第91話 避難民 前編
休日に家に帰ってきたコーデリアは、間違って紛れ込んだらしき、父の業務資料を目にした。
その資料は避難民を公爵領にある孤児院と救貧院に入れる資料だった。
王家からの手紙だ…
「何なに?聖ウルズリリア皇国からの避難民…約5000人のうち2500名を公爵領の受け持ちとする…なお、扱いは各領地に任せる物とし、支援金として金貨10枚を授ける。」
何そのふざけた金額…
到着は…
明後日?!
仕方なく孤児院と救貧院に入れるつもりみたいね。
でもとても収まりきらないから、首都近郊の平原にキャンプ地を設営し、救貧院と扱いを同じくする…
なるほど。
たしか聖ウルズリリア皇国は人間至上主義を打ち立てていて、他の種族を認めないのよね。
今まではただの主張だったが、最近後を継いだ皇帝は本気で実践するつもりらしく、皇都の亜人達を全員奴隷身分扱いにした。
さらにそれを、全国に広げているらしい。
奴隷に堕とした亜人は、強制的に従軍させられているみたい。
それで、人間以外の種族は仕方なく他の国に徐々に避難している。
最も避難先として人気なのは妖精国とアマルディア王国みたいだけど、うちの国にも来ているみたいね。
アマルディア王国だと、獣人が王様だから亜人は住みやすいって話だし…
傭兵にも力を入れているから、力に覚えがある者にはいいかも。
この二つの国は、ギルバートが攻めてくる可能性が、ある国って言っていた国だから…
もしかしたら、ちょっと雲行きが怪しくなってきたかも知れない。
「でも、避難民はこれで最後じゃないわよね…」
むしろ、これからが本番かも。
それなら、対策を考えないと…
私なら、いくら増えてもたぶん飢え死にさせる事はない。
ノーマンがいるので、食糧に困ることはあまりないからだ。
強いて言えば、塩だけど、公爵領は海に面しているし、岩塩が取れる地帯もあるから、それも問題ない。
まとまった労働力が確保できるなら、やりたい事があるし、ちょっとお父様に交渉しに行こうかしら。
セシルを呼んで、お父様に会いたいから、服装を整えてくれるよう、お願いする。
「こちらのラベンダー色のドレスでよろしいですか?」
持ってきてくれたのは、上品な印象のクラシックなデザインのドレスだ。
お父様なら、こういう落ち着いたのもいいわよね。
「お願いするわ!」
「かしこまりました。」
「でも…お父様に王宮、ずいぶん無茶をいうわね。」
あのお父様にそんな態度で大丈夫なのかな…
自治権すらある、一大貴族なのに。
「むしろ、お父様だから…かしら。」
「旦那様では、金銭的負担や領土的余裕、政情不安定などを理由には断れませんからね。」
「そうよね。お父様以上に余裕がある貴族はいないし…」
「お嬢様はお気づきのようですが、旦那様はお嬢様であれば難民を見捨てないだろう…というところまで、折り込み済みと愚考いたしますが。」
「そうかも…とにかく言ってみるわ!」
「お父様、コーデリアです。」
「おお、入れ。」
「失礼しますわ。」
「掛けなさい。」
フカフカのソファを勧めてくれる。
「今日はどうしたのだ?何か欲しい物でも?」
「ええ、お父様!ぜひぜひいただきたい物が。」
「なんだね?」
「こちらの案件ですわ!」
資料をお父様に返す。
いつも優しいお言葉、ブクマ、星5評価をいただきありがとうございます♪
おかげで2ヶ月毎日更新できています!
また、誤字脱字報告もありがとうございます!
今月も頑張ります♪
後編午後あげます!




