第127話 帝国との戦い 前編
戦いが始まったとしても、本命が出てくるまでは遊びみたいなもの…
そう言いながら出て行ったのだが…
リュカ様にもらった映像の魔石が映し出す、前線の様子からは、まるでそのような感じでは無い。
何コレ?
なんて言うハリウッド大作?
などと現実逃避したくなるような、すごい大迫力な戦いが映し出されている。
上空には竜の姿に戻ったイオが飛行しており、同じく飛んでいる悪魔達10名程と戦っている。
イオが炎のブレスを吐くと、悪魔達は何か青い炎の壁のような物を作り、完全に防いでいる。
『ふははは!!これを防ぐとは中々やるな!』
『チッ、このトカゲ。種族優位をものともしないなんて…』
『あのブレスをこの調子で連発されると、まずいぞ?』
『クソ!悪魔王様から任された以上、こんなトカゲ風情に足止めを食らっている場合じゃない。急ぐぞ』
今度は悪魔側が空中に魔法陣を大量に出現させる。
その魔法陣から、隕石が大量に地上に降り注ぐ。
『む?邪魔だな…消すか』
そう言うと、イオは一際大きく咆哮する。
『うむ。よしよし、消えたか?』
『ちょっとイオ!よしよし、じゃないよ。味方の兵士まで萎縮しちゃったじゃないか』
ギルバートがイオに文句を言う。
『そうか。いやあ、スマンスマン』
『スマンスマンじゃないよ。全く…《軍団鼓舞!!》』
ギルバートが自身のスキルを発動すると、味方の兵達の鎧に文様が浮かび、兵士達の志気が目に見えて高くなる。
そのあとも、全体に向け、防御力アップや、移動速度アップ、攻撃力アップをしている。
「えっと…ギルくんって…実はすごかったのね?」
カロンに向かって呟く。
「ん?気がついてなかったの?まあ、こういう場面で1番輝くスキルだしね…まるで無能を飛龍王が気にいるはずないじゃないか」
「それもそうね」
ギルバート本人も攻撃魔法は使えるようだが、それよりも軍団に対する補助が一番得意な分野のようだ。
おかげで、激しい攻撃の応酬にもかかわらず、味方には今のところ大きな被害は出ていないようだ。
『咆哮で魔法陣を消し飛ばすなんて…そんな事…』
『怯むな。奴の攻撃自体は防げるんだ。隙を作ってヤツが苦手とする、闇属性の魔法をぶつけるぞ』
『わかっているわよ!!』
『やれるならもうやってるって。でも、やるしか無いね』
向こうも何か仕掛けてくるようだ。