第33話 新しい作物とお礼
「モリス様から贈り物が、届いております。」
今月何回目かの贈り物だ。
今回は八角の種が入っている。
「わぁ!!嬉しい。スタアニスね。」
スタアニスがあれば、角煮に中華風な味付けができるし、もう少しスパイスが集まったらスープカレーも作れるかも…
ココナッツミルクがあればカレーも作れるし…
八角は花の様な形のスパイスで、いろいろ薬膳にも使われる。
いい物もらったなぁ…
途中までは、何やらフリフリしたスタンドライトやら、室内履きなどもくれていたのだが…
失礼かと思いつつも、砂糖などの調理材料か植物の種子がいいとはっきり伝えてみたところ、好みのものがたくさん届くようになった。
今日は日頃のお礼に、ノーマン達にハーブクッキーを焼いてある。
食べられないようなら、そのままギルバートとのお茶会用にしちゃおう。
自分用に黒胡椒クッキーも焼いてある。
黒胡椒と隠し味の粉チーズのクッキーは、濃いめのミルクティーに合うのよね。
人にあげるとビックリされるから、自分用だ。
ハーブはローズマリーとラベンダーとカモミールを用意した。
「行きますか。」
かちゃりと畑への鍵を使い、ドアを開ける。
「ご主人様!!おかえりなさいませ。」
ノーマンが相変わらず真っ先に挨拶してくれる。
「また一段と広くなったわね。」
「はい!たくさんの種をいただき、楽しい日々を過ごしております。」
本当にイキイキしているわね。
「あのね、あなた達…食べ物って食べられる?」
「はい!ご主人様。我々は一種の精霊ですので、食料は必要としませんが、食べられないわけではございません。」
「そうなの、よかったわ。これ、みんなに作ってきたのだけど。」
そう言ってクッキーを渡すと…
突然泣き出した。
「え?あ、あの。傷つけたならごめんなさい。不快にさせるとは…」
慌てて謝るが。
「いえ、いえ…違うのです…ただ、あまりに…あまりに光栄で恐れ多く…」
周りに小人達が集まり、いつのまにか崇め始めている…
ノーマンは他の小人から、よかったな、よかったなと肩を叩かれている。
「あの、ただのクッキーだからさ…そんなに喜ばれても…」
「いえ、我々に仕事をいただけるだけでなく、労いまでしてくださるご主人様は、我々の永きの歴史にも、1人もおりませんでした。」
グスンっと涙を流しながらいう。
それは…なんか先祖がごめんなさい。
「まあ、あなた達に作ったのだから、気にせずどんどん食べてちょうだい。」
ノーマンに大きな袋を渡し、周りの2人にもそれぞれ袋を渡す。
「はい!ぜひ、皆でわけさせていただきます。」
「今日はどういった御用向きでしょうか?」
「そうね、これを渡すのと、ぶどうや作物を回収しようかと思って。特に大麦、小麦、ホップがピンチなのよ。」
「かしこまりました!たくさん用意しておりますので、全てお持ち帰りくださいませ。」
嬉しそうなところ悪いけど…流石に全部は入らないかな。
「リア、ここにいたのか?」
「あら、メルヴィン。どうしたの?」
「いや、暇だから来てみただけだ。」
「それならさ…」
「冷凍ぶどうつくるか?」
「ぜひぜひ、お願い!」
リュカ様もかなり気に入っているので、あっという間になくなってしまったのだ。
今回は畑も広いし、もっと派手にたくさん作れそう。
メルヴィンの魔力次第だけど…
「どこまで凍らせる?」
「ええと、このワイン用の白ぶどう、今ある分全部…とかできる?」
流石に無理か?
なにせ、普通のグラウンド2個分くらいの広さがある。
「たやすい。」
一言いうと、あっという間に冷凍ぶどうができている。
「それでは、私共が回収いたします。」
ノーマンがすごい速さで回収してくれる。
「ありがとう!とても助かるわ。」
「別に…この3倍でも軽い。」
メルヴィンはどういう魔力してるのかな。
確かに全然疲れてなさそう。
そのあとは、メルヴィンにも手伝ってもらい、作物を回収した。
「そうそう、ノーマン。またお願いしたい作物があるのよ。」
「はい、何でしょうか?」
「これよ。」
私は本の倉庫から、唐辛子や八角など最近手に入れた種子を渡す。
「おお、これはまた畑が一層賑やかになります。」
ノーマンはニコニコ顔だ。
胡椒はすでに量産してくれているし、自前のハーブスパイス畑も夢じゃないわね。




