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商人を追って㉓

 教会の精霊の園を思い出したまでは良かった、けれどもあたしは解放方法を知らない。試したことはあるけど、アレクとの親密度が足りないのか、他の攻略キャラとの親密度が足りないのか、解放できなかった。

 

「白、何か思い出したのか?」と言うクルル様の声に、顔を上げる。


「あ、ごめんね。えっと、ちょっと不確定なんだけど思い出したことがあって」

「話せない事か?」


 不安げに瞳を揺らすクルル様の様子に、あたしは慌てて首を横に振って否定する。実際本当にわからないから説明のしようがないんだけど……一度アレクあたりに確認したいけど、好感度駄々下がりだから、無理だろうなぁ~。


「えっとね、説明が少し難しくて……どう言えばいいかなぁ」

『そにょままはにゃせば良いにょだ』

『うんうん。僕たちちゃんと聞くよ~』


 肩に乗ったオリジンが、あたしのほっぺたをポンポンと叩きながら促す。まぁ、ダメ元だし話してみよう――。


「なるほど、教会の地下にその様な場所があるかもしれないと言う事だな? そして、そこであの魔女は高位の精霊と複数の契約を交わしたと」


 クルル様の確認の言葉に頷く。

 あたしが思い描く、最悪のパターンとしてはリーンが複数の高位精霊と契約していること。高位精霊の中でも人の心に影響を及ぼすアモルと契約していたら、ラブリィポーションの効きが通常の三倍に跳ね上がってしまう。そうなれば、何かをしなくても攻略対象は勝手に好感度を上げてくれるわけで……。クルル様やイリュス様、アレクを初めとした全員に効果が出てしまう。


「もし、リーンがアモルとの契約を済ませいるのだとしたら、クルル様たちが危ない。アモルは、契約するだけでポーションの効果を上げてくれるから……」

「な、なんですと! 今ですら抵抗出来ないのに……さらに威力があがるですって!?」


 あたしの言葉におねぇ言葉っぽい言い回しで答えたイリュス様は、眼鏡をはずし頭が痛いと言わんばかりに眉間をモミモミした。


『私が知る限りだが、アモル……とは、契約していなかったはずだ』

「クリシュア殿が例の魔法陣を展開した後に、と言う可能性もあるのか」


 クリシュアは知らない、っと。クルル様の言う通り、確かに可能性はある。既に契約していて今日の様子なら、回避は可能だろう。でも、まだ契約していないとすれば、そこはどうにかして潰したい。潰すなら、やっぱり精霊のコインを集めないと。


「クルル様、お願いがあるって言ったの覚えてる?」

「あぁ、そういえば言ってたな」

「うん。お金が欲しいの!」

「「はっ?」」


 クルル様とイリュス様の反応に、あ、やっべっ、端折りすぎたと反省する。そして、ひとまずはお金が必要な理由を説明をした。

 理由を聞いたクルル様たちは渋面を作り、オリジンは怒っている。

 実際その場を見た、ニマ君、グレイシア、ノヴァ、クリシュアも憤りを未だ隠そうともしてないから、急いでどうにかしないとこの国が無くなっちゃう。


「ぶっちゃけね。あたしはその店の事を知らないの。だから、何個あるとかわからない。けどね、皆が嫌な思いしてるから、出来る限り買い占めてあげたいの」

「そうだな。私としても出来る限りのことはしたい」

「じゃぁ!」

「お待ちください。まずは国へ、陛下に許可を取ってからに致しましょう」

「えぇ~!」


 クルル様の許可が下りたと喜んだ瞬間、イリュス様から待ったがかかった。イリュス様が待ったをかけた理由は、店頭にそれだけの数があるなら、間違いなく在庫を結構な数かかえているはず。クルル様の個人資産も一応は国のお金と言う事で、国王様に話して国からお金を出していいよと言う許可を貰うべきだと言う事らしい。理由をちゃんと言われてしまった手前、あたしは納得するしかなかった。


 納得はしたけど、時間はあんまり残されてない気がする。リーンがアモルと契約する前に、アモルを出来ればこちらに引き込みたい。なら、やっぱりここは街中のコインとかを出来る限り集めるべきだよね? でも、学園に行きながらだと時間が足りない。


「あたし暫く、学校休むね?」

「えっ?」

「何故だ」

「さっきも説明したと思うけど、アモルとの契約するには今の状態じゃ足りないの。だから、少しの間休んで必要な精霊のコインを集めるようと思うの」

「あぁ、以前言っていた街中にあるものなどのことか」

「そうそう」


 ふむ、と一言発したクルル様が、沈黙した。考えるように顎に手を添え、しばらくして「わかった」と頷いてくれる。


『それにゃらば、我とクルルはあにょリーンを調べるにょだ』

「そうですね。いい機会かもしれません」

「私もご一緒します」

「いや、それはダメだ」


 オリジンの提案に乗る形で頷いたクルル様は、イリュス様の同行を拒否する。まさかの拒否にイリュス様は、がっくりと項垂れていた。

 クルル様が拒否するなんて珍しい。まぁ、理由は多分魅了だよね……。ポーションの効果を抑える何かがあればいいけど、今のところそんな物はない。その内探し出すから、それまで耐えて下さい。イリュス様!!

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