第128話 中篇
「何…?あれ」
「あれは…悪魔族お得意の闇属性魔法…精神魔法に物理的ダメージを加えた大技だね」
「だねって…苦手なのよね?」
「まあ、飛龍王が怪我するレベルでは無いと思うけど…」
話している間にも、悪魔達は次々に様々な技をぶつけている。
最初は格下と侮ってか、バラバラに攻撃していたが、今はリーダー格の男の悪魔に従い、統率の取れた動きをしている。
『これでも食いやがれってんだ!!』
3人の悪魔が同時にブラックホールのような球を投げる。
あれが闇属性魔法なのだろう。
周りの魔法すら吸い取りながらどんどん巨大化していく。
『ほお、中々の大きさ…うむ……』
イオは感心したように頷く。
ちょっと!!
感心している場合じゃ無いでしょう?
避けたりしないと…
ああ…
ギルバート達も大丈夫かしら。
『だが、まだまだだな!!』
イオは事も無げに、翼でその球を打ち返す。
『うむ、まあまあの当たり…』
自画自賛する余裕まである。
打ち返された球がグングン悪魔達に迫る。
『ちょっ!!ちょっと待っ!』
『ムリムリムリムリ!!』
『ボク達は守備はちょっと…早くきて!ダイアナ!!』
ダイアナと呼ばれた青髪の悪魔が打ち返された球を受け止める。
『……………………っ!!……ふう』
ダイアナはもとより、周りにいた悪魔達数名も無事では済まなかったようだ。
『終わりか?』
イオがつまらなそうに呟く。
終わりなら終わりでいいでしょ。
やっぱりイオは血の気が多いわね…
『いや、まだまだだよ。ここからが本番だ。飛龍王、我々の力をあまり侮られては困る』
司令塔の悪魔はまだ余裕な表情を浮かべている。
『ほう、それは僥倖!!こちらも楽しめるというものだ』
『ふん!!強がるのもどこまで持つかな?その羽のダメージがお前がもうギリギリと言っているようだぞ?』
『む?…………おお!!怪我をしておったとは。このサイズだと感覚が鈍くなっていかんな…どれどれ』
言われてみると、跳ね返したイオの羽は多少キズついており、血が少し流れている。
『おおー!!たしかに!!負傷などいつぶりか。だが、うむ。貴様らが心配するといかんな。治すか!!』
無造作に最上級ポーションを飲み干す。
『よしよし、治った治った!!うむ、気にせずかかってくるが良いぞ?』
『なっ!!トカゲには普通のポーション類は効かないはずでは?……その魔力抵抗の高さが裏目に出て用を成さないと…』
『まあ、これは効くのだ。そう気にするな。それにまだまだある』
イオの呟きも聞かず、何ごとかを呟いている。
『ひょっとして…召喚主が探している薬とやらも実在するのか?』
『オイ、やらないのか?』
イオは律儀に待っている。
『いや…まずはお前を倒してから…だな』
そうかっこよく言った悪魔だが…
数時間後…
戦場で元気なのは、イオやギルバート達だった。
そうしたムードに一瞬安心したところで…
1番の不安…悪魔王が動き出したのだ。