第62話 作戦会議 前編
翌日は朝早くから、またメルヴィンの家で今後の作戦会議を開いていた。
リュカ様に2人を紹介するところから。
「では、改めてまして…ご紹介いたします、飛龍王のイオと白竜のカロンです。」
「!!!!まさか、飛龍王?!ご本人ですか?」
リュカ様は、昨日楽しく一緒にお酒を飲んだ人がまさか飛龍王だとは思わなかったらしく、ものすごく驚いている。
「ああ、そこのギルバートはなかなか見どころがありそうだからな。我が直々に護衛してやる事にしたのだ。」
「そうでしたか…流石は殿下ですね。」
リュカ様は感心している。
「それで、こちらは白竜のカロンです。」
「僕は飛龍王に言われて、この娘についてるだけだから。」
「イオ様にカロン様ですね。私は、リュカ・ムーンリット。ヴァンパイアです。」
「ふむ、ヴァンパイアの王族か。」
「はい。飛竜の王たるイオ様に御目通り叶い、光栄でございます!」
「そう畏まらずとも良い。酒のわかる奴は好ましい。」
「ありがとうございます。」
自己紹介が終わったところで、リュカ様に経緯を説明した。
「…というわけで、2人が一緒に来てくれる事になったのです。」
「なるほど…そうだなあ。2人は、コーデリア嬢の護衛として執事に届け出るのはどうかな?」
「2人ともですか?」
「うん、ギルバート殿下の護衛だって堂々と宣伝して回る訳にはいかないし…イオ様も、ずっと森に引きこもってばかりはつまらないだろうからさ。」
「それで、2人とも…」
「我は別にニンゲンの世間体などどうでも良い故…好きにするが良い。」
「ありがとうございます、イオ様。執事に言えば、正式に護衛として周知してくれるだろうから、彼にいうといいよ。」
「リュカ様、ありがとうございます。」
「いやいや、このくらいは礼には及ばないよ。…それより、強力な守りを得た今、どうするつもりだい?このまま王城へ突撃するかい?それとも、下準備を整えてからかな?」
「僕としては、もう少し時間が必要だと考えています。」
ギルバートが答える。
「なるほど…何かお考えが?」
「ええ、今無策に飛び出して行き、イオやカロン、メルヴィン達の力を借りて王を倒す事は簡単かもしれません。」
「ええ。確かに…」
「でも、僕は叔父のようにはなりたくありません。血で血を洗うような王座を巡る争いは無意味で、国力を悪戯に低迷させるだけだと思います。…そこで、やはりここで本来の加護を持つもののみが正統である、という流れに戻す必要を感じます。」
「なるほど…」
「そこで、父王の死の原因を明らかにし、さらに僕が功績を打ち立てる…その上で、叔父達に退位していただくつもりなのです。」
「方策はお考えですか?」
「ええ、幸いにして、僕にはコーデリアお姉ちゃんとレオナルト、イオさらにメルヴィンと貴方という強力な味方がいます。コーデリアお姉ちゃんはすでに僕のために動いてくれていますが…お姉ちゃんが国中…いや世界中の食文化を激変させます。さらに、レオナルトは類稀な才能で次々と魔導具を開発してくれています。つまり、文化面の躍進は全て僕の陣営で起こる事なのです。最後に…これはない方が望ましい事ではありますが…南と西の国家が現王に加護がないと嗅ぎつけたらしい…という情報が入っています。」
少し黙ると…
重たい口を開く。
「この争いを未然に回避、ないしは争いでの勝利を治める事を持って、僕の正当性を示す事ができるのではないかと。」
レオナルト様がギルバートに同調する。
「二国は仲が悪いですから、協力して攻めて来るとは考えにくいですが…逆に、相手が動く前に仕掛けようと躍起になるでしょうね。…通常軍備には10年程を要しますが…それ以下のスパンで攻めてくる可能性も否定できませんね。」
「ええ、もちろん、加護の調査後に確証が持てたらになると思いますので、まだ時間はありますが、無限にあるわけではありません。そして、二国は強国ですので、打ち倒すのは容易ではありませんが…こちらにはイオがいます。それに、協力してくれるならメルヴィンもいるのです。」
ギルバートが2人を見る。
「この2人が出れば、間違い無く…こちら側は無傷で勝利を治められます。」
大国相手でも、流石に飛龍王その人が出て来ては相手にならないよね。
それに、メルヴィンも出鱈目な魔力だし…
たしかに、そこまですれば平民ですらギルバートに王座を!!と騒ぎ出すだろう。
でも、こういうのを聞くと…
流石に王子様だな、と気付かされる。
それに思っていたよりずっと強かだ。
ギルバートが皆を見回しながら言葉を紡ぐ。
「それには、皆の協力が必要不可欠なのですが…」
今のギルバートの目にはどんな条件であろうと、頷きたくなるような引力がある。
「我には容易い事だ。」
「ま、僕が難儀するような事は起きないね。」
竜2人組はやる気のようだ。
「僕の忠誠はすでに殿下のものです。」
レオナルト様が、片手を胸に当てる。
「リアの友は友だ。」
メルヴィンが頷く。
「私はコーデリア嬢の味方ですが…それを抜きにしても、殿下を微力ながら支えたく思っております。影武者や諜報活動は得意分野ですので、手足のようにお使いください。」
リュカ様が、跪く。
「私は…もちろん、ギルくんの味方よ。私が好き勝手にやってしまった事だけど、功績になりそうならどんどん利用してちょうだい!それと、失敗したら他人に過ぎない、とかいじめを受けていたとか言っていいから!」
役に立てるのは本望だが、足を引っ張りたくはない。
「リアお姉ちゃん、流石にそんな事はしませんよ。それに、お姉ちゃんはきっと大成功してくれますよ。」
「そうかな…もし成功したら、僕が指示してやらせたとかプロデュースしたとか言ってアピールしてね!」
せいぜい上手く使ってもらわないと…




