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イメージチェンジ

夏休みに入り勇樹はやる気が出てきた。


もうミスターゼロとは呼ばせない。


新章の始まりです。

スーハースーハー。現在の時間は朝の6時。

まだ気温が上がっていない河川敷を勇樹はジョギングしている。

あの面倒くさい、疲れる事など忍耐力もゼロだった男が…


理由は先日の江の島で決意表明した晩のこと。

如月家では勇樹のイメチェンについて作戦会議が行われていた。


「ほんとに前髪を短めに切ってもいいんだね」


「ああ。見える形で変化が欲しい。髪型については新菜に任せるよ」


人気絶頂のアイドルグループやダンスユニットのボーカルなどの髪型を参考にする。


やばい。やばいよこの髪型。芸能人よりもお兄ちゃん格好よくなってる。モテる事に本人も気付くかも……

新菜の心の声が漏れてしまいそうだ。


「どうした?やっぱり俺じゃこのスマホの写真の人たちみたいにはいかないか?」


「ちょ、超かっこ……ちょ、調子にのったらダメって事だよきっと。まあまあかな」


「だよな。やっぱり芸能人はすげーな」


原宿でも歩かせたらスカウトされるに決まってる。

でも絶対本人には内緒にしておかないと。私だけのお兄ちゃんなんだから。


「久しぶりにレッスンするよ!外見も内面も鍛えましょう!」


外見も内面も両方とはさすが我が妹だ。ハードルを上げてきたな。

うーん……あれだな……


「ジョギングをはじめるかな」


即答されて新菜はビックリ顔になっている。

自分で忍耐力も必要なジョギングをはじめるって……


「やる気満々だね」


「全ては新菜の為だ。1学期ではまだ俺は変わりきれなかった。なんとか卒業するまでには最高の兄貴になりたいからな」


いま気持ちがすごく前向きになっている。

もうミスターゼロとは呼ばせない。


こんなやりとりが交わされていた。


やはりマラソンブームのせいだろう。

朝から多くの人がジョギングしている。

中にはハードなトレーニングをしてる人もいるけど、爽やかな朝にそこまで勇樹はする気もない。


「おはようございまーす」

すれ違う際にOL風の女性に声をかけられる。


「おはようございます」

礼儀として応えた。

みんな仲間意識が高いなぁ。


「おはよう〜」

「おはよう〜頑張れー」

またすれ違いに声をかけられる。


「おはようございます。ありがとうございます」

ジョギングより忙しいな。


気のせいかマラソンやジョギングは女子が多いなぁ。


10人くらいの女性とすれ違い挨拶した頃だった。

なんだか後ろに気配を感じて後ろを振り向くと、ワイワイ、キャッキャッ言いながらなぜか俺の後ろを10数人が走っているじゃないか。


もしかしてマラソンのレースでよく見るあれ?風避けに前のランナーを使うあれ?初心者に使うとは大人の女性は怖いな……


すると2人組のランナーが勇樹を挟み込むように両脇から横に並んできた。俺のペースが遅いからプレッシャーかけてきたのか…それとも綺麗な顔してまさかかつあげじゃ!?


「君…高校生?大学生?うふふ」

笑って見下してくるとは……OLこえーよー。前髪切っちゃったからスルーできないし。もう逃げないって決めたし。


「こ、高校生です。お金はいまは持ってないです。ジャンプしても小銭の音もしません」


「あははヤバイ!この子超〜面白い〜。気に入っちゃった。お金は取らないから明日からも来てね!来ないと〜強引に〜お姉さんが食べちゃうぞ」


人喰いとは…なんとか族か?最後に脅しまでかけてくるとは、人は見かけによらないものだ。

もちろんジョギングはやめるつもりはないから明日も来る。


「た、食べないでください。僕みたいな不細工美味しくないです」


「「「「可愛いーーー!!」」」

後ろの女性達もハモっている。みんな仲間だったとは……


「じゃあまた明日ねー!」

みんな綺麗なのに社会人て怖いな。

そういえばOLが部長のお茶に雑巾を絞って入れるとか聞いた事がある。

俺も将来気をつけよう。


家に帰ると新菜がタオルを持って待っていた。


「おつかれさま!どうだった?」


「うん。朝は清々しくていいな。少し怖いけど」


「夜でもないのに怖い!?私も一緒に……」


「命が惜しいならやめておけ!」と叫んでしまった。


俺が犠牲になればそれで済むんだ……


「う、うん。よくわからないけど頑張ってね!」


とにかくシャワーでも浴びて気持ちを落ち着かせよう。


時刻はまだ7時。夏休みって素晴らしい。今日は何をしようかと考える勇樹だった。


読んで頂きありがとうございます。


また読みたいなと思って頂けましたら、ブックマークをお願いします。

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