幕間 暗殺計画
会議が終わった後の部屋で…
ヒソヒソと相談をする一団の姿があった。
「本当にやるのか?」
「他にどんな手があるのかね?」
「国の為だ…致し方あるまい」
「だが、あのアリアと言う娘の警護は未だに厳重だぞ?本当にやれるのか?」
「やれるさ。作戦通りに行けば、祖国を裏切った罪の重さに耐えかねて自殺を図る。そして、部屋から戦争を起こすよう唆したのも自分だ…と言う文章が出てくる手筈になっている」
「自殺に見せかけて…と言う部分が中々難しいが…」
「問題ない。これを用意してある」
ある男の手の中を見ると、周りの男達から安堵の声が上がる。
「まあ、元々少し前までは他国の人間だ。殿下には申し訳ないが、仕方あるまい」
「しかもあの贅沢好きな性格ではなあ…」
「宝石の産出国とはいえ、宣伝のためですむ範囲を超えている」
「まあまあ、短い人生だったのだ。多少の楽しみはあっても良かろう」
「そうだな…むしろ、せめて今だけはやりたいだけ楽しく過ごしていただくのが筋か…」
物騒な会話があった…
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あの日以来、今のところ特に変わらない生活を続けている。
毎日変わらず綺麗なドレスを着て、豪華な食事を取り、エステに明けくれ、茶会やパーティーに参加している。
ツヴァイが死んだ事は極秘情報らしく、接する周りの人達の態度も変わらない。
一旦は皇帝からの贈り物が途絶えたが、それでは不自然だからとかなんとかいいながら、それもまたやってくるようになった。
そんな訳で、町に出れば喝采を浴び、花びらが舞い、歌を歌われ、パーティーでは誰もが羨む花形、と言うポジションを守り続けている。
私はむしろ被害者なのに、急に態度を変えられたら嫌だと思ったが、なさそうで安心した。
ウリセスも…
「私、もういらなくなったんじゃない?」
そう聞いたが…
「なぜだ?」
「だって…」
「ツヴァイの件なら気にするな。言ったハズだ。俺はお前を気に入っているんだ。気にせず今まで通り過ごしていればいい」
「じゃあ結婚式は…」
「やりたくないのか?」
「やりたいわ…」
「それなら問題ないだろう?」
自分を気に入ってくれているのは嬉しいけれど、まさかツヴァイがいなくても変わらないとは思わなかった。
もしかしたら、思った以上にウリセスは私を深く愛しているのかもしれない。
今はまだそこまでの気持ちが私にはないけれど、そのうち、同じくらい好きになれたら…
そう思った。