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第64話 セシル

今後の動きも決まったところで、早いけれど、お父様に連絡を取ろうと思った。

そもそも、他の人から竜を護衛につけた事とかバレるよりも正直に話した方が良さそうだし。


「お父様へ  予定より早く準備が出来そうですので、一度お会いできると嬉しいです。…こんな感じでいいのかな?くだけすぎかな…父親との距離感とかわからないわ。」

うんうん悩んでみたが、妙案も思いつかないので、魔道具のシーリングをする。

パッと手紙が光消えたあと…

1時間もしないうちに…


「お嬢様。公爵様がお見えです。」

早い!

さっき出したばかりなのに!!

「セシル、ごめんなさい。急いで支度お願いできる?」

「はい、もちろんです。」

セシルは綺麗なラベンダー色のドレスと、揃いのシューズ。

小さめのアメジストのネックレスを持ってきて手早く準備してくれる。

「ありがとう!行ってくる。」

「はい、行ってらっしゃいませ。」

ドア一枚で繋がっている、騎士用の部屋にいるカロンを呼ぶ。

「カロン!カロン!!ちょっと一緒に来て頂戴。」

「…何、面倒くさいな。」

カロンが嫌そうな顔で現れる。

「お父様に紹介するから、来てちょうだいな。…あ、オヤツはちなみにメロンパンよ。」

「メロンパン…アイスは挟んであるやつ?」

「もっちろんよ。」

「…ふーん。父親に会うんでしょ。早くいこ?」

ちょっとわかって来たけれど、カロンはメルヴィン以上に食べ物に釣られやすい。

それも、無類のパン好きだ。


応接室に公爵は来ていた。

「おお、コーデリア。息災だったか?」

「ええ、お父様。問題ありませんわ。」

「それで…早めに終わったと聞いて来てみたのだが…そちらの御仁は?」

公爵はカロンの異様さに気がついているらしく、油断なくこちらを見ている。

「ご紹介いたしますわ。私の護衛を引き受けてくれた白竜のカロンです。」

「…は?今、なんと?」

「護衛のカロンですわ。」

「いや、今白竜と聞こえた気がしたが。気のせいか?」

「いえ、カロンは白竜です。私のスキルで、たまたま仲良くなれたのです。」

スキルのおかげって事にしていいよね?

どこから本の事が、漏れてしまうかわからないし…

残りの人生逃亡生活とか嫌だもの。


「竜の…それも人型を取れるレベルの飛竜が護衛についたのか?」

お父様はまだ信じられないらしい。

リュカ様とはは割と順応早かったのになあ。

「そうだよ。アンタの娘は、白竜カロンの名をかけてきっちり守ってやるから安心しな。」

ありがとう、カロン。

チョコアイスも挟んであげるわ。

「ええ、そういう事ですので屋敷に帰る時には一緒に帰りますわ。あと、しばらく屋敷に友人の滞在を許可いただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ああ…かまわないが…」

飛龍王とギルバートは友人と、友人の護衛と言う事にしようと思っている。

もしもの時に、なるべくお父様を巻き込まないようにしたい。

まあ、無理だったらその時はイオの出番だけど…


「今日お呼びしたのは、他にもお願いがあったからなのです。」

公爵は紅茶を飲み、平常心を取り戻そうとしている。


「何かな?」

「この屋敷で世話をしてくれているメイドのセシルですが、とても良いメイドですので、私が直接雇用したいのです。」

旦那様…と公爵の執事がサッと資料を手渡す。

「……。白蛇族のメイドか。雇用はこの屋敷の執事が管理しているようだな。」

「なんとかなりますか?費用でしたら、ぜひ私が負担したく思っております。」

「ああ、特段代々仕えている訳ではなく、たまたま雇用されただけのようだからな。…暗殺の得意な種族だから、多少値は張るが白金金貨3枚か5枚もあれば十分だろう。」

「ありがとうございます。では、お願いしてもよろしいでしょうか?」

白金金貨を5枚渡す。

セシルって暗殺系なんだ。

どうりでいつも足音しないと思っていた訳だ。

「この程度であれば、明後日にはカタがつくだろう。」

「楽しみにしています。それで、そろそろ料理人達を特訓してお店の開店準備も進めようと思っているのですが…」

「店舗の場所の候補をいくつか見繕ってあるゆえ、気に入った物件があれば知らせて欲しい。もしくは、全く気に入らない場合も、遠慮など無駄な事はいらないから言うように。」

「わかりました。」

執事が資料を渡してくれる。

それには具体的な店舗の場所や、一度に入れる人数、費用、築年数、間取り、改装案が書いてある。

中には土地のみで、丸々新築の資料も入っている。

これは見るのが楽しみね。

「では、また近いうちに逢いにくる。」

そう言うと、公爵は帰って行った。


2日後…

セシルが慌てた様子で部屋に入って来た。

「あっあの。お嬢様?」

「何かしら?」

「今しがた執事から、私の雇用主が男爵からお嬢様に変わったと言われまして…」

「ええ、そうよ。嫌だったかしら?」

「むしろ…私でよろしいのですか?」

「私はセシルがいいの。人数も増やそうと思っているから、少しの間忙しくて申し訳ないけど。」

「…嬉しいです。愛想も良くないですし…会話も上手とは言えませんが…誠心誠意お仕えいたします。」

「セシルはそのままで十分よ。まあ、お近づきにまた蛙持って帰って頂戴な。もちろん、パンとワインも一緒に。」

セシルはまだ信じられない…と言う顔をしながら、部屋から去っていった。

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