第54話 販売会議 前編
「では、商会の体制に関してはそれで良いな。」
公爵が締めくくる。
「次に、どのような商会にして、何を主軸に取り扱うか…という事に関してだ。」
「あの、それに関しては…できましたら、販売を希望している品々を実際に試食していただいてからご判断いただきたいので。少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。明日の午前中また集まろうと思うが、伯爵は予定はどうかな?」
「私も今回はゆっくり時間を…と思っておりましたので、数日ゆとりがございます。」
「ありがとうございます。それでは、また明日よろしくお願いしますわ。」
一礼して退室する。
よーし!
ここからが頑張りどころね!
明日の話し合い次第では、ワインの販売以外にも、パン屋さんを出したり…
ケーキ屋さんを出したり…
チョコレート屋さんを出したり…
はたまた調味料やジャムを扱うお店を出したり…
調味料の使い方をレクチャーして、レストランを出すのもいいかも?
ついでに調味料も販売するとか?
ワクワクしてきたわね!!
私が世に出す調味料や料理はうまくいけば、国中…
世界中に広がるだろう…
そうしたら、模倣店やアレンジ店もできて、みんなが美味しい食事にありつけるようになる…
もちろん私も、いつかゆっくり旅行に行ったりした時に、美味しいご当地グルメとかを楽しめるようになる。
うん、素晴らしいわ。
そう上手くいくかわからないけれど、伯爵が顔になってくれているのだ。
少なくとも、お酒部門は成功するでしょう。
明日出すものは…
ワイン
エール
マヨネーズ
ケチャップ
テリヤキソース
トンカツソース
クロワッサン
バターロール
食パン
チョコレート
ショートケーキ
フルーツタルト
プチシュー
クッキー
スコーン
エイジングビーフのステーキ
カツレツ
白身魚のフライ
「このあたりかな?」
大急ぎで支度をして、明日に備える。
とは言え…1番頑張るのは小人で、私ではないけどね。
今日は試食会なので、セシルに髪はアップにしてもらった。
洋服は明るいパステルグリーンとオフホワイトのストライプの清潔な印象の物を選ぶ。
たくさんの品があるので、しばらく食堂を借りきっている。
「それでは、試食会を始めさせていただきます。」
公爵と伯爵はしげしげと興味深げに、テーブルに置かれたバターロールを眺めている。
「始めに、自信作のバターロールをお召し上がりください。」
ワインとバターロールをセシルがサーブしてくれる。
伯爵は持ったパンがふわふわ軽い事に驚き、パンを振ったり突いたりしている。
今は夢中で上からツンツン突いて、ふんわりと跳ね返るのを眺めている。
公爵の方は落ち着いたもので、ワインを飲み…
うんうんと頷いたあと、バターロールを半分に割り、パクリと一口で食べる。
その頃になり、ようやく伯爵もパンを食べ…
固まった。
「……これは…どんな魔術が?」
「素晴らしい口当たりだな。さすが我が娘。」
伯爵は絶句し、公爵は何故か胸を張って得意げだ。
「そちらは、魔法ではありません。この国では、パンは無発酵パンですが、こちらは酵母の力でふわふわの口当たりを実現しておりますの。」
続いて、ソーセージを挟んだ物と白身魚とタルタルソースを挟んだものを出す。
これには流石の公爵も驚き…
タルタルソースが気に入った様子の彼は…
「まさかこのような美味さが世界にあるとは…」
などと絶賛し、タルタルソースだけをセシルにもらって食べはじめた。
伯爵はどうやらケチャップがいたくお気に召したらしく、瓶を自分の前にキープしている。
「あの、まだまだ次の品がありますので…この辺で。」
長くなってしまいましたので、前編後編にします。




