第108話 ノーマンの大発見
会議が終わった後、今後に備えてポーションの材料を取りに行く事にした。
ノーマンの畑は、今日もたくさんの収穫分に溢れている。
爽やかな風が吹き、とても気持ちがいい場所だ。
こんな場所を守る為にも頑張らないと!
「ご主人様!良いところにいらしてくださいました」
ノーマンがいつも以上のニッコニコ顔で近寄ってくる。
「あら、ノーマン。どうしたの?」
「実は、ご主人様に今日は嬉しいお知らせがありまして!!」
「何かしら?」
「ふふふ…まずはこちらへおいでください」
ノーマンはクラルス草を育成している、秘密の畑へ案内する。
空間のトンネルのような場所を通り、たどり着いた畑は、一面の薬草畑になっている。
キラキラと光る葉がとても美しく、幻想的だ。
「キレイね…」
「ええ、ですがお見せしたかったのはコチラでして…」
畑の一角に、クラート草、クーロー草、クラルス草の効果順に円形に植物が植っている場所がある。
どうやらそこに案内したいらしい。
たしかに、色合いも美しく、ちょっとした花時計のようだ。
「素敵なものを作ったのね…とくに…」
特に中心に植っている虹色の草がアクセントで美しいわ。
そう褒めようと思ったが…
何かしら?
これ。
見た事が無い植物だわ。
ノーマンは気が付きましたか?!とでもいいたげな眼差しを向けてくる。
サッと大百科を取り出して確認する。
スキャンして…と。
何なに…
「ノーマン?」
「はい!!ご主人様」
「これって…もしかして」
ノーマンは目を輝かせて頷く。
「ご主人様のお察しの品、幻の植物、復活草《レナトゥス》です!!」
大変誇らしげな表情でいいきる。
目はほめて欲しそうだ。
「ノーマン、よくやってくれたわ。ありがとう。でも一体…どうやったの?」
ノーマンの顔がパァッと明るくなる。
「…ご主人様から畑の管理と品種改良をお任せいただいて以来、我々はご主人をあっと言わせるような品を開発して差し上げたい…そう思っておりました」
「いつもあまりに出来が、良くてびっくりしていたわよ?」
「いえ、それはありがたかったのですが…何かこう、恩返しになるような事をしたかったのです」
「それで復活草《レナトゥス》の開発を?」
「その通りです。復活草《レナトゥス》方法を様々試しましたが、草花の交配では中々うまくいきませんでした」
「そうなのね」
「そこで我々は試しにあのような形に植え、さらに与える水に粉砕した葉を混ぜる、など様々な工夫を凝らしました」
「すごいわ…」
「そしてついに先日、中心に元々植えていたクラルス草が、復活草《レナトゥス》に変化したのです!!」
「変化したの?新しく生えたわけでなく?」
「そうなのです。我々は必死に新しく生やす事ばかりを、考えていましたが、実はそうではなく、このように植えると、クラルス草が変化し、復活草《レナトゥス》になるのです」
「素晴らしい発見だわ…」
復活草《レナトゥス》で復活できるのは、肉体が存在する物で、死後そう時間が立たない人だけだが、それでも大発見には違いない。
これとエリクサーがあれば、寿命で死んでしまった人でさえ、最低でも数年は生きながらえ事ができるのだ。
「いくつくらい今はあるの?」
「収穫済みの葉が3枚ございます」
ノーマンが箱に入れた葉をくれる。
「ありがとう。大事にするわ」
「今後も増やせるように頑張ります!」
「あまり無理せずね?」
「はい!!ご主人様」
ニコニコのノーマンに目的の材料ももらい畑を後にする。
「とても助かる贈り物だけど…理想はこんな物を使わずにみんな元気で終わる事よね…」
保険がわりの安心も手に入れたので、いままでより少し気持ちが楽になる。
明日はアリア様に逢いに行こうかな。