0-1 求無想
初投稿です。
よろしくお願いします。
23:00 田舎の暗闇の中、軽いランニング。人の姿はほとんどない。
僕(三島 謙)は夜に走ることが好きだ。
中学の時から高校2年目に至るまで、3日に1度は走るようにしている。
なぜ走ることが好きなのか。
何も考えなくていいからだ。走ると何も考えられなくなるからだ。思考や煩いから解放されるからだ。
しかし、それは僕を苦しめる思考や煩いがあるということ。僕はいつも「何か」を求めている。それが何なのかは僕にはわからない。満たされない気持ちが僕のどこかにあるのだ。夜、走っているときはその寂しさから解放される。
だから、今日も走るのだ。
弱い明かりが見えてきた。小さい公園だ。僕はいつもこの公園を折り返し地点に定めている。後は家に帰るだけだ。
ふと、公園のベンチに人影が見えた。
女の人だ。
こんな時間にどうしたのだろうか。
僕は気になって、その古いベンチ付近でいったん休憩することにした。
目が合った。
荒い息のまま、僕は足を止めて彼女を見てしまう。
彼女は目を少し大きくして、それから微笑んだ。
「これは、はじめてね」
私もランニング好きです。