第94話 攻撃
「カロン…?どうかした?」
カロンがいつになくイライラしている。
どうしたのかな。
普段は嬉しそうに食べるアツアツデニッシュのアイスのせにも無表情…というより機嫌が悪い。
「ん?…いや、ベツに…」
ブスッと不貞腐れているような…
「大丈夫?美味しくなかった?」
「これはすっごく美味しいけどさ。」
モグモグと食べるとまた不機嫌になる。
「そう?」
何かあったかな?
ひょっとして、たまには長く里帰りしたいとか?!
違うかもしれないけど…
聞いてみようか。
「もしかして、竜の谷に帰りたいとか?」
「はあ?」
目を見開いて驚いた顔をする。
やっぱり違うか。
「違った…?」
「…はあ。やっぱりアンタ微妙に抜けてるよね。」
「そう?…違うなら…」
「イラついてたのは別にアンタが何かした訳じゃないから…ただ…」
「ただ?」
「先週くらいから、アンタと王子にやたらと呪いが飛んできたり、遠隔攻撃魔法が飛んで来たりとか…チマチマチマチマチマチマと大した事ない攻撃を受け続けるのが鬱陶しくてさ。」
「えっ?!」
そうだったの?
カロンの頑丈な結界のおかげで全く気が付かなかった。
カロンは気が付いていなかったのか…と呆れた顔をする。
「アンタさ、何にも入っていない空き箱が何度も送られて来たりとかさ、上空で破裂音がしたりとかさ、テーブルに血がついたナイフが刺さったりしていたのに、何にも思わなかったワケ?」
「そんな事もあったわね!」
義母のいじめから比べると、かわいい程度だし…
アカデミーだからたまたまかな?
そんな風習でもあるのかな?とか能天気に考えていた。
「…はあ…今朝の封筒の中身なんかアンタ以外が開封していたら、間違いなく死んでたよ?」
「そうなの?」
なんだか不思議なカラクリ人形のような物が入っていて、カロンがくれと言うから渡したのだけど…
「まあ、完璧に守ってるから気が付かないのか…」
「ええ、カロンの結界は完璧だわ!…それより、ギルバートもなの?」
「ん?…ああ、あっちの小僧はもっとすごいけど…俺からすると攻撃にもならない攻撃なのに、何というか…夜に蚊が部屋にいると気になるだろ?」
「すっごく。」
かなりイライラする。
吸うなら吸って静かにしてくれ!
うるさいわよ!ってなる。
私はいつも、無理に起きてでも蚊取り魔道具使うわ。
「そんな感じ…たまに使ってきているのが、古代兵器とかもあるから…流石にちょっと鬱陶しい。」
「それは…申し訳ないわね。」
誰が攻撃してきているのだろうか?
「あのさ、攻撃して来てるのって…」
「んー。相手はプロっぽいからさ、流石に発動場所とか、攻撃してくる人間や種族もバラバラなんだけどさ…しばらくすると何人か王宮に報告しに行ってるみたいだから、そっち関係じゃないの?古代兵器とか普通のヤツは持ってないし。」
「そう…」
なりふり構わず亡き者にする作戦なのだろうか…
それとも、ギルバートの父の時のように、証拠をうまく隠して関与していないように見せかけるのだろうか…
「そんな顔しなくても、これの頻度が1000倍になって威力もそれだけ上がりでもしなけりゃ結界にヒビすら入らないよ。」
「えっ?…むしろ、貴方がうまく眠れないかな…とか心配していただけよ?」
「ちょっと!いきなりやめてよね。…竜の心配とか弱い人間がする事じゃないし…」
顔が赤いし、デニッシュにフォークをサクサク刺している。
うん。
嬉しそう。
「そう?それなら、これからも私は安心して鈍感に生活していくわね!」
「…。おかわり。」
ニッコリと笑う私に、ぶっきらぼうに皿をくれる。
「たくさんあるわよ。アイス次はチョコとイチゴのどちらかに変える?」
「両方!!」
「両方ね。ちょっとだけ待っていてね。」
………………………………………………………
アカデミーにて…
中庭でいろいろなグループが興奮気味に噂話をしている。
「聞きました?あの噂!」
「ええ…聞いたわ!」
「しっ!滅多な事言うものでは…」
「では、貴女は信じないの?」
「そういう訳では…」
話し合う男女にさらに男性が加わる。
「もしかしてあの話をしてる?」
「えっ何の話でしょう?」
一応しらばっくれる女性に、さらにいい募る。
「だからさ…ギルバート殿下が実はすでに亡くなっていて、今アカデミーにいるのは、竜の加護がない偽物って噂だよ!!」
「えっ?!」
「嘘!!」
「あれ?違う話?」
「ええ…私達が聞いたのは、ポーション開発は本当はアリア嬢の功績なのに、王妃の座に目が眩んだコーデリア嬢が横取りしたという…」
「私はさらに、渡さなければ、身体を腐らせると脅したと聞きましたわ。」
「僕は、実際にスキルを使ったら、アリア嬢の聖なる魔力で打ち消されたと聞いたよ?」
「なんだって?それ…本当かい?」
「私達は、その殿下の話、もう少し詳しく聞きたいわ!!」
「ああ、そうだな。」
「じゃあ、順番に話しましょう!」




