第7話 荒屋の掃除
さてと…
どこから手をつけるか。
まずは玄関先に積まれた、生ゴミをなんとかしよう。
能力で発酵させて堆肥にする。
別に肥料にしたい訳じゃないので、臭わなくなるまでガンガン発酵させて土状態にする。
「わぁ!コーデリアさんすごいんですね!!」
「リアでいいわ。」
「じゃあ、リアお姉ちゃん。」
ニコッとこちらを見て笑う。
何?
かわいいじゃない。
お姉ちゃんとか言われると、弟系に弱い私はイチコロだ。
なんでもしてあげたくなる。
「ギル君、申し訳ないけど家の中も見ていい?」
「リアお姉ちゃんが楽しいものは、あまりないかもですよ?」
「大丈夫よ。」
中に入ると、中は思ったよりはひどくない。
外みたいかと思ったが、たくさんの本や汚れた服や布、ほこりと汚れはあるけど玄関先のように腐敗臭はひどくない。
お風呂とトイレはかなり汚いので綺麗にしたい。
「リア、戻ったぞ。」
玄関先にはセシルを連れてメルヴィンが戻っている。
きちんと桶も持ってきてくれている。
「ありがとう!!セシル、申し訳ないんだけど…」
「私は、この方をこちらの桶で洗わせていただきますね。」
さすがセシル。
できる女だ。
かなりドロドロだし、嫌がったら私がやろうと思っていたのに、全然そんなそぶりがない。
メルヴィンはすでにホコリを掃除し始めている。
メルヴィン…頼れるヤツだ。
明日は極厚ステーキにするね。
心の中で約束して掃除しまくる。
しばらくかかったが、ようやく少し綺麗になった。
「お召し替えをお持ちしております。」
セシルは私の服も持ってきてくれていた。
ギルバートは私の寝間着を腰のところで調整して着ているが、さっきとは違い、髪はサラサラになり顔も綺麗になっている。
よく見るとかなりの美少年だ。
「セシル、ありがとう。ギル、すごくさっぱりしたわね。」
ギルバートはすごく嬉しそうだ。
「こんなに綺麗になったの、何年ぶりか…嬉しいです!」
「そう、ならみんなでお昼にしましょう。」
待ってましたとばかりに、メルヴィンが片付けて発掘されたテーブルにつく。
私は床で、とセシルが強情を張るので、セシルは勉強机で食べてもらう。
セシルには大好物の蛙だ。
私達3人はというと、普通のロールパンの他に、りんごのコンポートとバタークリームを挟んだロールパン。自家製ソーセージを挟んだロールパン。レーズントースト。チキンレッグ。鶏胸肉のカツレツサンドイッチ。コールスローサラダ、豆とトマトの煮物などたくさんの私の料理達だ。
メルヴィンはチキンレッグを手掴みで、美味しそうに食べている。
「ギル君はまずはコレ食べてみて。」
ロールパンとデザートに持ってきたジャム入りのヨーグルトを渡す。
しばらく食べていないなら、ゆっくり食べないと身体に悪い。
「ありがとう、リアお姉ちゃん。」
パンを渡すと一瞬、不審そうな顔をした気がしたが、すぐにニコニコと食べ始めるが。
「え?コレ何?」
「何って?ロールパンよ?バターロールって言うの。」
「パン…ですか?これが?こんななめらかなパン、王都にもない。」
もしや気に入らなかったかな。
「ごめんなさい。いつもの硬いパンも持ってくるべきだったわね。」
「まさか!リアお姉ちゃん、これを食べたらもうあれには戻れませんよ。」
「そう?ならいいのだけど。」
「むしろ明日からの食事が少し憂鬱…」
ハッとすると、心配させたくないのか。
「でも、3日に一度くらいはカビていない食べ物が来ますし、慣れているので大丈夫なんですけどね。」
またニコッと笑う。
「そうね、これからは3日に1度は食べ物持って、部屋を綺麗にしにくるわ。」
「え?リアお姉ちゃんまた、きてくれるの?」
「また一緒にきてくれる?メルヴィン。」
護衛してくれるのはメルヴィンだし、メルヴィンに聞かないと。
「リアのいいように。」
「ありがとう!メルヴィン!!」
思わず抱きつくと、嫌がられるかと思ったら尻尾がワサワサと揺れている。
嬉しそう。
もしかすると、頼られるの好きとか?
ギルバートはさらになめらかで酸味が少なく、臭みもないヨーグルトに驚愕し、パクパクとよく食べた。
メルヴィンは、持ってきた大半を食べてこちらも満足そう。
午後はまた掃除に明け暮れ、夕方外の玄関先で残った大きな骨などを片付けようとすると、ギルバートに止められる。
「あ、リアお姉ちゃん、それはそのままで大丈夫です。」
「骨を?」
「はい、あとその土の山もそのままで。」
「気にしなくても、この後入浴するし、私汚れても大丈夫よ?」
「いえ、その方がちょっと都合がいいので…ダメですか?」
都合って…何かわからないけど、まあその方がいいならいいか。
こんなに小さな子を森に残すのは気が引けたが、本人がここにいたいと言うのと、メルヴィンもその方がいいと言うので、残してその日は帰ってきた。




