第57話 出発準備
「旅行に便利な魔導具って、この国にはどんな物があるか知っているかしら?」
公爵、伯爵との会合を終えた翌日、ゆっくりと自室でお茶を飲みながら、セシルに質問する。
「そうですね…例えば、移動用のテントや簡易調理器具をはじめ、貴族の旅行用に豪華な移動クローゼットや豪華な風呂つきの簡易屋敷まで様々な品がございます。」
「そう…」
思ったより、いろいろありそうね。
「では、雨を避けられるような道具や暖房具もあるのかしら?」
「…お嬢様?もしかして、ご旅行ですか?こちらにお戻りにならないなどという事は!」
セシルは珍しく慌てている。
「心配しないで。ちょっと数日出かけたいだけで…セシルをここに置いて消えたりしないわよ。」
「…それなら良いのですが。もし、出てゆくなら私もお連れくださいませ。」
「ええ、セシルがいないと困ってしまうわ。必ず帰ってくるから心配しないで。」
「お嬢様…」
何か言おうとしたが、セシルはお茶を入れ替え、再び口を開いた。
「旅行用品の買い物を、モリス様に依頼なさらないのでしたら、私が町で購入して参りましょうか?」
「ええ、実は内密に進めたい旅だから、コッソリ進めてくれると助かるわ。」
「わかりました…お任せください。」
「ありがとう。」
お金と、セシルが大好きな蛙とワインを渡す。
セシルなら、渡しても誰かに毒は盛らないだろう。
そんな心情を感じたのか…
「お嬢様…感謝いたします。」
そう言うと、退室した。
「よしよし…あとは水の魔石と…魔石が使えない場所に備えて、瓶にたくさん水詰めて…」
りんごや桃など、すぐに食べられる果物がたくさん本の倉庫に入っているので、飢え死にする事はないのだが…
「やっぱり旅の途中でも、美味しいもの食べたいよね。」
メルヴィンの家でまとめて作っておこうかな。
途中で作るとそれに時間取られちゃうし。
「たくさん作りますか!」
気合いを入れて、料理を作る。
バターロール
食パン
パンオショコラ
クリームパン
白桃のデニッシュ
アップルパイ
コッペパン
チキンカツ
照り焼きチキン
ミネストローネ
ステーキ
ローストビーフ
温野菜
ポトフ
「竜がもしかしたら、肉とかワインが好きかもしれないから…」
ローストビーフはかなりたくさん焼いておく。
「コッペパン焼いたから、ウインナー挟んでも、卵サラダ挟んでも、チョコ挟んでもいいわよね。」
こんな物かな…
あとは作り置きのケーキやアイス、チョコ、クッキーはあるから、大丈夫かな。
そんな事を考えていると、匂いに釣られたのかメルヴィンがやってきた。
「リア」
「あら、メルヴィン。どうしたの?何か食べる?」
「ん、肉。」
「じゃあ、地下室のコールドミートでいいかな?」
「ああ。」
地下室からコールドミートをとって来て、トマトとガーリックソースでサンドイッチにする。
「お待ちどう様。」
メルヴィンは機嫌良く食べていたが、たくさんある料理が気になるようだ。
「これはね、旅の支度よ。」
「早く用意して、竜の谷に行きたいじゃない?だから、食糧を作っていたのよ。」
竜の谷までは、やっぱり馬車で行くのかな?
レオナルト様は、途中からは道がないって言っていたけど…
「何か気になるのか?」
「レオナルト様、馬車で途中までしか行けないって言っていたから、ちょっと気になって…これで足りるかなあと…」
「足りるだろう。」
「でも、歩きだと私遅いしね。」
幼女の歩幅の無さはすごい。
「リアとギルバートと竜人くらいなら、乗ればいい。」
「乗るって、何か乗り物あるの?」
「ん。」
自分を指差している。
「メルヴィンがおんぶするの?全員は無理じゃない?」
「ちょっと来い。」
呼ばれた通り、外に出ると大きな白とグレーの体毛の狼がいた。
「……え、もしかして…メルヴィン?」
目の前で、狼がまたメルヴィンに戻る。
「ダイアウルフ。」
ああ、ダイアウルフって大狼って意味だっけ?
こんなに大きいのね。
「馬車で行けない場所は、乗せて移動してくれるのね?」
メルヴィンがコクコクと頷く。
馬車はリュカ様に頼んだし…
セシルが買い物から帰ったら、いつでも出発できるわね!
こうして、準備を整えた私達は、リュカ様達に替え玉を頼み…
3日後、竜の谷へと出発したのだった。
誤字脱字報告ありがとうございます!
竜探しに旅立ちましたね。
次回はヒロイン回予定です。




