第37話 アップルパイアイスクリーム添え
パンでお茶会なら…あれだな。
アツアツ、アップルパイ。
焼きたてサクサクにアイス乗せて…
ブルベリーソース、ラズベリーソース、キャラメルソースから選んでもらう。
ナイフとフォークで上品に食べられるし、何より美味しい。
カロリーの塊だけど、丸一日遊んだ後とかに最高だった。
前世では、もちろんパイシート使って作ったし、今回も小人頼りだ。
よし、メルヴィンにお願いして、氷出してもらおう。
「ねぇ、セシル。私先にメルヴィンの家で準備してるから、呼んできてくれる?」
試作品をメルヴィンにもお礼にあげよう。
先にメルヴィンの家で、パイ生地と中身を仕込んで焼いておく。
お茶会の分は、地下の貯蔵室にしまっておこう。
「リア、呼んだか?」
「あ!メルヴィン。丁度良かったわ。実は、お願いがあって…このボールに氷出してもらえない?細かいやつがいいのだけど…」
「ああ。」
短く答えると、製氷機で作ったくらいの小さな氷でボールがいっぱいになった。
「ありがとう。今からオヤツ作るから、良かったら食べない?」
ボールの氷に塩をかける。
塩をかけると、温度が低くなってアイスクリームが作りやすくなる。
「何やら美味しそうな匂いがしますね!呼んでも返事がなかったので、来てしまいました。」
「あら、リュカ様。ご機嫌よう。」
「やあ!ワインを買いたいと思ってきたのだけど…それも魅力的だね。」
「リュカ様も、よろしければ、召し上がって行ってください。」
「ありがとう。私でよければ、できる事は協力するよ。」
多めに焼いてるから、人数が多少増えても問題ない。
「では、リュカ様はこちらの卵をこうして…卵黄と卵白に分けてくださいますか?」
その間に必要な物を用意する。
砂糖
卵黄
生クリーム
牛乳
バニラビーンズ
「ありがとうございます。少し待っていてくださいね。」
鍋に牛乳と砂糖、バニラをサヤごといれて温める。
バニラを取り出して、卵黄を加えて裏漉しする
鍋からボールに移して、氷のボールの上におく。
冷めたら生クリームを加えて…
「固まるまで根気よくホイッパーでまぜまぜ…」
「ん、代わる。」
メルヴィンが力仕事と察して代わってくれる。
「ローダンセ卿、よかったら、次私にやらせてください!」
リュカ様は、ワクワクした顔で固まっていくアイスクリームを見ている。
2人が楽しそうにつくってくれたおかげで、アイスクリームも無事に完成した。
私はその間にキャラメルソース作り。
材料はたった3つ。
水
砂糖
生クリーム
まず、水と砂糖をフライパンに入れて沸騰させる。
そのまま焦がす。
生クリームを投入して混ぜる。
完成!!
キャラメルソースは意外とお手軽だけど、失敗するとフライパンが大変な事になるから要注意…
「リュカ様、メルヴィンどうもありがとう。完成したから、みんなで食べましょう。」
「わあ、美味しそうだね。」
「前に食べた…美味かった。」
「ええ、前に食べたのはプレーンのアップルパイだけだけど…今回はこの、アイスクリームとソースもかけるのよ。」
話を聞いている間にも、メルヴィンの尻尾がちぎれそうになっている。
「では2人とも、まずはこのアイスクリームを味見してみてください。」
アイスクリームが嫌いなら、アップルパイ単体で食べて貰おう。
「!!」
「…!」
あ、メルヴィンは大丈夫そう。
尻尾でわかるわ。
リュカ様は…
しばらく呆然としていたが…
「……冷たいデザートとは…いかがなものかと思いましたが、なめらかでとろける食感…卵とミルクの濃厚な味わい…バニラの甘い香り。もうひと匙食べてもいいかな?」
こちらもお気に召した様子。
「はい、もちろん構いませんが、まずはホットアップルパイをお出ししても、よろしいでしょうか?」
2人とも頷いたので、サーブする。
「アツアツのアップルパイにアイスを乗せて…この3種類のソースから、お好きな物をかけてお召し上がりください。」
「では…私はこのラズベリーにしようかな。」
リュカ様はラズベリー。
「これ。」
メルヴィンは出来立てのキャラメルソース。
「私はブルーベリーにしてみます。」
私はブルーベリーを選んだ。
これこれ!!
幸せ…
口の中が幸せよ。
冷たいバニラアイスクリームと、アツアツサクサクのアップルパイの組み合わせ…
たまらない。
バニラアイスとシナモンを効かせアップルパイはどうしてこんなに合うのか。
アイスも市販品より卵と生クリームの比率が高いから、ミルク感が強く、とても滑らかで口当たりがいい。
冷凍庫を使っていないので、カチコチになっていなくて、口に入れるとスーっと溶けていく。
口いっぱいに広がるバニラの香りも最高だわ。
そのとろけるバニラアイスと、サクサクのパイ生地、少し食感を残したリンゴのコラボレーション!!
ブルーベリーソースが少し酸味を加えてくれるのも、またよし。
「美味しい!いい出来だわ。」
2人に目を向けると…
リュカ様はナイフで綺麗に切り分け、上品に食べているが、甘いものもいけるのか…
それはもう幸せそうな顔をしている。
メルヴィンは…
セルフで2個目を取りに行っている。
食べるの早いわね。
たくさん作ったからいいけど、食べすぎるとカロリーが…
まあ、夕飯でコントロールしてあげましょう。
「コーデリア嬢。なんですか…この幸せな食べ物は。」
「お気に召しましたか?」
「アツアツサクサクのアップルパイとひんやり冷たいクリームの組み合わせは、食べ始めると止まらないね!」
「あと3つは食べられる。」
「メルヴィン…いいけど、食べすぎると太るから、また明日にしない?夕飯別に作るからさ。」
「…わかった。」
一瞬だけ、耳がぺたん…となって気の毒だけど、食べすぎは良くない。
「夕飯ローストビーフにするから機嫌なおして。」
ローストビーフ、と聞くとメルヴィンの耳が再びピーン!とはった。
「それにしても…ここまで美味しいデザートは、王都でも出ないよ。私は幸せ者だね。」
にっこりと王子様スマイルを浮かべている。
「いえいえ、リュカ様とメルヴィンが手伝ってくれたからですわ。」
これだけ反応が良ければ、お茶会で出しても大丈夫そうね。




