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転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~  作者: ニート鳥
番外編 主人公になれなかった僕のワールド・オーバーライド・オンライン vs 転生魔王のワールド・リバースド ~Lv.99 魔王です~
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32 収拾

 アスモデウスが神代シンの姿に戻ったのを見て、薔薇の剣士も分離する。ゲームの体も元の世界に戻し、雅雄とツボミは私服姿に戻った。お互い股間が濡れっぱなしなのがかっこ悪いし気持ち悪いが、仕方ない。


 葵は地面からひょっこり顔を出し、シンとともにこちらに駆けてくる。シンと葵が来るのを待って、雅雄はつぶやく。


「終わったんだね……」


「ああ、終わった。あいつは死んだし、もう復活することもない」


 シンは断言する。静香が死んで、もう戻ってこないなんて。全く実感が湧かない。でも、雅雄にとって悪いことではない。望んでさえいた。それなのに一抹の寂しさがこみ上げるのはなぜだろう。


 いつまでもここで突っ立っているわけにはいかない。帰って、とりあえず下着を履き替えたい……。どうすれば、この世界から出られるだろう。


 雅雄がそんなことを考えていると、ヤスさんが現れた。


「……終わったようだね。ご苦労だった」


「メガミは無事なんですか?」


「ああ、君たちのおかげでね。私ももう一回彼女を戦わせずに済んで、ホッとしてるよ」


 気になっていたことを聞けて、雅雄は少し落ち着く。今さらになって現れたヤスさんに、文句の一つでもいうべきだろうか。少し雅雄が迷っていると、ヤスさんは雅雄とツボミに言った。


「君たちを元の世界に帰してあげよう。こっちに来なさい」


 雅雄とツボミは顔を見合わせるが、黙って従うことにした。悪いようにはされないだろう。ヤスさんは二人の頭に手をかざす。雅雄もツボミも急速な眠気に襲われ、その場に倒れた。



「記憶を消す気か?」


 倒れた雅雄とツボミを見て、シンは尋ねる。ヤスさんは首肯した。


「ああ。こんなとんでもないことを覚えていてもらっては困るからね。……彼らにはまだ早い」


 ヤスさんは雅雄とツボミの手から、それぞれ青薔薇の指輪と黒薔薇の指輪を回収する。ヤスさんは今回の一件を、完全になかったことにするつもりらしい。シンは忠告した。


「言っとくけど、本当に必要なときになったら、必ずその指輪は雅雄とツボミのところに戻るぜ?」


 二人に与えた指輪はいわば魔王の指輪のコピーだ。取り上げれば済むなんていう生やさしいものではない。所有者に引かれて、必ず帰ってくる。


「わかっているよ。そのときまで、私が預かるだけだ。君たちも、魔力が回復したら地獄に帰りなさい」


 ヤスさんはそう返してくるが、シンはさらに尋ねる。


「あのゲームは、俺たちを倒せる戦士を育成するためのものか?」


 ヤスさんは一瞬言葉に詰まるが、隠しても無駄だと思ったのだろう、答える。


「……君たちにターゲットを絞っているわけではないよ。ただ、君たちの存在を確認したことで計画を実行に移す必要に迫られたということだ」


 今、日本の神々が動かせる戦力は魔法少女メガミだけだ。外敵が現れたとき、これでは心許ない。だからヤスさんはワールド・オーバーライド・オンラインを使って魔王に対抗できる戦士を育てようとしている。


「……プレイヤーに説明しているとおり、神を採用するためのゲームというのも本当だよ。前回の優勝者は神の一人として私を手伝ってもらっている。今回は戦神として採用させてもらうというだけだ。私はプレイヤーを騙してもいない」


 「詐欺と一緒やんけ……」と麻衣はぼやいたがヤスさんは顔色を変えない。


 戦神を育てるためなので前回よりゲームのバランスを厳しめに調整している。目論見通りに戦神を育てることができれば、ヤスさんはメガミを魔法少女から引退させられる。ヤスさんは必死だった。


「俺たちは必要だったらいくらでも力を貸すぜ?」


 シンはそう申し出るが、ヤスさんは顔をこわばらせるばかりだ。


「現世のことは現世で決める。君たちは干渉しないでほしい」


 まあ、予想通りの答えである。そこを外注するなら現世の支配者もシンたちに取って代わられてしまう。


「……僕はもう、結論出ちゃってると思ってるけどね」


 葵はチラリと地面で寝てしまっている雅雄とツボミの方を見る。シンもうなずき、笑顔を見せた。


「そうだな。また一緒に戦える日を、楽しみにしてるぜ」


 シンは恐怖に押し潰されそうになりながらも立ち上がり、一緒に戦った雅雄とツボミに自分たちと同じものを感じていた。魔王ではないにしても、それに近いものになれるかもしれない。アスモデウスが与えた指輪を使いこなせたのがその証拠だ。


「この子たちは現世側に立つのでしょう? 次に会うときは敵かもしれませんわよ?」


 羽流乃は指摘したが、シンは首を振る。


「いや、きっとそうはならねえよ。根拠はないが、俺は確信している!」


 シンは言い切り、ヤスさんは複雑な表情を見せた。

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