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間章 天使の誕生

 私は旅の僧侶だった。深い森の奥に埋もれた村から村へと渡り歩き、神の教えを広める。その日も私は森の奥の村で説法をした。


 夜には領主の館に泊まる。不作による飢饉が起きかけているというのに倉の穀物を放出せず、値上がりを待っているという不届きな領主だったが、私が伝えた神の御言葉に感動し、民を救うことを約束した。この村での仕事も終わりだ。明日には次の村に出る。


 しかし、私の旅は終わってしまった。深夜、おぞましき悪魔に扇動された村人たちが領主の館を襲撃したのだ。館は略奪の嵐にさらされ、貯め込まれていた金銀財宝や食料は次々と悪魔の手に落ちる。私は暴徒と化した村人たちを説得しようとしたが、全くの無駄だった。


 領主の館は放火され、炎上する。石造りの館は簡単に燃えないはずだったが、内部の豪華な調度品が燃料となり、夜空をオレンジ色に染めた。


 暴虐の牙は私にも向けられた。私は着ていた服を剥がれ、身につけていた宝石や硬貨を奪われ、神の言葉が民たちに届かなかったことを嘆きながら鉈で心臓をえぐられ、川へと投げ込まれた。


 まさに私が殉教者として天に召されようとしたそのとき、奇跡は起きた。私は暖かい光に包まれ、ほの暗い水の底から引き揚げられたのだ。


「あなたはここで亡くすには惜しい存在……。あなたには才能があります。私とともに神に尽くしましょう……」


 私を救った大天使ミカエルはそう私に告げ、以後私は彼に付き従う天使となった。

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