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僕は君をあと10秒だけ待つ  作者: 宇音
第1章 出会い
6/23

1-5 接近

 アイドルグループ「ZADA」の解散発表があった次の日、僕はいつもより早く登校した。

 まだ誰も来ていない。早く来すぎたか。ただ、僕は居ても立っても居られなかった。


 倉木さなが述べた言葉、「高校生活を繰り返し過ごしている」といういわばタイムリープを示唆する言葉を何度も思い返す。それはありえない。ありえないはずだ。科学的に不可能だ。もちろん「現代科学の理解の範疇外にある」という意味でだ。





 しかし、彼女の言葉が正しいと仮定すると、色々と辻褄が合う。



 

 教室に入ってくるクラスメイトが少しづつ増えてきた。

 まだ彼女は来ない。





 数人のグループが談笑しながら教室に入ってきた。その中に倉木さながいた。

 やっと来た。

 僕はそのグループに近づき、彼女に声をかけた。


 「倉木さん、ちょっといい?」

 彼女は僕の顔を見るや、嬉しそうに微笑んだ。そしてすぐ、不思議そうな顔を作りこう返してきた。

 「三島くん?うん。いいけど、もしかして、長くなるかな?」

 「う、うん。でもとにかく話がしたい」

 「わかった。じゃあ放課後でいい?校門で待ってるね?」

 「ありがとう。じゃあ後で」


 僕は席に戻った。

 これで放課後にはこのもやもやを解決できるだろう。




 ふと視線を感じる。倉木さながいた女子グループからだ。彼女たちは僕のほうをチラチラ見ながら、小さめの声で話し合っている。にやけた顔をしている少女もいる。倉木さなは何事もなかったように受け答えしているようだ。



 周りを見回すと、幾人かがとっさに目をそらす。




 僕は急激に顔が熱くなるのを感じた。

 かなり衝動的な行動をとってしまったらしい。席を立った時の音も、掛けた声も相当大きかったのだろう。しかも、急に女子に声をかけ放課後呼び出すなんて。


 急に、大きな破裂音とともに肩に衝撃が走った。僕の肩を後ろから思いっきり誰かが叩いたのだ。

 「よう!ナンパ野郎くん!どうしたんだよ?!勇気あるじゃねえか!」

 成幸だ。そして、大爆笑しながら自分の席に座った。

 そして僕に顔を寄せ急に小声になる。

 「おいおい。マジでどうしたんだよ。やっぱ好きだったのか?」

 僕もつられて小声になる。

 「なんで今日は早いんだよ。好きじゃないって。ただちょっと聴きたいことがあっただけだよ!」

 「何を?」

 「なんでもいいだろ!また今度話すから今日はほっといてくれ!」


 僕はそれっきり、外部をシャットアウトした。



 いや、シャットアウト出来るはずもなく、放課後までの長い間、僕の心は羞恥心のサンドバッグとなった。





 放課後の校門で倉木さなを待つ。

 彼女はひとりで来た。

 「おまたせ。信じてくれたってことでいいのかな?」

 「いや、まだ分からないけど、でももうちょっと詳しく聴きたい」

 「ありがとう!うん、これもはじめてね!楽しいわ。すごく!」

 「どこかでゆっくり話しましょう。そうね…。私の家にしましょう!」




 なにをいっているんだろうか。



 「ああ、大丈夫よ。ほかの人はいないのよ。誰にも聴かれないわ。私一人暮らしだから」







 いやそういことじゃない。




それっぽい展開ですねえ。

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