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第51話 ギルバートとレオナルト

私は、チーズケーキをメルヴィンに振る舞いながら、レオナルト様の事を説明していた。

「それでね、レオナルト様がぜひ、主であるギルくんに会いたいって言ってるのよ。明日行く時に、一緒に連れて行ってもらってもいいかしら?」

「レオナルト…?ああ、あの竜人か。…リアがそう望むなら。」

あら、思ったよりアッサリオッケー出してくれたわね。

「いいの?一応、レオナルト様からは証拠にってこれ預かっているのだけど…」

預かったネックレスを見せる。

「リアが悪意を感じなかったのなら、かまわない。」

私が鈍いだけって事もあるかもだけど…

まあ、レオナルト様はオベロンからのアドバイスだから味方だろうとは思うけど。

「敵なら排除すればいい。あまり心配するな。」

「そう…まあ、お願いしたのはこちらだしね。明日よろしくお願いしますね。」

「ああ、任せろ。…それよりもう一つ、大きめで欲しい。」

スフレチーズケーキは好みに合うらしく、追加の一皿もあっという間になくなった。

「あと全部あげるけど、一度に食べると気持ち悪くなるかもしれないから、地下にしまうわよ。」

「問題ない。」

おかわりって意味かな。

顔をみる限り、しまってもいいと言う意味では無さそう。

残りの半分以上残っているケーキを差し出すと、そのままモリモリ食べ始めた。


翌日、レオナルト様も一緒にギルバートの家に向かう。

レオナルト様はどこか、緊張した面持ちをしている。

「緊張してますか?」

「あ、ええ。すみません。ようやくお会いできると思うと中々眠れなくて…」

「ギルくんはとてもいい子ですよ!きっとレオナルト様とも、すぐに打ち解けると思います。」

「そうだと良いのですが…」

それに、ギルバートが探している竜の谷の重要人物だし…

邪険にされる事はまず、ないと思う。


それより、さっきから静電気みたいなのがパリパリ来て痛いのだけど…

何これ…

「すみません…僕に対する隠蔽魔道具が反応しているので、痛みますよね?」

「え?これはその反動なのですか?」

「はい、壊すと我々がギルバート殿下を見つけた事がバレてしまいますからね。壊さず通る事ができるよう、結界の魔道具を発動していますが、少しまだ甘い部分があったようです。」

「でも、メルヴィンと来た時には何も感じなかったような…」

「壊した。」

「壊したって?メルヴィンが、隠蔽魔道具を壊したって事?」

「ああ、痛いからな。」

メルヴィンはなんでもない事のように言う。

「つまり、狼族に向けた隠蔽魔道具は壊したと言う意味でしょう。元々、人族に対するものは無いようですし…」


そうか、人族だとあのローズマリーとか言う人とかも来られなくなって、都合悪いものね。

他の人族は、こんな森にわざわざ立ち入らない貴族の子供達だし…

メルヴィンを放置していたのは、メルヴィンの強さに対応するよりは、どうせ大した支援はしていないから、放置したのかな?

ギルくんが、監視係にまだ汚い格好を見せ続けているから、まだバレていないかもだけど、こうして味方が増えているって言うのはバレないように内緒にしておかないと…


「レオナルト様、着きましたよ!」

「リアお姉ちゃん!!」

到着するなり、ギルバートが駆け寄ってくる。

今はもうすっかり健康そうな少年だ。

「!!!!殿下…」

レオナルト様はその場に跪いた。

それをみたギルバートが、不審そうに尋ねる。

「あの…この方は?」

「レオナルト・ローゼンハウス様です。竜人で、ギルくんに会いたいと言うので、連れて来ました。」

「殿下。ご紹介に与りました、レオナルトと申します。我が主人に目通りが叶い、感謝の念にたえません。」

「レオナルト、ですね。ここではなんですので、中に入りましょう。」

促されて中に入る。

相変わらずテーブル付近は雑然としている。


「ギルバート殿下、ご無事で何よりでございます。」

「リアお姉ちゃんと、メルヴィンのおかげで。」

「何よりでございます。主が、ご要望とお聞きしました、竜の谷への案内も、喜んでつとめさせていただきますので…どうかお側に置いていただけませんか?」

レオナルト様は必死だ。

「レオナルト…僕はもしかすると、生涯王座につく事は叶わないかもしれませんよ?」

「それが主の道であれば…喜んでお供いたします。」

「そうですか…それは、ありがたい申し出です。これからよろしくお願いしますね。」

ギルバートはニッコリと笑うと、手を差し出した。

うんうん、やっぱり仲良くなれそうね。


場も温まってきたので、お茶を淹れる。

今日のおやつは桃のタルト。

タルト生地は本で作り、カスタードクリームと、生の白桃をたっぷりと乗せた贅沢な自信作だ。


特にギルバートが気に入ったらしく…

「リアお姉ちゃん!この桃の瑞々しい感じと、カスタードクリームのなめらかさ、それにタルト生地のザクザク感と香ばしさ!!素晴らしいですね。」

などと絶賛しながら、一人で3回もおかわりしていた。

…もしかしたら、長年探していた情報に、やっと光明がみえてホッとしたのかな?

そんな事を考えながら、ギルバートのために、おかわりのお茶を用意したのだった。

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