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第44話 妖精王

「探しても、なかなか手がかりが掴めないものなのね…」

竜の谷のありかを探す事3か月…

あたりはついて来たが、3人で探してもなかなか前進しない。

リュカ様とレオナルト様はギルバートに協力してくれるかわからない以上巻き込めないし。


今日はいよいよ、リュカ様とお買い物だから楽しみすぎる。

「朝ごはんは、フレンチトースト!!」

フレンチトースト大好きなのよね〜

「しかも、きちんと前日から漬け込んだヤツ!!」

メルヴィンは散歩とか言っていたから、先に食べていようかな。

帰ってきたらまた焼こう。


ふと本を見ると…

『上級レシピ…ファクトリー』

「あれ、いつのまにか本が追加されてる…」


中を見た私はとても驚いた。

「ウソ…チョコレート!!板チョコがある!!チョコレートソース、スプレッドまで!それにパスタの乾麺…欲しかったベーキングパウダーもあるし…塩や砂糖まである。」

すごいわ。

チョコレート!

カカオは手に入れていたのに、作れなかったチョコレート…

ついに作れるのねー

チョコレートケーキにガトーショコラ、チョコレートパフェ、バナナチョコクレープ、ホットチョコレート…

いけないいけない。

嬉しさのあまりトリップしかけてたわ。


「とりあえず、朝ごはんが先よね!」

ちなみに、材料。

食パン、卵、砂糖、牛乳、生クリーム。

まず、材料を全部ボールに入れて混ぜる。

濾す。

平たい皿とかに並べて液に浸す。

前世ではジップロックに入れていたけど…

私は、パンの耳がカリッと焼けるのが大好きだから、耳はそのままだけど、真ん中のフワトロだけ味わいたい人はとってから浸してもいいかも。


前日にここまで仕込んで置いたので、あとは焼くだけ。

両面をじっくりと焼き上げる。

一気に焼かない方がふんわりトロトロになる。

両面を焼いてから、最後に発酵バターを投入。

香ばしい匂いと、バターで焼いた時の特有のカリッとした風合いが耳と表面につけられる。

「会心の出来だわ。」

1人満足していると…


「ずいぶんと美味そうなものだな。」

声が聞こえたので、そちらを見ると…


深緑色の髪に、黄緑色の目、尖った耳の美形な男性が立っている。

明らかに雰囲気が只者ではない。

「あの…失礼ですが…」

「オレか?俺はオベロン、妖精だ。」

オベロン?

オベロンって妖精王じゃなかった?

まさかこの人…

違うかな。

ほいほい妖精王なんて出歩いていないよね。

「私はコーデリア・ハヴェルカ、子爵家の長女ですわ。」

「あー。そういう堅苦しいのは無しで!ニンゲンの爵位になんて、微塵も興味がないものでな!」

「そうですか…」

「で、その美味そうなものはなんだ?」

「これは…フレンチトーストというもので…」

「ふーん、お前の世界の食い物なんだな。」

「えっ?」

今、なんて?

「オレにわからないとでも思ったのか?愚かしい。魂の色がこんなに違うというのに…うまく誤魔化しているつもりか?」

「いえ、誤魔化しているつもりはないのですが…」

何者かしら…

いるだけですごいプレッシャーを放っている。

「まあ、いいや。それ食わせてくれよ!」

「はい…お気に召すかわかりませんが…」

はちみつをかけて差し出す。


「うぉっ!!うっまー!!なんだこれ!めちゃくちゃウマイぞ。」

大興奮で食べている。

妖精って食べられるのね…

てっきり花の蜜が主食かと…


「オイ!お前…コーデリアとか言ったか?」

「はい。そうですが…」

「あと3枚焼け!それと他にもあれば何かだせ。肉以外ならなんでも食べられるぞ。」

肉はNGね。

「では…焼いている間にこちらを…」

アップルパイのバニラアイス乗せと、マルゲリータピザを出す。

どちらも倉庫から出したのでアツアツだ。

アイスは冷え冷えだし…

「うむ、これも美味そうだな。」

どちらもお気に召したらしく…

ガツガツ食べている。

その間に、3枚追加で焼いて出す。

「お待たせいたしました…」

なんなんだ。

この居座り男。

やたらと偉そうだ。

「おう!そうだな、この白いモノが気に入ったから乗せろ。あとこのソース2種類な。」

バニラアイスと、ブルーベリーソース、ラズベリーソースをご所望だ。

「かしこまりました。」

しばらくウマイウマイ!と食べていたが、突然。

「よし!決めた。お前、今日からオレの友達な!こんな美味いモノあるなら、また食べたいもんな!」

1人で納得して、いい考えだとばかりに頷いている。

え…

なんか可愛げないし、迷惑なんだけど…

大人はもう、そんなに食べなくてもいいじゃない?

成長期のみんなに食べさせるほどの達成感ないから、お断りしたいな。

しかも友達って…

断ろうと口を開きかけた時…


「コーデリア嬢!大丈夫ですか?」

レオナルト様が血相を変えてやって来た。

「レオナルト様…私は大丈夫です。」

レオナルト様は、オベロンを見るとさーっと青ざめた。

「このお方は!!」

「俺はオベロン!よろしくな。」

「妖精王!!」

「ん?ああ、そうだけどさ。つまんない政治は妻のタイターニアがやってるからさ。まあ、適当な存在よ。」

「コーデリア嬢。そう言っておりますが、妖精王といえば、隣国のシンボルでもあるほど絶対的な魔力を持つ存在。その力は、我が国の守護竜とも何度も戦ったほどなのです。」

なるほど…

それでこのプレッシャー。

納得したわ。


「そう身構えるなよ。俺はコーデリアは友達に決めたんだからさ、気楽に接してよ。」

「トモダチ?まさか…友達になったのですか?」

「そうそう、変わってるし気に入ったからさ。ちょいちょい遊びにくるわ!」

そういうと、ヒョイと椅子から立ち上がる。

「あ、そうだ。帰る前にさ、なんか土産になりそうなものとか無い?しばらーく帰ってないから、妻にお土産でも持って帰ろうかと思ってさ。」

「お土産…ですか。」

クッキーなら倉庫にあるか。

「よろしければ、こちらをどうぞ。」

ハーブクッキーと紅茶クッキーを渡す。

「おっ!助かる。じゃあな!!」

シュッという風の音がすると、もうすでにオベロンはいなかった。


「はあ…なんか…疲れた。」

「大丈夫ですか?」

「レオナルト様、来てくださったのですね。」

「ええ、近くにいたらただならぬ気配を感じまして…」

「助かりました。…何やら嵐のような人でした。」

「そうですね…私もまさか妖精王とは…驚きました。」

「あの。少し気になったのですが、私がオベロンと仲良くなると、外交上まずいとかありますか?」

隣国のシンボルって言うし…


「いえ…彼は元々、人間や普通の種族では制御不能ですから。大丈夫でしょう。」

「そうですか…」

なんか、とんでもないものを呼び寄せてしまったな…

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