第31話 憧れのチーズトースト
「お嬢様、買い物に行ってまいりますが、何かご希望のものなどございますか?」
「それなら、いくつかお願いしたいものがあるのだけど。」
えっと…
お金も手に入ったし、買いたいものたくさんあるのよね。
「じゃあ…」
ソーセージ!!
そろそろソーセージ作りたい!
料理本にソーセージあるから、材料さえ揃えば、きっと作れるはず。
ソーセージの語源はソーが豚、セージがハーブのセージって言われてるのよね。
その辺が揃えば作れそうね。
・豚バラ肉
・豚肩肉
・羊の腸の塩漬け
・セージ
・胡椒…あれば
・コリアンダー…あれば
・ナツメグ…あれば
・ヤギの乳
「これをお願いしたいわ。」
買い物代金に金貨と大金貨を渡しておく。
「かしこまりました。」
「香辛料は高いかもしれないから、高いなら少しでいいわ。あと、ホールのものが有れば、種のままのものをお願いしたいわ。」
コクリとセシルは頷いた。
「あとね、ようやくお小遣いができたから、よかったら貴女も好きなもの買ってきて頂戴。」
小金貨を5枚渡す。
「ありがとうございます。」
受け取りながら、セシルは少しだけほほえんでいる。
こういうお小遣いの相場がわからなくて、小金貨にしたけど、喜んでもらえてるみたいだしよかった。
午前中と午後、セシルが買い物に行っている間、私はマナー講師の授業と算術、経済学の講師の授業を受けていた。
貴族の子女はマナーや刺繍、読み書き、楽器や詩を勉強するが、あまり学問は好まれない。
婦人には生まれつき算術は向かないとされているらしい…
私はリュカ様に講師の手配をお願いしたから、あっさり呼んでもらえたけれど、自力で呼ぶのは無理だっただろうなぁ…
夕方になり、セシルが帰って来た。
何と香辛料のホールも手に入れてくれている。
これは…
ノーマンに渡すべきじゃない?
セシルに聞くと、やはり10g程で金貨1枚したとの事。
元の世界でも、大量に流通するまでは高かったらしいけど、ここでもそうなんだ。
上手く栽培して増やしてもらえば、家計も助かるわね。
販売に関しては…
大量に市場に出すと、流石にいらないものを呼びよせそうだから、しばらくは様子見だな。
せっかくソーセージの材料が手に入った事だし、野菜たっぷりのスープと、チーズトーストにしようと思う。
ソーセージもそのままのやつも出そうかな?
まずは料理の本を開いて、ソーセージをまずは作る。
材料は豚バラと肩肉、塩胡椒、砂糖に玉ねぎ、コリアンダーとセージ。
材料をポチポチと選ぶ。
太さは普通で、ジューシー、スパイシーさは控えめ。
荒さは…今回は粗挽きじゃなくて細かく挽いてもらおうかな。
長さは8センチくらいにしよう。
今回は燻製材料ないけど、今度は燻製ソーセージも作りたいな。
実行ボタンをポチっと押して、小人の頑張りを見守る。
小人達は塩漬けの腸を塩抜きし、肉の塊をミンチにする。
ミンチ肉にすりおろした玉ねぎ、香辛料や塩、砂糖を加えてまぜまぜ。
腸詰マシンに腸と肉をセッティングして、どんどんつくっていく。
生ソーセージの完成だ。
絶対美味しい。
あとは今日は作りたいものがもう一つ、某スイスの山小屋のお話に出てくるチーズ。
ヤギのチーズを暖炉で焼いて、トロトロのチーズをトーストにのせて食べるやつ。
あれやりたい。
でも、ヤギ乳100%は食べにくいから牛乳も混ぜよう。
臭みを消してなるべく食べやすくしたい。
でもブルーチーズとワインは、鉄板の組み合わせだよね。
もう少しワイン市場が拡大したら売り出すか…
目指すのは、なめらかで溶けやすく、もったりした感じ…
モツァレラチーズとラクレットチーズ、ゴーダチーズのいいとこ取りみたいにできないかな。
しばらくスキルで調整をして、理想の状態のチーズができた。
あとは焼くだけ。
スープはチキンで出汁を取って、にんじん、玉ねぎ、キャベツを煮込んだお手軽スープ。
丁度出来上がった頃、メルヴィンとリュカ様がやってきた。
「やあ、こんばんは。今日の作業着姿もとてもかわいいよ。」
「リュカ様、ありがとうございます。リュカ様は今日も光が差すようですね。」
「私など、コーデリア嬢の可愛らしさの前には石ころも同じだよ。」
この辺でやめないと、リュカ様の社交辞令が止まらない。
リュカ様放っておくと、ポエムかってくらい褒めてくるからな。
「お2人とも、夕飯ができていますよ。」
「いい匂いだな。」
メルヴィンが鼻をふんふんしている。
「今日はソーセージ作ってみたの。もし好みに合えば、また作るので言ってください。」
日本人にとって美味しいものが、この国の人にとっても美味しいとは限らないからね。
「はい、スープとチーズトーストです。ソーセージはお好きなだけとってください。」
メルヴィンにはプラス、熟成肉のコールドミートをリュカ様には赤ワインの辛口をだす。
「ありがとう、今日も美味しそうだね。」
「お口に合えば良いのですが。」
3人で食事を始める。
リュカ様はワイン大好きなので、味が違うタイプを丸々3本用意している。
たぶん今日も追加で飲むんだろうな。
「このソーセージ…まだあるのか?」
「まだたくさんあるけど、メルヴィン食べれそうなら焼くわよ。」
「ああ、最初くらいあってもいい。」
「ちょっと待っててね。」
追加を焼く。
一本食べたけど、なかなかよくできていて、齧るとパリッとした歯応えと肉肉しい食感、それに肉汁とハーブの味わいが最高だった。
ビールが飲みたい。
でも幼女だから我慢だ。
トーストには、トロリと焼き上がったチーズをのせる。
ツヤツヤとして厚みがあり美味しそうだ。
「うん、美味しい!」
ヤギも混ざっているからか、コクが深くてミルク感の強い味だ。
でも、臭みは少なく食べやすい。
つきたてのおもちのような、なめらかで伸びる素晴らしい食感だ。
毎日食べたい。
幼女じゃなくなったらビールを、と思うが…
そもそも貴族はビールアリなのかな?
ナシなら、貴族文化にビールを持ち込みたい。
暑い夏の日にソーセージとビール。
最高だけど、貴族っぽくないわね。
リュカ様もメルヴィンもソーセージが口にあったようで、絶賛しながら食べてくれた。
リュカ様など、これをワインと一緒に販売しましょうと力説していた。
このままだと、1人食料品メーカーになって収拾がつかなくなるから、売り出す商品は厳選しないとね。
単純な人間なので、楽しいと感想いただくと嬉しくなって筆が進みます。
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