表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は君をあと10秒だけ待つ  作者: 宇音
第1章 出会い
2/23

1-1 登校

 教室のドアを開けると、朝の光と共に数人の生徒の視線が僕に注がれる。そして何もなかったように視線は僕から離れた。


 友人はまだ来ていないようだ。

 僕は静かな教室が好きなので比較的早くに登校しているのだ。

 自分の席に座り、頬杖をついて窓の外をみる。



 僕が高校2年生になって2か月ほどが経つ。外は既に初夏の香りを放っており、山々には緑があふれている。この季節は好きだ。生命力があふれていて、見ているだけで心がワクワクしてくるし、穏やかな気持ちも与えてくれる。



 いつものように窓の外を見ながら時間が過ぎるのを楽しんでいると、数人の少女が談笑しながら教室に入ってきた。このクラスの生徒たちだ。


 その中に、比較的背が高く細身の女性がいた。「倉木(くらき)さな」だ。




 昨日の晩の出来事が思い出される。

 深夜の公園にいたのはクラスメイトの倉木さなだった。もちろん昨日出会った時点で本人であることは分かったのだが、その時は適当な挨拶で済ませた。動揺していたのもあって、すぐにランニングに戻ってしまったのだ。


 今まで、彼女のことはあまり意識したことが無かった。「そういえばそんな子がいたな」程度である。




 倉木さなはクラスメイトと談笑している。



 ふと、倉木さなと目が合った。

 僕はすぐに目をそらしてしまった。軽く挨拶することすら出来ない自分が情けない。

 

 その後は窓の外に目を向けつつ視界の隅に彼女を置いていた。




 ホームルーム開始のチャイムが鳴り始めた時、制服を着崩した男が隣の席に騒がしく滑り込んできた。

 「なに女子のほうちらちら見てんだよ。きもちわるー」


 「どこも見てねーわ。てか成幸、今日もぎりぎりかよ」

 僕の友人、成幸なりゆきのご登校である。



 気持ち悪いって…。まあそうかもな…。


ちらちら見ちゃってるのは、よく分かりますね。自分以外は。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ