休日
久し振りの突発的短編
目にして頂けたら嬉しいです。
久し振りの休日に、街中をブラブラ歩き回る。
ある映画館の前に差し掛かり、見たかった恋愛映画が上映されていた。
「これ、一度観たかったんだよねぇ」
一人呟き、チケットブースに行きチケットを購入。
平日というのもあって、館内は以外と空いていた。
スクリーンから真ん中の位置に座る。
そして、ワクワクしながら、始まるのを待った。
開演五分前になり、照明が落とされ新作の紹介やらが始まる。
そんな中、横に誰かが座った。
空席が沢山在る中でだ。
ふと、横をみれば見たことのある顔立ちだなぁ、何て思っていたら、観たかった作品が上映され始め、そちらに集中した。
あー、ラストが今一だったなぁ。
中盤はよかったのになぁ。
何て思いながら、席を立つ。
と。
「今日は、柴田さん」
声をかけられ、そちらに体事向ければ、会いたくもない男が、偽の笑顔で見ていた。
何で、居るんですか?
と、問いかけたいくらいだ。
「今日は、課長。それでは」
私は、それだけ言って踵を返し、逃げるように歩き出した。
関わってはいけない。
彼に関わったが為に、ろくでもない事に巻き込まれたのだから……。
彼、野上晃樹は、会社の部署の上司。
遣り手の御曹司で、イケメンだ。
偶々、高校の先輩で生徒会メンバーだった顔見知りの私を補佐役として指名してきたのが、部署内での反感(特に女性)を持たれ、毎日の残業(午後10時までが規定)に加え、休日出勤までさせられ、挙げ句の果てには、細々とした雑用まで押し付けられる始末。(彼女だと知られた日には、どうなるんだろう?)
怖いわ。今は、考えるの止そう。
で、やっと今日休みがとれて、のんびりしようと矢先に彼が現れた。
しかも、私服でだ。
平日なのに私服で現れるのは、可笑しいだろう。
何の目的があるのかは知らないが、関わりたくないのだ、今は……。
映画館を出たところで。
「待てよ。沙羅」
そう言って、私の腕を掴む。
「放してよ!貴方に関わるとろくでもないことばかり起こるのよ」
私は、思いっきり振り切る。
本当に、折角の休日に水を指すのは、やめて欲しいわ。
「ごめん…。だけど、俺は…沙羅が居てくれないと…無理なんだよ」
イケメンって、情けない顔しても様に見えるのね。
何て、思いながらも。
「今日だけは、一人にさせて欲しい。ちゃんと戻るから」
って言ってしまう自分が居て。
「絶対だぞ!ちゃんと戻ってきてくれよ」
って、耳と尻尾が垂れ下がってるみたいだ。
まるで、捨てられる子犬。
いい大人が、ねぇ。
「はいはい」
私は、それだけ言って彼に背を向けた。
結局は、彼の言うことを聞いてしまうんだけどね。
本当に心配性なんだから。
さーて、次は何しようかなぁ?
ショッピングにでも行こうかな?