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僕は君をあと10秒だけ待つ  作者: 宇音
第1章 出会い
4/23

1-3 告白

16:30 公園。昨日の晩に倉木さなと会った公園だ。


 彼女は僕のおかしな問いに答えることは無く、僕をこの公園に引っ張ってきた。

 その間、彼女はとても真剣な表情をしていた。ずっと何かを考えているようだった。

 僕はというと、彼女に掴まれている腕にすべての意識を持っていかれていた。彼女の手のひらから伝わる感触と体温は僕の鼓動を速くさせた。




 公園に着くと、ベンチに座らされた。

 倉木さなは大げさに深呼吸した後、少しの間、目を閉じた。

 

 それから、意を決したように目を開け、僕のほうを見た。


 「あのね、とても真剣な質問なんだけど、三島君はなんで私の年齢を聞いたの?」


 僕は変な質問をしてしまったことを謝ろうと考えていた。



 しかし、彼女はそんな言葉を求めてはいないようだ。


 「うん。そうだね。なんて言うか、倉木さんのしぐさに違和感を感じたからかな」

 「倉木さんのしぐさは洗練されすぎてて、それで…」

 僕は自分が発そうとした言葉の愚かさに気付き、口をつぐんだ。

 「それで?」

 しかし、彼女はその先を求める。


 「うん、それで、中身がもっと年取ってるように思っちゃったんだよ。ごめん。馬鹿な答えだし、失礼だよね」

 倉木さなは嬉しそうに首を横に振った。

 「ううん。全然大丈夫。でも、普通そんなこと考えないし、思いついたとしても、言葉には出さないよね。なんで?」


 「いや。言葉に出したのはほんとごめん。僕、今日はなんか頭がうまく回ってないのかも」

 「今日?ってことは、いつもはそんなこと考えないんだね?」

 「うん。昨日の夜中会った時に何か言ってたでしょ?倉木さんのしぐさも合わせて、なんか違和感を感じちゃったんだよ」

 「そっか、やっぱり私の見た目と中身がちょっとズレてるって言いたいのね?」

 彼女は何故かとてもうれしそうだ。

 「いや、だからごめん。僕なんか今日おかしいんだよ」


 彼女は急に黙った。




 そして、僕がずっと彼女を見ていると、真剣な顔でこう言い放った。



 「三島君。すごいよ。すごい観察力と洞察力だよ!思考力もいいよね!」

 彼女は僕に感心しているようだ。

 僕の中の違和感は途端に加速する。

 どう考えても、一般的な女子高校生の表現ではない。




 「私ね。もう、数百回は高校生してるんだよね」




高校生の告白すべてが、愛の告白とは限らないです。

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