閑話 庶民向けデリカ 前編
時を遡る事、数週間前…
コーデリアは庶民向けのデリカコーナーの準備に勤しんでいた。
「ふふふ…商会本部でデリカテッセンをはじめてから、やっぱりやりたかったのよね。商会本部の人気に目をつけた商人も早速取り入れているみたいだし…」
この世界に楽しみが増えるのは本当にいい事だし、どんどん広がってたくさんの人が楽しめるようになるといいな、と思う。
「場所は確保したし…働き手は孤児院でちょうど成人の子供がいたし…あとはメニューよね。最初は料理担当の子が作りやすいメニューにしないと」
そうなると、茹でて炒めたウインナーとかミートソース入りのオムレツ、フライドポテトとかから始めるのがいいだろうか?
早速従業員達を呼び、試食会を開く事にした。
やっぱり自分達で回すお店だし、最初は自分達のお気に入りのメニューを出した方がやる気がでるかな、と思ったからだ。
「来てくれてありがとう!楽にして頂戴ね」
もじもじと恥ずかしそうにやって来たのは、オランダウサギのようなタレ耳の兎人族のハシバミと、スグリ、それにリザードマンのノット、料理人のチャックとリストと言う犬人族と人間の少年たちだ。
ハシバミとスグリはとても可愛らしい見た目だが、2人ともおっとり系の見た目に反して行動が早い。
ノットは滅法数字や管理が得意で、気候や条件から翌日のメニューを考えたり、予算や売り上げの計算にとても役に立つ人材だ。
本人もやる気満々で、必ず黒字をキープして見せると意気込んでいる。
野菜関係は商会経由で無料で手に入るけれど、畜産系の材料は商会から仕入れなくてはいけないので、ぜひとも頑張って欲しい。
皆もじもじはしているけれど、孤児院には何度も顔を出しているので、身分に対して過剰に反応している訳ではなく、貴族の屋敷とあってちょっと気恥ずかしいだけだろう。
「「「「「お招きいただきありがとうございます!」」」」」
ぺこり、と皆丁寧に挨拶をする。
「ええ、こちらこそ…早速はじめていいかしら?」
「もちろんです!!」
ノットが意気込む。
「じゃあ、早速…まずは皆好きそうなポテトフライからね」
庶民向けのポテトフライは某ファーストフードチェーンのような細いポテトを用意した。
シーズニングも考えたけれど、値段を上げるより、シンプルで低価格に抑え、たくさんの人に楽しんでもらいたい。
「ん!!ふわぁ……おいひい!!」
「あちち…こんなに美味しい物初めて!!」
「美味い!」
「止まらないな!!」
「最高!!」
皆必死にカリカリ食べている。
「気に入っていただけたかしら?次をだすわよ?」
すると、夢中で食べていたスグリがハッとしたようにこちらをみる。
「あ、あの!!孤児院のゴハンが不味かったとか、物足りなかったとかは、本当にないです!!ただ、これが美味しくて美味しくて…」
先程の発言が失言だったのでは、と心配になったのだろう。
でも、全く気にしていない。
なぜなら、孤児院のメニューもある程度把握しているし、食材のなくなり具合や皆の顔色から十分に食べている事はわかっていたからだ。
ただ、ある程度いい物は出すけれど、孤児院を出てからの生活の方があまりに貧しくならないように、過剰に豪華すぎる食生活にならないようにはしていた。
わざと避けていたわけではないけれど、もしかしたらポテトフライは孤児院のメニューには加えた事がなかったかもしれない。
次に出したのはメンチカツだ。
とんかつよりも安価に作れて、それでいて肉を食べた!!って感じがする庶民の味方。
きっと気に入るのでは…と思ったのだ。
なぜか毎年GWに熱を出して寝て過ごします…
昨日は更新できず申し訳ありません!
今日からまたよろしくお願い申し上げます。