表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/184

第1話 双子転生する

柿崎 早苗と柿崎 杏弥(きょうや)は仲の良い双子だった。しかも珍しい男女の一卵性双生児だった。

いわゆる、半一卵性双生児ってやつだ。

でも杏弥は身体が弱く、ずっと入院と退院を繰り返していた。

だから、2人で遊ぶ時はいつもゲームやクイズ、空想をして過ごしていた。

早苗はというと、杏弥に差し入れの料理をあれこれ作ったり本を仕入れて持って行くのが好きだった。

「早苗ちゃんの作るモノが1番美味しい!!」

顔を輝かせて食べる弟を見たくて、長年料理教室に通い、大学卒業後に調理系の短大に入り、管理栄養士になる勉強をしていた。

バイトもカフェやら中華屋、パン屋、イタリアン…

短大の実習ではケーキ屋さんにも行った。


両親はサッパリお見舞いに来なかったし、お金すらくれなかった。

でも杏弥には、彼を可哀想に思った祖父から去年亡くなるまで、多額の生前贈与がされていた。

祖父は私に杏弥を頼む、と同じように贈与をしてくれていた。

そのおかげで、私はすぐに就職しないで勉強できたので、感謝している。

不特定多数の為に取る資格ではないので、調理関係の仕事ではなく、なるべく定時で帰ってお見舞いに行ける仕事につくつもりだった。

私達の両親は、杏弥が心配すぎたのだろう。

逆に全くの無関心になり、お互いに離婚はしないまま別の家庭を築いている。

そんなある日…杏弥の容体が急変し、帰らぬ人となってしまった。


葬儀を終えたある日、祖父の70歳になる妹と、その50歳くらいの娘が会いに来た。

家ではなんとなく嫌なので、場所は駅前の喫茶店だ。

たしか娘には、今年大学生になる息子がいたような。

あんまり関わりないからうろ覚えだけど…

そんな薄い繋がりなのに…

会うなり、親戚なのだから杏弥の遺産をよこせ!というような事を言い出した。

いきなり久しぶりに会う親戚に失礼すぎると思った私は、断ると挨拶もそこそこに喫茶店を後にした。

「たった1億円でいいって言ってあげてるのよ!?こちらが弁護士を付けないうちによこしなさい!!」

叫び声が後ろから追いかけてくるが、無視だ。

大体1億円もあるはずないのに…

言うならあの両親に言って欲しい…

弁護士をつけても、あの人達には杏弥の遺産は遺留分も無いし手に入らないけどね。

バカな人達…


無視して過ごしているうちに、毎日のように電話がかかってくるようになり、待ち伏せされたりした。それでも無視していると、ある日ぱったりと止んだ。

諦めたのかと思ったある日。

快速電車の通過待ちをしていると、後ろから突然声が聞こえた。

「貴女がいけないのよ。大人しくくれないから…」

え?

思った時には突き飛ばされていた。

ふと目に入ったのは、親類のおばさんがこちらを見て高笑いしているところだった。

「やったわ!!これで!!これで母さんの分が取り返せる!!」

周りの人達が驚いて取り押さえようとするのが、スローモーションのように見えて…

すべてが暗転した。


「さなえちゃん!さなえちゃん!!」

誰かが呼ぶ声で目が覚める。

「あ、起きた?大丈夫?」

「え…きょうや??」

「そうだよ。僕だよ」

「なんで杏弥がここに…?」

「やだなぁ、早苗ちゃん周り見てみてよ」

ここは…?

いかにも天国風な感じ?

雲の中って感じだ。

「わかった?」

「うーん。私…たしか…死んだ?」

「そうだね。びっくりしたよ。早苗ちゃんまで死んじゃうなんて…」

「ここは?」

「ここはね、異世界転生・転移の神様、アイオーン様の治める世界だよ」

「神様?」

杏弥の視線を見て後ろを振り向くと、白いローブと白髪のおじいさんがいた。


「ワシがアイオーンじゃ」

「は、はじめまして?」

神様にどう挨拶したらいいのか分からず、ちょっと適当な感じになってしまった。

「うむ、実は杏弥くんも早苗くんもワシの信者…異世界を望み、信じる者でな。杏弥くんを先に送ろうと思ったのじゃが、直に早苗くんがくる事を伝えたら会いたいというのでな」

もう二度と会えないと思っていた、片割れに会えたのは、そういう事だったのか。

「ありがとうございます。とても…とても嬉しいです」

「泣かないで…早苗ちゃん。僕、次の世界ではいろいろできそうでワクワクしているんだよ!!」

「次の世界??」

「おお、そうじゃ。早苗くんも転生の素質がある世界の中からなら、好きな世界が選べる」

「あの…杏弥とまた一緒にいけるのでしょうか?」

「ふむ…それはちと難しくてな…お互いに連絡が取れる世界…なら探せばあるかもしれんのぅ」

「早苗ちゃん、僕も早苗ちゃんと一緒がいいけど…みたらびっくりするよ!!魔法が使える世界がザクザクあるんだよ!!」

「魔法が使えるの?!」

「そうだよ!エルフやドラゴンがいる世界もあるし…」

杏弥は興奮に顔を輝かせている。

会えなくなるのはこの上なく寂しいけど…たまに連絡できるだけでもありがたいって思わないとだよね…

杏弥は次の人生こそノビノビと生きたいだろうし…

2人で行ける、を優先してその気持ちを邪魔したくない。

「では、探してみようぞ…」

探すというから、何か厳かな儀式に違いない…と思ったら。

大きなスクリーンが現れ、映し出されたのはインターネットのHPのようなものだった。

見たことがある雰囲気で『ウツリスーモ』と書いてある。

検索条件画面にアイオーン様が相互連絡可能、と入れる。

検索結果…100件

「ふむ、もう少し絞れそうじゃな」

「ねぇねぇ、早苗ちゃん魔法が使えて、ある程度文明がある…とかどう?」

「それ、大事ね。…アイオーン様、追加お願いできますか?」

「あとあと、健康な身体で生まれる、とかさ」

「それもお願いします」

「早苗ちゃんなら、周りの人類の美醜の基準が日本とかけ離れてない、とかもいいんじゃない?」

そんなのできるのか?と思ったらアイオーン様はニコニコしている。

「では、それもお願いします」

周りが、文明的なイグアナばかりとかだったら、ちょっと慣れるまで辛そうだし。


最終的には一つだけ残った。

召喚主はそちらの世界の神様で、理由は他に1人地球から送り込むついで、との事。

使命とかはない、気楽な転生だ。

ついでとかあるんだ。

しかも今の記憶を残しておけるらしい。

世界としては、文明は中近世のヨーロッパくらい、魔法が使える。

身分制度がある。獣人やドラゴンがいるし、魔物もいる。

私個人は、子爵令嬢に生まれ変わるみたい。

ついでに生まれ持って、杏弥と同じマルチブックスキルを持っている。

マルチブックスキルは、一冊の本が色々な辞典になったり、調薬ができる本が追加できたり…と使いこなすとかなり便利そうだった。

双子だからか、同じ能力が持てるみたい。

これを使って、通話できるレベルまでブックレベルを上げる必要がある、とアイオーン様から教わった。

杏弥ももういく世界が決まっているようだし…あとは、いざ転生だ!!

気になる一文もあるし、ちょっと楽しみ…


転生世界の説明には、最後に一文…

「乙女ゲーム 救国の巫女と竜の舞台」

未プレイだけど、逆に楽しみ!!


登場人物紹介、ネタバレ含むので別に作りました!


https://ncode.syosetu.com/n5917gs/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ