第29話 発酵バターのクッキー作り
図書室が昨日空振りに終わったので、今日は朝からギルバートの家で資料漁り。
西部の森林地帯が怪しいとか、むしろ北部かなど話すうちにすっかりくたびれてきた。
そろそろ疲れたし、一旦休みにして、前回パイ作りが評判が良かったから、今回はクッキー作りにしようかな。
クッキーの私定番のレシピは、実に材料が簡単。
1:2:3に配合するだけ。
1が砂糖、2がバター、3が粉だ。
砂糖が50gならバターは100g、粉は150gだ。
杏弥はこれに、レモン汁大さじ1〜2とすりおろした皮を少し加えた、レモンサブレが大好きだった。
アレンジもしやすい万能生地だ。
今回は型を抜きたいので、卵黄を一個加える。
サクサクさせたい時は、粉の配分を少しアーモンドパウダーにすると、香ばしくサクサクする。
簡単に作りたい時は、バター、砂糖、粉の順番でフードプロセッサーに入れるだけ。
美味しいのに簡単で、ちょっと甘いものが食べたい時とか、大学で友達に配るのに作っていたなぁ…
バターは今回、スキルで発酵させた特製発酵バターを使っている。
まずはバターを練り練りねって…
「リアお姉ちゃん、もしかして力仕事?僕手伝おうか?」
資料の山からヒョコっと頭を出して、ギルくんが心配してくれる。
「任せるといい。」
メルヴィンはいつのまにかそばにきて、スタンバイしている。
「手伝ってくれるの?それなら、このホイッパーでバターをぐるぐる混ぜてくれる?」
たくさん作りたいと思って、材料を普段の2倍入れたから、とっても重たい。
「ああ、わかった。」
「僕もやりますよ!!」
「白くてふわふわになったら、教えてくれる?」
「はい!もちろんです。」
2人にぐるぐるやってもらっているうちに、本日のお楽しみ要素作りをしましょう。
用意したのは…
ピーナツバター(料理本で作った甘さ控えめ、ねっとり製菓用。)
紅茶(ノーマンに作ってもらったお茶を自分で紅茶に発酵させて砕いたもの。)
アイシング(色は食紅がないので、ラズベリーソース、ブルーベリーソース、マロウ、抹茶でつけた。)
ラベンダー
ローズマリー
カモミール
ブルーベリージャム
イチゴジャム
ラズベリージャム
などを用意した。
バターとハーブはクッキーにすると、意外と合うのよね。
「リア、できた。」
メルヴィンがどこか誇らしげに持ってくる。
「わあ!すごく上手ね。次は卵黄を入れて、そのあとにこの粉を軽く混ぜてくれる?」
2人とも楽しげにまぜまぜしている。
「うん。良さそうね。一旦休ませるから、お茶を飲みましょうか?」
お茶を飲んでから、また再開だ。
「今回も、2人にいろいろアレンジしてもらおうと思って、いろいろ用意してみました。今日作っているのは、クッキーで…こんなふうに紅茶を混ぜたり、薄くして、この型で抜いても楽しいわよ。」
「わぁ、楽しそうですね!!やってみます。」
メルヴィンもギルくんも割り当ての生地を、思い思いに加工し始めた。
私は、後でアイシングクッキーを作りたいから、ひたすら型抜き。
型はちょっと前に、セシルに相談して買ってきてもらったやつで、ハートや人型、ダイヤ型、花型などがあって、なかなか楽しい。
いつかもっとお菓子を普及させて、型も増やしたいよね。
見てみると、メルヴィンは紅茶のクッキーとピーナツバターのクッキーの2種類を作っている。
ギルくんは花型にしたクッキーの真ん中にジャムを乗せて、ジャムクッキーを作っている。
「メルヴィン、その生地棒状にまとめて凍らせてから焼くとさらに美味しいわよ。」
「…なるほど。」
メルヴィンはアイスボックスクッキーになったな。
一瞬でカチンコチンにできるのはさすがね。
私の生地から焼き始める。
「リアお姉ちゃんのクッキーは、シンプルでかわいいですね。とっても美味しそうです!」
「ありがとう。でも、これで終わりじゃないのよ。このアイシングで模様を描くの。やってみない?」
「ぜひ!やりたいです。」
意外とメルヴィンもノリノリで、花型を手にしている。
「…こんな風に顔にしたり、模様を描いたりするの。」
「やってみます!」
その間に、2人のクッキーも焼きましょう。
しばらくして戻ってみると…
「わぁ!ギルくん、とっても可愛らしいのがたくさんできたわね。」
ギルバートが作ったのは、可愛らしいリボンをつけた、うさぎやジンジャーマンクッキーだった。
「メルヴィンは…」
メルヴィンのクッキーを見て、唖然とした。
「嘘…」
メルヴィンの前には、見事な薔薇模様や、繊細なレースの模様、鳥などが描かれたクッキーがあった。
「…どうした?気に入らないのか?」
「そうじゃなくて…凄すぎて言葉にならないわ。」
「気に入ったなら、全部やる。」
「えっ、いいの?こんなに素敵なのに。」
「ああ、俺は自分が作ったのがあるからな。」
「ありがとう、大事にするわ!!」
もったいないから、本の倉庫で永久保存だ。
それで、落ち込んだ時とかに食べよう。
「リアお姉ちゃん、僕のももらってください。」
ギルバートが、自分のジャムクッキーやうさぎクッキーを差し出してくれる。
「ありがとう、早速みんなで食べましょうか!」
2人ともサクサクで、香りの良い生地と、紅茶やジャムの組み合わせが最高だとパクパク食べたので、たくさん焼いたクッキーは、すっかりなくなったのだった。




