウィリー。
名前をつけて欲しいのですぅ、とミリーが言うのでつけたのだ。
ちなみに、ミリーはオレンジ髪をツインテールにしていて、目はくりくりの茶色。
そばかすがかわいい女の子だ。
洋服は茶色のふんわりとしたワンピースに、真っ白なエプロンをつけている。
ウィリーはオレンジ色の短い髪で、茶色の垂れ目の男の子。
ベージュのシャツにサスペンダーのついた、茶色のズボンを履いている。
2人とも背丈は1メートルくらいしかないが、コンロの前に木箱を置いて器用に料理してくれる。
見ている時はそんな感じだけれど、この前ちらっと見た時に普通に空中に立っていたり、高い棚の皿を出していた気がするが…
まあ、きっと気のせいなのだろう。
基本的には、私専用のキッチンで商品を作ってくれている。
例えば、昨日はアイシングクッキーを大量生産してくれていた。
レストランやケーキ屋さんで、常連や記念日のお客様に配布するプレゼントで、かなり評判がいい。
「おいしいクッキーつくりましょーなのですよー」
ミリーが歌いながらバターを混ぜ。
「混ぜるのだ!!楽しいのだ!!」
などといいながらウィリーが砂糖をまぜまぜしている。
「かわいいウサギさんをつくるのですよ!」
「素敵な花束を作るのだ!」
「楽しいのですぅ。」
「キレイなのだ!」
きゃっきゃしながら作ってくれている様は、絵本の時以上に見応えが、あるが…
せっかく2人が私の代わりに頑張ってくれているので、私は商会の事務作業をしていた。
次に増えた本は…
『調薬図鑑』
そう、薬を調合できる本だ。
この7年の間にクラート草とクーロー草が自生しているエリアを見つけて、今はノーマンに増やしてもらっている。
それを倉庫に入れておいて、薬作りたいなぁと思っていたら、ゲットしたのだ。
今作れるのは。
ポーション(風邪や小さな怪我が治る。)
中級ポーション(インフルエンザレベルの病と裂傷ややけどなどが治る。)
最上級ポーション(疫病すべてと部位欠損もなおる。)
初級解毒薬
4種類だ。
カロンによると、最上級ポーションの上のエリクサーがあるらしいけど、流石にまだ作れない。
ちなみに、ポーションはあまり見かけないなあと思っていたら、王宮直下の部署で生産、管理していて、軍隊専用だから一般には出回ってこない。
ギルバートと会話をしていた時に、理由を教えてくれたのだが、曰く。
「父上の時からそうでしたよ。何せ原料の植物の栽培方法が確立していないのです。」
「じゃあ材料はどうしているの?」
「探索能力のある収集班が収集しています。それに、ある程度であれば、決まった場所に群生していますので、そこを王家の土地として保有しているのです。」
「だから、病気とかだと神官を呼ぶのね。」
「ええ、王族であればポーションを飲んだりもしますが…基本的にはそうですね。」
そんな情報を入手しているので、ポーションはまずまず大量生産できるけれど、倉庫にそっとしまっている。
神官とか呼べないような民間層が、喜びそうだから早く市場に出したいけれど、出すと今度こそ王宮預かりになってしまいそう。
まだそんな危ない橋を渡る訳にはいかない。
それでも、中級ポーションをみんなに一瓶ずつ保険に渡しておいてある。
最上級だと、見つかったら騒動になりそうなので、中級にしておいた。
それでも、みんなあまり見たことが無いと驚いていた。
私の本のラインナップ拡充はこんな感じ。
個人的にはどんどん便利になってとっても嬉しい。




