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第39話 シュークリーム

お茶会が無事に終わり、友達まで出来て私はとてもご機嫌だった。

「このウキウキ気分を盛り上げるべく、何か作ろうかな。」

ちょうど明日の午後は、ギルバートのところに行くので、彼が喜ぶようなお菓子がいいかもしれない。

パンも焼きたいが、それは焼きたてを持って行こうかな。

そう思った私は、久々にシュークリームを焼く事にした。

材料は。

小麦粉

バター

シンプルな5つだけ。

意外と簡単なオヤツなのだ。

鍋に水と塩、バターを入れて温める。

火から下ろしてバサッと小麦粉を投入して木べらでねりねり…

そこに溶き卵を入れて、ちょうどいい柔らかさになったら、丸く絞って霧吹きして焼く。


焼けたら、前に作ったカスタードと生クリームをお好みで挟めば完成!!

出来立てのサクッサク感はたまらないので、定期的に食べたくなる。

長く絞ればエクレアになるしね。


ギルバートとメルヴィンに紹介する時は、シューアラクレームとクリームパフどっちで紹介しようかな…

日本人以外がシュークリームって聞くと、シューは靴って意味で、靴用クリームって意味に聞こえるらしいから、やっぱり馴染みやすい名前の方がいいよね。

靴磨きだと、挑戦するのに勇気いるし。

間違えて、シュークリームって言わないようにしないと。

私は焼きあがったシュークリームをみて満足し、一旦本の倉庫にしまった。


次の日は午前中また、図書室で資料探しをした。

また、レオナルト様がいる。

青い髪に藍色の服がよく似合っている。

「また探し物ですか?」

「ええ…今日は王の伝記を、読んでみようかと思いまして。」

「そうですか、それでしたらこちらです。」

実はレオナルトとは、もう何度か図書室で会っている。

最初こそ、疑いの目を少し向けられていた気がするが、今や態度が少し軟化し積極的に本探しを手伝ってくれる。

彼自身はというと、何やら難しそうな本を片手に、魔道具の図面を引いている。


どれくらい経っただろうか…

時計を見ると、10時頃だった。

そろそろ、一旦休憩しようかな。

一度も誘った事がなかったが、今日はなんとなくレオナルト様も誘ってみた。

「あの、レオナルト様。私今から少し休憩を挟もうと思うのですが、もしよろしければご一緒にいかがでしょうか?」

「…いいですね。私もそろそろ休もうかと思ったところです。」

表情はクールなままだが、意外にもレオナルト様が了承してくれた。


休憩室に移動し、持って来た紅茶セットとせっかくなので、シュークリームを取り出す。

食べやすいように、一口サイズのプチシューだ。

「レオナルト様、こちらシューアラクレームというお菓子なのですが、甘いものが苦手でしたら別な物をご用意いたしますわ。」

「いや、甘い物も問題ありません。」

セシルが、プチシューと紅茶をレオナルト様にサーブする。

小さなフォークもつけてくれている。

さすがセシルだ。

この生地はベタっとしていないから、サクリとフォークが通る。


これこれ、やっぱり頭を使った後は糖分よね。

サクッサクでも軽やかな歯触りは、食感が良くていくつでも食べられそう。

香ばしい焼きたての香りも素晴らしいし。

レオナルト様は大丈夫だったかな。

見ると、レオナルト様はしげしげとシュークリームを眺めている。

「これは…貴女の料理長の創作ですか?」

「いえ、これは私が作りました。」

発明したのは私じゃないけどね。

「そうですか…ここまで素晴らしいお菓子を…どうやって開発したのか、ぜひお聞かせいただきたく思います。」

「あの…えっとですね。」

異世界の転生者とか胡散臭いよね。

慌てる私をみて…

「もしかして、コーデリア嬢は保有者ですか?」

「保有者?」

「なんでも、前世の記憶を断片的にでも持っている者達の事です。」

「たくさんいるのですか?」

「いえ、大概は詐欺紛いの霊感商法の輩ですが…稀に自分がいた場所では、魔法は無いが、科学の力でクルマという物が空を飛ぶ世界であった。などと具体例を出せる子供が確認されています。ですが、いずれの場合にも、通常5歳をすぎると記憶が、定かではなくなってしまうようですが。」

なるほど…

そういう話なら、日本でも聞いたことがあるな。

生まれる前は雲の上に住んでいた、とかそういう話はネットとかにも出ていた。

「そうなのですか。」

「はい、ですが…このシューアラクレームという食べ物は、あまりにも時代の先を行っております。この洗練された生地とクリームの相性やバランス、焼き加減、どれをとってもこの国の最高峰よりも上です。なので、初めの私の質問…保持者ですか、という問いが生まれました。」

「……そうです。でも、あまり大っぴらに宣伝するつもりがなくて、あくまでも私個人のスキルということにしておきたかったのですが…」

「それについては問題ないかと。おっしゃる通り、魔法の発達した世界ですので、大方はスキルだろうと考えて納得するはずです。」

「少し安心いたしました。」

「ええ、見破られる事は滅多にないでしょう。それに、その時はスキルといいきって問題ありませんよ。」

そうなんだ。

よかった。

異世界のお酒!!とか異世界のパン!!とかだとちょっと胡散臭いから、せめて私のスキルにしておきたかったのよね。

「それにしても…本当に美味しいお菓子です。」

レオナルト様は中々に気に入った様子だ。

「ありがとうございます。実はまだまだ、レシピがありますので、またお誘いしてもよろしいでしょうか?」

「それは楽しみです。」

レオナルト様は初めて、口角を上げて微笑んだ。

普段の冷たい感じが失せ、一気に魅力的に見える。

そんなに気に入っていただけたなら、またいろいろつくってこよう。

誤字脱字報告ありがとうございます♪

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― 新着の感想 ―
[良い点]  相変わらず料理がおいしそうな点(笑) [一言]  料理のおかげでコーデリアが次々と"攻略対象者"達から好意を持たれているようで、"バッドエンドフラグ"も同じくバキバキに折れられていってい…
[一言] >科学の力でクルマという物が空を飛ぶ世界であった 記憶がこんがらがってるのか本当に空飛ぶクルマが商用化された次代の記憶持ちなのか
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