第71話 みんなでクレープ
来週から保養地を離れて、お父様の城へ引っ越すので、最近はよくみんなで集まってご飯を食べている。
ギルバートがいない間は、リュカ様の部下が替玉になってくれている。
「今日はみんなでクレープを作ります!」
「なんですか?それ、とっても美味しそうです。」
ギルバートは乗り気だ。
「材料は何かな?」
リュカ様も手伝ってくれるらしい。
メルヴィンもスタンバイしているので、みんなで作りますか!!
材料…
卵
砂糖
強力粉
薄力粉
牛乳
あとはお好みのトッピング。
今日はたくさんメンバーがいるし、色々つくってみようかな?
メルヴィンには、前に作った事があるバニラアイスの他にも、イチゴアイス、チョコアイス、抹茶アイスをつくってもらう。
リュカ様には、桃のコンポートや食事系の具材の用意を手伝ってもらう。
ギルバートには生地を手伝ってもらおうかな。
「まずは粉をふるって、砂糖を入れます。そこに牛乳をちょっとずつ入れます。」
「はい!お姉ちゃん。」
「ここよくねりねりすると、後で焼いた時に生地がもちもちになって美味しいのよ。」
牛乳をさらに追加する。
次に卵を入れて…
「最後に何回か濾します。」
「……こんな感じですか?」
「うん、いいわね。」
あとは薄く広げて焼くだけ。
「お姉ちゃん、僕も焼いていいですか?」
「もちろんよ!このくらいの生地をすくって、落としたらすぐにこの棒で広げるのよ。」
そう、焼いているのはレオナルト様特製のクレープ焼き機とクレープ用のトンボだ。
あっという間に適温になる上、絶対に張り付かずキレイに剥がせる優れもの。
ふふふふ…
これさえあれば、またどこかで人材をスカウトしてクレープ屋さんを始める日も近いわね。
もちろん、レオナルト様に開発費と材料費を払っている。
「お姉ちゃん!!こーんなにキレイに焼けましたよ!」
ギルバートはキレイな狐色に焼けたクレープを見せてくれる。
「あら、すっごく綺麗に焼けたわね。上手よ。」
「がんばりました!」
「そうね、次も焼いて貰える?」
「もちろんです。」
ギルバートは慎重に焼き始める。
ギルバートを見守りつつ、フルーツをカットする。
モリスさんが張り切って仕入れてくれるので、南国系のフルーツが充実してきた。
バナナとパイナップルをカットする。
「彩がいいからキウイも切るか…」
実はキウイはちょっと苦手なのだ。
でも、ノーマン特別栽培のキウイはとっても甘くて滑らか。
イチゴとリンゴもカットする。
生クリームもたくさん泡立てて、柔らかめのカスタードも用意する。
ソースもチョコレート、イチゴ、ブルーベリー、キャラメルの4種類用意。
「なかなかいい感じだわ。」
「お姉ちゃん、全部焼けました!!」
「リア、できた。」
「コーデリア嬢。準備できたよ。」
「みんなありがとう!!じゃあ始めましょうか?」
「今日はクレープです。この皮に、こんな風に自分の好きな具材を乗せて…こうやってまきまきして食べます。」
「面白い料理ですね。」
レオナルト様は、自分の魔道具でできた品が興味深いらしい。
カロンはソワソワと落ち着かなげだ。
相変わらず甘いもの好きよね。
「あ、そうだ。お酒好きなメンバー向けにお酒を使ったレシピもありますので、欲しければ言ってください。作りますので。」
「ふむ、我は2個目はそれにしよう。」
すでに1個目のチョコバナナクレープを作りながら、イオが答える。
鉄板の組み合わせを見抜くとは、中々ね。
「私はいつものこれかな。」
リュカ様はハムとチーズとケチャップで食事系メニューを作る。
「僕はイチゴがいいです。」
ギルバートはイチゴアイスとイチゴとイチゴソースで、イチゴスペシャルとでも呼びたい品をつくっている。
メルヴィンは難しい顔で、キャラメルバナナに他に何を足すべきか考えている。
レオナルト様は、カスタードと生クリームをシンプルに挟んで食べ始めている。
私も鉄板メニューから行こうかな…
全員が一つ目を食べ終わり、皆自分で作った組み合わせが1番美味いから次は試してみると良い、とお互いに勧めている。
「我は次の品は、その酒を用いたものが良い。」
「私の分もお願いしてもいいかな?」
「わかりました、イオとリュカ様分。作りますね。」
下準備を終え、イオとリュカ様の前に皿を置く。
「もう食ってよいのか?」
「いえ…少々お待ちください。」
火の魔石でフランべする。
うまくいくかな?
ボッと炎が上がり、イオがおお…と感嘆する。
狙い通り、すぐに鎮火する。
よかった。
上手くいったわ。
「では、お召し上がりください。熱いので気をつけてくださいね。」
リュカ様の分もフランべする。
「ありがとう。コーデリア嬢。」
リュカ様は嬉しそうに、バニラアイスを添えて食べ始める。
カロンは静かだと思ったら、たくさんクレープをつくってやたらとキラキラした眼差しでみている。
「はあ…いい…」
うっとりと眺めているので、食べたら?と声をかけようかと思うと、イオがこちらに向けて、コッソリしーと指を立てている。
そっとしておいてあげろって?
まあいいのだけど。
カロンは放って置いて、他のメンバーで楽しく食べる。
ギルバートはとにかくイチゴらしく、カスタードや生クリーム、バナナやアイスとイチゴを組み合わせて食べている。
リュカ様は食事系メインで、いくつか甘いものもつくっている。
イオはやたらとフランべが気に入ったらしく、様々なお酒でフランべしてボッボッっと火をつけては楽しんでいる。
「そういえば、調査のほどはどう?もしお金が必要ならいくらでも言ってね。」
「まだ死因は調査中ですが…調査費は今のところ、お姉ちゃんがくれる畑の使用料で十分です。ちょっともらいすぎですから。」
「そんな事ないわ。ギルくんに畑借りているのだから、もっととってもいいのよ。」
そうは言っても、ギルバートの敷地だけでは手狭になって来たため、最近ノーマンが新たに仲間を呼び寄せた事もあり、そのメンバーはお父様にもらった公爵領の未開の地を使っている。
これがかなり広い。
ノーマンは2箇所を難なく行き来できるらしく…
「こんなにやりがいある土地を!!」
などと喜んでいた。
こうして楽しかった保養地生活は賑やかに終わったのだった。




