表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔王のワールド・リバースド ~ハーレム魔王が地獄に墜ちてハーレム魔王になる話~  作者: ニート鳥
番外編 主人公になれなかった僕のワールド・オーバーライド・オンライン vs 転生魔王のワールド・リバースド ~Lv.99 魔王です~
246/276

24 超弩級戦艦

 宙に浮かぶ戦艦大和の艦橋からサタンエル・サルターンを見下ろし、マモンは笑う。


「それじゃあ、死んでもらおうかしら」


 甲板に据え付けられている砲門の全てがサタンエルSに向けられ、鼓膜が破裂しそうな轟音とともに火を噴いた。黒煙とともに砲弾が吐き出される。史上最強とされる46センチ砲の直撃を受ければサタンエルSでもただでは済まない。サタンエルSは大きく跳躍して回避を試みる。


「無駄だわ!」


 全長二メートルほどもある巨大な砲弾はミサイルのように滑らかに方向を変え、サタンエルSを追尾してくる。逃げ切れない。覚悟を決めてサタンエルSは砲弾を受ける。


「グウッ!」


 サタンエルSは炎の翼を前に展開し、〈リヴァイアサンの盾〉を掲げる。優に一トンを超える砲弾が複数直撃した。


 炎の翼では大和の砲弾を融かしきることができず、盾でまともに砲弾を受ける。〈リヴァイアサンの盾〉は頑丈で、砲弾を受けきることに成功するが、ダンプカーと正面衝突したような衝撃がサタンエルSを襲う。


 燃え盛る砲弾の破片はサタンエルSの体を掠めるが、ダメージはない。とはいえこんな砲撃を何度も受ければいくら盾や鎧が頑丈でも保たないだろう。攻撃こそが最大の防御だ。まずは大和を沈めなければ。


「『神の業火』!」


 まずサタンエルSは特大の火球を大和に撃ち込む。即座にマモンは対応した。


「学習しなさい! そんなものは無意味よ!」


 大和の前面に無数の機雷が出現する。『神の業火』は機雷の爆発を受けて霧散し、大和まで届かない。


「だったらこれでどうだ! 『天の雷』!」


「同じことね!」


 サタンエルSは空から大和目がけて雷を落とす。しかしマモンは上空に機雷を展開し、これも爆発で強引に防いでしまう。


「まだまだ! 『氷の封印』!」


 大和の下方から巨大な氷柱がせり上がり、その巨体を飲み込まんとする。これは機雷では防げないだろう。しかし、氷さえもマモンには通じなかった。


「フフフッ、私が炎属性で助かったわ」


 マモンは大和を炎で包んで氷の侵食をガードする。遠距離から魔法で攻撃するのは諦めた方がよさそうだ。


 かといって近づこうとすると大和の火器で迎撃される。サタンエルSは炎の翼で加速して強引に機雷群を突破しようとしたが、機雷が爆発するのも構わず甲板上で無数にひしめく対空砲塔が射撃を開始する。たまらずサタンエルSが突撃を停止したところで、主砲の斉射だ。サタンエルSは盾を構えて後退するしかなかった。


「剣だの魔法だのくだらないわ! 何でも作れるなら、こうやるのが一番に決まってるじゃない! これこそが人間の英知の結晶よ! 薄っぺらい創作なんか、何の役にも立たないわ!」


 艦橋上でマモンは勝ち誇る。まだ手はある。サタンエルSは四大魔王が使える全ての魔法を精神力だけで使用可能なのだ。炎、雷、氷は通じなかった。風や水もきっと同じ結果に終わるだろう。ならば使うべき力は一つだけだ。


「おまえが人間を語るな。……『命の剣』!」


 〈ベルゼバブの剣〉が黄金に輝き、魔力を放出し始める。剣の切っ先にブラックホールが形成されていく。アスモデウスなら生贄を捧げないとブラックホールを作れないが、サタンエルSなら己の意志力だけでブラックホールを作れる。


 大和は主砲を発射するが、砲弾はブラックホールに吸い込まれて終わりだ。物理攻撃は一切通じない。これをぶつければ、いかに戦艦大和であろうと轟沈は必至である。


「なるほど、やっかいね……! ならこれでどうかしら?」


 大和の後方に、今度は空母が出現した。ニュースで見たことがある、アメリカ海軍の原子力空母だ。空母からは無数の戦闘機が発進し、こちらに向かって飛んでくる。その全てが、大型のミサイルを積んでいた。


「まさか、こいつは……!」


 サタンエルSは弾頭が何なのか即座に看破する。マモンが普通のミサイルなど使うはずがない。マモンがニッコリと笑う。


「核ミサイルの飽和攻撃よ。そのブラックホールで爆風を全て消せるか見物ね。大丈夫、雅雄たちは私が守ってあげる。楽しみはとっておかないとね」


「それだけの力を、あんたは俺たちを殺すことだけに使うのか? もっと違うことに使えるんじゃないのか?」


 マモンの強さはサタンエルSが戦った相手の中でも最強に近い。ウリエルに匹敵するほどだ。なぜ、乱暴に振るうことしかできない? サタンエルSの問いかけを、マモンはせせら笑う。


「知らないわよ。私は私が楽しければ、それでいいの。他のことなんて関係ないでしょ」


 戦闘機は上空を旋回して照準を点け、全方位から核ミサイルを撃ち込んでくる。サタンエルSは〈ベルゼバブの剣〉から風の刃を放って数機は撃墜したが、焼け石に水だ。同時に大和も主砲を発射した。逃げ場はない。しかし、サタンエルSの心はいっそう激しく燃え始めていた。


「……そうかよ。だったら俺は、絶対負けるわけにはいかねーな!」


 こいつを野放しにしていると何をするかわからない。絶対に俺が倒してやる。サタンエルSはその意志力で魔力をさらにたぎらせ、核も砲撃も受けて立つ。直後、着弾し、目の前の全てが炎に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ